ホンダ[メーカー別Yas流分析]

疾走する一台のF1マシン。
ナイジェル・マンセル駆るウィリアムズ・ホンダ No.5。
既に15年近く経つ、色あせた一枚のポスター。
私の部屋に今なお残る宝物の一つだ。

1986年、ホンダが世界のF1を制覇した時ものだが、あのときの活躍は忘れられないものだった。
当時のウィリアムズ・ホンダは、ナイジェル・マンセル、ネルソン・ピケの最強コンビ。そして、シーズン9勝を上げたターボエンジンによって向うところ敵無し。日本の自動車メーカーが始めてF1コンストラクターズ・チャンピオンの座を獲得した年だった。
そして、その翌年からは日本人初のF1パイロットとしてデビューを果たす中嶋悟、さらにはセナプロ対決とF1は否応無しに盛り上がる。おまけに古館伊知郎アナの迷ゼリフとT-SQUAREのテーマソング...あの頃のF1は楽しかった。


ホンダは日本の自動車メーカーで唯一、モータースポーツにぞっこんだ。
その根源は、フェラーリやポルシェ、アルファロメオ、英国のコーチビルダーなどに通ずるところがあるのではないだろうか。
もともと、欧州では一部の上級階級の人々の娯楽(〜スポーツ)の手段としてクルマが発展してきた側面をもつ。自動車=モータースポーツの構図は切っても切り離せないものだった。
F1を始めモータースポーツで活躍するホンダの勇姿が、これら欧州自動車メーカーと重ね合わされてしまうのは私だけだろうか。

これに対し、トヨタ、日産などの自動車メーカーの姿勢は、むしろアメリカのそれに近い。
アメリカではその大きな国土のためもあって、有効な交通手段として自動車産業は発達してきた。A地点からB地点までを正確且つ迅速に、そして快適に移動出来るようにするかが重視されてきた。一握りの金持ちのものではなく、誰にでも手にすることが出来る一般大衆の乗り物として自動車が発達してきたのだ。

スポーツするクルマ。交通手段としてのクルマ。
環境問題を始め自動車産業は、これから先さまざまな難題を抱えながら発展してゆくのだろうが、ことによると、地球資源を無駄遣いし、騒音と公害をまきちらすモータースポーツはその存続が危ぶまれるかもしれない。
しかし、モータースポーツの火は決して絶やされることは無いと信じている。私にとってドライブする楽しさを失うことは、クルマを失うことと同義語だと思っているのだから。
書店に行けば、無数のクルマ雑誌を見かけるけど、洗濯機や冷蔵庫、テレビなど家電品にはそのような雑誌は存在しない。クルマが単なるA地点からB地点まで移動するためだけの家電品になってしまったら、クルマ雑誌など無くなってしまうだろう。

話がだいぶ横道にそれたようだれど、要するに、モータースポーツとそれを愛する自動車メーカーには、これから先声援を送り続けてゆきたいと思っている次第で、日本においては唯一ホンダのみがその精神を持ったメーカーだと思うのだ。
今年はトヨタがF1に参戦するそうだけど、何か商業的な臭いがプンプン臭って仕方が無い。最近フランスに工場を建築し欧州を拠点に売出し中のトヨタにとって、F1がもっとも手短な宣伝手段だと判断しての行動だろうか。


今ではすっかりミニバンメーカー?
ところで、最近のホンダのクルマといえば、モータースポーツの影もめっきり薄くなり、すっかりミニバンメーカーになり果ててしまった感がある。
オデッセイ、ステップワゴン、CR-Vに始まり、最近ではストリーム、フィットと立て続けにヒットを飛ばしている。その活躍はトヨタも羨むほどで、現に最近トヨタから発売されるミニバンはすっかりホンダの後追いになってしまっている。
思い出したように、S2000やインテグラなどスポーツカーを出すけど、軸足はしっかりミニバンといった姿勢が感じられるのは少し寂しい。まぁ、企業としては生き残ってナンボってことだろうけど、やっぱり寂しい話だよね。


憧れの本田宗一郎氏
ホンダ=モータスポーツの構図を作り出したのは、やはり創業者である本田宗一郎氏の存在無しでは語れない。
氏は創業時の二輪車の時代から始まり四輪車、F2などのフォーミュラーカー、そして最高峰のF1とモータースポーツ界に果敢にチャレンジしてきた。そして必ず勝ってきたのだった。
極東の小さな島国、日本の自動車メーカーが、ポルシェやメルセデスなど世界の名だたるメーカーを相手に勝ちぬいてきた姿は、オリンピックのマラソンなどで思わずテレビに向って日の丸の旗を振っている自分の姿と同様、応援せずにはいられない。

日本の自動車メーカーの中では、ホンダに関する書籍は突出して多い。特に本田宗一郎氏のサクセスストーリーには思わず感動してしまう。こういう方がカリスマとなって存在しているというだけでホンダを大きく魅力的なメーカーにしている一因だ。


ちょっと日本人ばなれ ?
もともとホンダのクルマ作りは、小さいメーカーなりのアイデア勝負といった趣向が強く、個性的なクルマが多かった。そんなところが、なんとなく日本人ばなれしたクルマだなぁと感じられたものだった。(ミニバン全盛の最近は、そうとも限らなくなってきているけど...)
加えて昨今のホンダのCMは、海外を舞台〜なんとなく輸入品っぽい演出を狙っているようだ。輸入品=高級品といったことだろうか。登場するモデルは皆、外国人出演で、舞台は北欧や欧州といったところだ。(日本で撮影して海外風に見せているものもあるけどね。)

ホンダの活躍の舞台はアメリカ。
アメリカにおいてホンダのブランド力は絶大だ。
現地主義をその基本姿勢として貫いてきたホンダだが、そのデザインには最近不安を感じる。もともとアメリカ人好みと思えるようなデザインのクルマ(例:プレリュード、アヴァンシア)を日本で販売して見事に外している。最近のシビックなどはアメリカ市場をその中心としているせいか年々サイズアップしてその魅力は半減してしまった。アメリカ人と日本人の好みの住み分けは、ホンダにとって今後の大きな課題だろう。


思い入れのあるホンダの事となると、ついつい感情が入ってしまったようで、メーカー別分析をしたか?定かではないけど、そんなホンダの中で、お気に入りのクルマを紹介します。やっぱりホンダは小さなクルマでブンブン走るのが楽しい。

《お気に入りのホンダ車》

ワンダーシビック

シビックシリーズの中でも一番のお気に入りはこのワンダーシビック。
カマボコのように切り落とした大胆なリアビュー、そして軽快な走りと何から何まで楽しい一台。

初代 シティ
このチョロQのような愛らしいスタイリングは、今でもぐっとくるものがある。
ターボ、ターボU、カブリオレなどいろいろなバリエーションがあり、それぞれに個性的で楽しい。

初代 トゥディ
このスタイルを始めて見た時にはぶったまげた。そして、運転席に座った時には、あまりの広さに驚いたものだった。
それまでの軽のスタイル(当時、フィアットウノの物真似が多かった。)を覆した大胆な意欲作だ。軽のくせにビンボー臭くないところもホンダのセンスの良さがうかがえる。

アコード エアロデッキ
正直いってこのデザインは、当時のクルマの10年先をいっていたのではなかろうか。一代で終ってしまったところを見ると、市場ではあまり売れていなかったのかな。
今見るとなかなかにいいデザインだと思うのだが。

※ クルマの画像はホンダHPより掲載いたしました





28 Jan 2002