ジョン・ゾーン[FILMWORKS]

ゾーンは各国の映画音楽をはじめ様々な映像の音楽を手がけた。
それらを集めた"FILMWORKS"シリーズ。ジャケットは光沢の無い紙が特徴。
メジャーな作品は殆ど無く、CM・アニメ・ポルノ・SMなど多岐に渡る。

(演奏家大多数につき略)

1-6 "White and Lazy" (1986) directed by Rob Schwebber
7-17 "The Golden Boat" (1990) directed by Raul Ruiz
18 "The Good, The Bad, and The Ugly" (1987)
19-32 "She must be seeing things" (1986) directed by Sheila McLaughlin


(全32曲)

ジャケット特徴:
古いカメラに裏は人物の顔。このシリーズ全てに共通する。
裏の字は相変わらず見にくい。写真もわざとぼやかしてますね。


このCD、TZADIKレーベルで出る以前にELEKTRA/NONESUCHレーベルから出ていたようだ。そちらのレーベルの"FILMWORKS"は今でも時々見掛ける。デザインが微妙に違う。

1-6は"LOCUS SOLUS"の時のメンバーが何人か参加している。最初と最後で何言ってるのかわからんヴォーカルが入る。その辺がLOCUS SOLUSを彷彿とさせる。他はSPILLANEとかで聴いたような感じの曲が並ぶ。まあ、無難なところですね。

7-17はあちこちに飛んじゃっている。徹底的に無国籍。ジャズあり、パイプオルガンあり。
11なんかは適当に音を流している風に聞える。16になるとアジアの何処かの国の、朝の祈りみたいな音楽になってしまう。


18は1分少々。ゾーン自身"ほんの気まぐれ"とか言っている。

19-32はジャズが基調。だが後の辺になるとSPILLANEとかBLUES NOELなんかに似てくる(語りは入らないけど)。だんだんしんみりしてくるような。個人的には32が好き。

全体的に安全な聴き易い曲が多いが、初期の映像作品故かまだそんなにぶっ飛びきれてないような気がする。

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(全36曲)

ジャケット特徴:
"FILM WORKS"の特長としてジャケットには古いカメラが必ずデザインされている。
中には相変わらず気色悪い絵(頭開いた人物)が。あと宗教絵画のようなものも。

CDそのものには血管が描かれていて眼球のように見えてしまう。



"untitled film"と副題があるが、この中の曲は"TRESPASS"(1992)に使われている。

二人の消防士が偶然大昔の盗品の隠し場所を知る。閉鎖された工場跡だ。
さっそくそこに探しに行くのだが、現場で勝手に住んでいるホームレスの爺さんに襲われ、更に運悪く地元の犯罪組織の殺人を目撃してしまう。
やばくなった二人は隙を見て人質を取って篭城。組織も応援を呼んで対抗。
組織のボスは罠を仕掛けるが失敗し一人が死ぬ。これを機に組織に亀裂が入る。
一方、消防士達はついに盗品(黄金製の装飾品)を発見するが・・・
果たして黄金は誰の手に、そして何人死ぬのか?(あらすじ)


監督は「24時間」のウォルター・ヒル。脚本は「フォレスト・ガンプ」のロバート・ゼメキス。
出演は「トゥルー・ライズ」「ツイスター」のビル・パクストン、「リコシェ」「JM」のアイス・T 他。
日本では1993年公開。ビデオも出てます。
ゾーンの関わった映像作品で、今でも入手可能なものです。貴重といえば貴重。



映画の中では音楽担当のギタリストのライ・クーダーの名前だけが出ている。彼のギターが聞こえない部分は大体ジョン・ゾーンだと思えばいいだろう。
クレジットの最後の方で小さく名前が出ている(SPECIAL THANKS TOのところ)。


具体的には、CD2曲目が二人の消防士が火災現場での焼死に出くわす場面に当たる。
だがこのCDの中で使用された曲は少ないように思う。意見の対立とかがあったんじゃなかろうか。ジョン・ゾーンの扱いが映画の中で小さいこと、CDに"TRESPASS"の題名が無いことから勝手に推察してしまう。


音楽そのものは不気味な感じが出ている上、中世の宗教的な雰囲気も加わって面白い。
弦のピック音やバンジョーの使い方が大きな特徴。明るくないバンジョーは初めてだ。ディジリドゥの響きもいい。
突然大音量になったりするので注意が必要。

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(演奏家大多数につき略)

1-12 "Theives Quartet" (1993) directed by Joe Chappelle
13 "Music for Tsunta" (1988) directed by Kiriko Kubo
14-24 "Hollywood Hotel" (1994) directed by Mei-Juin Chen
25-56 "Music for Weiden and Kennedy" (1990-1995)


(全56曲)

ジャケット特徴:
場面の写真が掲載されているが、これでどういう作品か想像するのは素人には無理。



映画、アニメ、TV用などの音楽。残念ながら私の全部知らない作品である。日本で公開されてないものが多いかもしれない。

1-12はマサダを思わせる編成。無難なモダンジャズといったところ。

13は玖保キリコのアニメーション用。ビル・フリセルのバンジョーが光る、楽しい音楽。後のアルバム"FILM WORKSZ"と共通項も多い。"つんた"は象らしい。

14-24のギターは最高だ。音楽としての完成度は高い。台湾の監督による53分くらいの作品。

残りは様々なアーティストが参加していて曲毎に異なる。同じメロディの様々なバリエーション。
バットマンも出て来てわけわからん。ちょこっと流すCM用らしい。

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1 "Pueblo" (1995) directed by Kim Su Theiler
2 "Elegant Spanking" (1994) directed by Maria Beatty
3 "Credits Included (A Video in Red & Green)" (1994) directed by Jalal Toufic
4 "Maogai" (1993) directed by Hiroki Ryuichi
5 "A Lot of Fun for the Evil One" (1995) directed by Maria Beatty, M.M.Serra


(全5曲)

ジャケット特徴:
全体的に暗い。腕らしき物が見える。グラマラスな女の絵が裏。


中はホントに字が見えにくい。黒地に暗い赤い字で書かれてる。読めねぇっちゅうねん。


1993-1995年にかけての映像作品の音楽。商業映画ばかりではあるまい。
"FILM WORKS"シリーズではもっとも収録曲が少ないが、中身は濃い。それぞれが異質。


1 はメロディーは単調だが落着いた感じの、ナイトクラブで流れてそうなジャズ。
映画の中身は全くうかがい知れない。2枚の写真あり(船と電信柱)。


2 はタイトルから知てお分かりのようにSMもののビデオ(30分)。
Maria BeattyはレズビアンSMものの製作・出演をこなし、その方面では名が知られているようだ。ゾーンはこの人の作品の音楽を3本も手がけている。
この作品では奥さんとメイドという設定で半裸の女たちがいろいろな事をやっている。

Maria Beattyのビデオを扱ったサイトがあり、ある程度どういう中身か分かるようになっているが、とてもじゃないけど人に見せられるような代物ではないので敢えて紹介は控えさせて頂く。
(suite)とあるので、実際の音楽を1曲にまとめたんだろう。一転してこちらは現代音楽ぽい室内楽。
後の方はメロディーがまとまってくる。なんか最初のうちは
"elegy"とダブる。


3 はレバノンの監督による作品(45分、ビデオ)。何か食べてる大人に子供の写真が。長年の内戦で疲弊したベイルートを記録した作品らしい。
いきなりやかましいノイズのような音で始まる。最初のうちはエレキギターの類のうるさい音や低音が無秩序に挟まるがその後雰囲気が一変。笛とパーカッション、弦が瞑想的な音楽を奏でる。
1つの曲の中で物凄く落差がある。この世ならぬ雰囲気の曲。

4 は黒田京子のピアノ。哀愁漂う小品。聴く価値は充分ある。
ジョン・ゾーンをぶっ飛んだユダヤ系のおかしなサックス奏者だと決め付けている方、これを聴いて認識を改めなさい。
1993年に制作された"maogai"は「魔王街−サディスティックシティー」と言う作品。主演田口トモロヲ、他に広田レオナ、白竜など。監督は廣木隆一。Vシネマ。(以上の情報はkdさんから頂きました。ありがとうございます)

5 もMaria Beattyものの17分ビデオ。手を鎖で繋がれた人物の腰の辺が燃えていたり・・・

"KRISTALLNACHT"に出てくるような声で始まる。その後いろいろな音が絡まって混沌としてくる。カモメの鳴き声(?)、グラインダーのような音、様々なパーカッション、木琴のような音、息づかい・・・トランス状態と言っていい。


いろいろSM関係に手を出しているあたりからして、ゾーンという人はその系統なんだろうか? hereticなんてのもやっているし。
それとも、たまたま友達にその方面の人々多かっただけなんだろうか?考えさせられる。

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(全48曲)

ジャケット特徴:
全体に緑が基調。裏は顔面。
中は眼帯をした女、横たわる裸の女、手を合わせた人物の写真など。


1995年制作の日本映画「エクスタシーの涙 恥淫」のサウンドトラック。監督は大木裕之。上演時間62分。
出演は田口朋毅(トモロヲでも浩正でもないだろう)、大杉暁子、葉月螢、伊藤清美、永井卓など。
・・・・・こう書いてピンと来た方がいるかもしれない。これ、成人映画だと思われる。
出演者の中にはその方面に多数出演している人もいるし、第一上映時間とタイトルからして・・・
(でかい看板が出てた上野駅前の成人映画館て、いつの間に無くなっちゃったんですかね)


アメリカからはるばるジョン・ゾーンが映画音楽を付けに来た理由は分からないが、ストーリー等で共感を得る部分があったのかもしれない。騙された・・・てことも無いでしょう。
日本に知り合いも多いゾーンのことだから、友達に頼まれたのかも。


JrIさんからの情報によれば、ゾーンは日本に住んでいたことがあり、その時期日活ロマンポルノを見ていたそうである。知り合いが出来て自分から曲を書こうということになったのかもしれない。(情報感謝!)


成人映画にもかかわらず音楽は全く手を抜いてない。上映時間62分に対しCDは58分なんだから。口琴(48曲目)や喉歌(15曲目)の類も顔を出す。全体的にはあれもこれもやっているという感じ。"Music for Weiden and Kennedy"(John Zorn FILM WORKSV収録)のような曲もあるし、"TRESPASS"(John Zorn FILM WORKSU収録)のような曲も出てくる。また、12曲目はマイク・パットンのバンド"Mr.Bungle"のアルバム"DISCO VOLANTE"の中の1曲目からの借用のようだ。

アジア・日本的なメロディも随所に顔を出す。
FILM WORKSUのような統一感はない。途中耳をつんざく音が入っているので、注意。


役者の台詞よりも主張してしまっているんじゃないかな・・・・・音楽としては面白いけど。
この手の映画に台詞はあまり重要ではないか。


この作品、音楽的には興味有るけど見るチャンスは無いでしょう。ビデオで出ているかどうかあやしいし、TVの電波に流れる可能性はゼロなんで・・・。
日本各地の成人映画館をはしごしたら出くわすかもしれません。私はやりません。それにしても贅沢な映画だ。

大木裕之監督は現在も精力的に撮られているようで、もしかしたら次にジョン・ゾーンが曲を付けることがあるのかもしれぬ。
成人映画等から出発して、後に世間に認められるようになった映画人も多くいますから。



ジョン・ゾーンの演奏する"Prepared Piano"の音色に興味がある方はジョン・ケージの曲、あるいはアルフレート・シュニトケの合奏協奏曲第1番でも聞いて下さい。
ピアノとは思えぬ、変なコンコンとした音が面白いです。

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1-4 "Anton, Mailman" (1996) directed by Dina Waxman
5-14 "Mechanics of the Brain" (1996) directed by Henry Hills
15-16 "The Black Glove" (1996) directed by Maria Beatty



1.Opening Credit/Hawaiian Postcard 2.Work-A-Day World (Anton's Theme) 3.Seductress 4.End Titles

5.Fireworks 6.Surgery Montage 7.Brain Scan 8.Witches' Cauldron 9.Houdini
10.Subliminal Perception 11.Measuring 12.Macbeth 13.Pendulum
14.Mechanics of the Brain


15.Part One (Hot) 16.Part Two (Cool)

(全16曲)

ジャケット特徴:
白地にカメラ。裏の脳の断面以外、全てモノクロ。
SMのあやしい写真がいっぱい。まずいっすよ。


いずれも1996年制作の映像作品。

最初の作品はまともな音楽。1曲目はハワイアンが入ってるし、2曲目では口琴が活躍。
口琴はこう演奏しなきゃ駄目みたいですね。3・4曲目のマーク・リボーのギターがいい。
どれも3・4分なので、作品の時間が短いのか部分的にかかわったのかどちらかだろう。


次の作品の監督Hillsという人は、過去に自作にゾーンの音楽を(Naked Cityあたりから)いくつか使ったことがあるらしい。
映像の写真が無く、脳の図解しか載ってないので映画の中身は想像し難いものがある。
"Houdini""Macbeth"等という曲があり、教育映画とも思えない。
弦楽あり、ギターあり、くそやかましいのありといったところ。統一感無し。いい曲もあるのだが
10・13のようなクチャクチャしたり変に水っぽい音、不潔極まりない肉声入りといったやな曲もある。全体的には
"elegy"に近いかもしれぬ。


最後はMaria Beattyによる30分のレズビアンSMビデオ。監督自ら出演。
パートTが20分近くもあるが、焚き火の音や風がビュービュー吹いてる音をまとめたようなもの。最後の辺でだれかマッチを擦ってる。
パートUは水の流れる音、轟音、風のビュービュー。聴いても決して心安らかにはならない。
何かボイラーの音みたいだな。これをバックにSMやんのか・・・

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(演奏家多数につき略)

1-6 "Trip Coaster"
7-11 "Ch ch change"
12-15 "Through the Night"
16-23 "Bubblin' Singin'"


(全23曲)

ジャケット特徴:
玖保キリコのイラストが満載。ジョン・ゾーンのジャケットの中で鑑賞に堪えうるものの、数少ない一つ。



"Cynical Hysteric Hour"というアニメーション用。実物を見たことがないので断定する自信が・・・。
編成で言えば"FILM WORKS U"と共通する部分も多い。バンジョーやパーカッション、ハープ等。


4話毎に演奏の参加者が違う。16曲目から玖保キリコ自身がヴォーカルに加わる。
わたしの好きなものがなんだとか食べ物について歌う。日本語で。
(意味不明のシャウトが聞えるが無論彼女ではない。)
蛙の鳴き声を挟んだりいろいろアイデアがあって、子供が親しめるような音楽に出来上がっている。ジョン・ゾーンに嫌悪感を持つ人でも大丈夫、だと思う。



追記:
邦題は「シニカル・ヒストリー・アワー」。1988.12〜1989.6までに4話制作された。
監督は玖保キリコ。4話全て上映時間は8分くらい。同時上映として流したんだろうか。
各話の邦題は下記の通り。ビデオで出ていることも無いと思うが、参考までに。
ヘラルドなんかが配給してます。どんな声優が出ていたかについては未調査。
玖保キリコについてあんまり詳しくないもんで・・・ファンの方には笑われるな。

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1-11 "The Port of Last Resort" directed by Joan Grossman and Paul Rosdy
12-21 "Latin Boys Go to Hell" directed by Ela Troyano



1.Teqiah 2.Shanghai 3.Emunim 4.Ruan (guitar version) 5.Ebionim 6.Ahavah
7.Ruan (pipa version) 8.Livant 9.Or Ne'erav 10.Shanim 11.Ruan (solo piano)


12.Deseo 13.Mentiras 14.Ansiedad 15.Locura 16.Sangre 17.Olvido 18.Engano 19.Traision 20.Ilusion 21.Lagrimas

(全21曲)

ジャケット特徴:
黄色地にびっしりカメラ。このシリーズの中で最も明るい感じ。
いかにも戦時中というモノクロ写真の数々。その裏は・・・・ホモか、こいつら。
しゃれこうべを股に押し付けるんじゃない!馬鹿者!


はっきり書かれていないので分からないが、共に1997年制作の映像作品だと思われる。

"The Port of Last Resort"はドキュメンタリー作品。1930年代のヒトラーの迫害を逃れて上海に渡ったユダヤ人を取り上げている。

だから全体的に音色はアジア系なんだけど、メロディーが聞き覚えのあるユダヤ系の音楽になる。"アジアを装ったユダヤ"とでも言えばいいだろうか。
でもこれくらいアジアっぽくなればどれも耳に馴染み易い。個人的には
"Bar Kokhba"より好き。
"pipa"という弦楽器を効果的に使用し、これが成功している
("pipa"とは琵琶(びわ)のことです。"くうたれ"さんから情報を頂きました。感謝!)。弦楽中心の編成。
この中のメロディーが一連の"マサダ"のCDの中に含まれているのかもしれぬ。
人前で流しても嫌がられない、ジョン・ゾーンの中でも数少ない?CDの一つ。


"Latin Boys Go to Hell"ていうのは・・・写真で見る限り性倒錯とドラッグに溺れる若者の話のように思われるが不明。
ヴィブラフォンやパーカッションが音の中心。くそやかましい音楽にはならず落着いた曲が多いが、どこか不安を内包しているような感じがある。19のように延々と続きそうな曲もある。
最初の曲の息づかい・・・写真のイメージで考えたら嫌だな。

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filmworksIX
1-18 "Trembling Before G-D" directed by Sandi Simcha Dubowski

1.TREMBLING BEFORE G-D 2.MAHSHAV(solo piano) 3.TASHLIKH 4.YECHIDA
5.IDALAH-ABAL 6.SIMEN TOV/MAZEL TOV 7.SHOLOM ALEICHEM
8.NOTARIKON 9.MASKIL 10.TREMBLING BEFORE G-D(solo organ) 11.MAHSHAV(duo) 12.DESERT MONTAGE 13.KAPOREH 14.TASHLIKH(fast)
15.NIGUN 16.TREMBLING BEFORE G-D(intro) 17.END TITLES
18.KAPOREH(solo piano)


(全18曲)

ジャケット特徴:
シルエット。この人がどういう人種かはすぐにお分かりいただけるかと思う。


2000年製作の映像作品"Trembling Before G-D"のサウンドトラック。全体の写真などからしてユダヤ人をテーマにした作品だということが分かるはず。

シロ・バプティスタとジョン・ゾーンが一部に顔を出す(6曲目はゾーンが歌っている。明るいというか、とんでもないことになっている)以外は鍵盤楽器とクラリネットだけというごくシンプルな構成。それでいて奥行きのある世界を表現しているのだからすごい。ジェイミー・サフトとクリス・スピードの2人の名演奏が光る。
メロディーは"マサダ"などをかじった人ならすぐにピンと来るような曲がいくつも散りばめられている。"IDALAH-ABAL"や"MAHSHAV"なんて曲を聴いているとゾーンの原点なんじゃないかと思えてくる。


ユダヤ系だということで色眼鏡で見てしまいがちな人に是非お奨めしたい。何の抵抗も無く、耳に心地よく聴ける。ゾーンも脂が乗ってきたといえようか。

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John Zorn FILM WORKS ] In the Mirror of Maya Deren
(2001, TZADIK) TZ7333
filmworksX
1-18 "In the Mirror of Maya Deren" (2001) directed by Martina Kudlacek

1.DRIFTING 1 2.DANCING 3.KIEV 1(piano) 4.TEIJI'S TIME 5.NOSTALGIA 1(duo)
6.FILMING 7.MIRROR WORLDS 8.NIGHTSCAPE 9.NOSTALGIA 2(cello)
10.HAITI 11.KIEV 2(cello/bass drum) 12.VOUDOUN 13.DRIFTING 2
14.KIEV 3(cello) 15.DRIFTING 3


(全15曲)

ジャケット特徴:
モノクロ写真。映っているのは「午後の網目」のマヤ・デレン(違うかもしれない)。


2001年製作のドキュメンタリー作品・"In the Mirror of Maya Deren"のサントラ。マヤ・デレンという人は「午後の網目」等で知られる前衛映像作家である(もちろん、故人)。過去にジョン・ゾーンは彼女の語りを引用した作品"In the Very Eye of the Night"を発表している。余程影響を受けたのだろう。

このアルバム、同じタイトルの曲がいくつも並んでいるが、それぞれアレンジ等が異なっており、別の曲として捉えることができる。
1・13・15曲(オープニングとエンディング含む)はゾーン自らがピアノを演奏している静かな瞑想的雰囲気の曲。
2・10曲ではシロ・バプティスタのパーカッションが登場。リズムのいい曲だが弦を弾くのが大変そう。12曲ではパーカッションが前面に押し出している。土俗的な雰囲気。
4曲目では怪しげなパーカッションに乗って口琴が登場。なかなか面白い。
5・9曲はチェロバージョン・チェロとピアノバージョンどちらも泣かせます。悲壮感がちらつきながらも力強さを感じる。
このアルバムの中で白眉なのは"KIEV"と呼ばれる3・11・14曲。3つとも編成が異なるがどれも陰鬱だが美しい世界を奏でる。特に11曲のフリードランダーは熱演。
"untitled"もそうだが近年の彼のチェロは素晴らしい。ロストロポーヴィチも引退を考える場合じゃないし、ヨーヨー・マもうかうかしてられないぞ。


クラシックの現代音楽としても充分に通用する、名作である。ゾーン・マニアならずとも店頭で見かけたら買うべし。現代社会で傷ついた心が癒されます。

これだからジョン・ゾーンはやめられない。


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