ジョン・ゾーン[Moonchildもの]

ジョン・ゾーンの新たなる挑戦、"Moonchild"シリーズ。
漆黒の闇を疾走するような、迫力に満ちている。

1. Hellfire 2. Ghosts of Thelema 3. Abraxas 4. Possession 5. Caligula 6. 616 7. Equinox 8. Moonchild
9. Le Part Maudit 10. The Summoning 11. Sorceress

ジョンもとうとうやってくれた。いろいろな意味で強力である。どこまでも地獄を地で行くようなベースとドラム。ここまで聞くとルインズ(吉田達也のアレですね)ぽいけど、まったく異質。パットンの声はもちろん具体的な歌唱などではなく、声帯を苛めに苛め抜いた、別次元に行っちゃった人の奇声とも言うべき代物。1曲目からかなりハイになる。ジョンが目指したルインズ的な音の体現というのはこういうことだったんだろうか。ネイキッド・シティのグラン・ギニョールで試みた実験がこういう形で花開いちゃったかという印象。マニアなら一日一回は聴かないと気がすまなくなるだろうが、苦手な人からは全く見向きもされないであろう。ジョンについていくかどうかをここで試される、踏み絵のような一枚。

Astronome
(2006,TZADIK) TZ7359
1. Act 1
(1) A Secluded Clearing in the Woods (2) A Single Bed in a Small Room
(3) The Innermost Chapel of a Secret Temple

2. Act 2
(4) A Mediaeval Laboratory (5) In the Magick Circle


3. Act 3
(6) A Barren Plain at Midnight (7) An Unnamed Location


前作"Moonchild"に続く第2弾。もう民族性とかメロディーなんてへったくれもない。暗黒を這いずり回ったり疾走するようなベースとドラムに乗せてマイク・パットンが"ウギャギャギャ〜!!"。3トラックしかないが細かく7部に分かれているらしい。前にも増して不気味で凶暴になった。個人的な感想をいえば、即興的な要素もあるにはあるが、全部が何か得体の知れないものにインスピレーションを得て作られた、細かい計算に基づく音楽だと思う…って普通の人はそうは感じないよなぁ。前作と違い化粧箱とブックレット付き。これだけでもマストアイテムになること間違いなし。アントナン・アルトーの影響を受けたんだってさ。分っかんないよ。"…メイ…コルティ…フィラ…"覚えちゃったよ。

SIX LITANIES FOR HELIOGABALUS
(2007,TZADIK) TZ7361
1. LITANY T 2.LITANY U 3.LITANY V 4.LITANY W 5.LITANY X 6.LITANY Y
ついに第3弾が出たこのシリーズ。いつもの3人に加え、ジェイミー・サフトのオルガン、イクエ・モリの電子音、3人の女声コーラス、そしてジョン・ゾーン御大が指揮だけで飽き足らずアルトサックスを手に乱入。1曲目は変なところにコーラスが入る。ゾーンのサックスはパットンの声とかなり似たところがある。女声コーラスはアカペラ合唱だけでなく、タイトルにもある"Heliogabalus"を繰り返しささやいている。2曲目ではゾーンとパットンの掛け合いも少し聴ける。が、この後オルガンに乗せ静かな音楽になるのが特徴。キャーキャー言うだけにも限度があったか。3曲目は中盤女声コーラスが目立ってくる。また"Heliogabalus"を繰り返す。また、アカペラ合唱とセットになって電子音がチロチロ響いてくる。ここまで聴いているとパットン先生、今までほど目立ってないな、と思われるかもしれない。しかし4曲目、ついに出ましたよ、パットン先生のソロ。よく回る舌、どこから出てくるのか分からないほどよく出る声量、声の静と動…どれをとってもこの人は怪物。これが延々8分続く。5曲目になるとパットンら3人を中心に再びパワー全開。最後の曲は静かな始まり。コーラスが伸びやかに歌う。このCDに描かれているものは破壊ではなく再生だ、と言わんばかり。再び"Heliogabalus"…これを機にゾーンとパットンが目覚める。散々騒いでパタッと終わる。ところで、"LITANY"とは連祷といって、要は祈祷の一種であると言うことは分かったのだが、"Heliogabalus"ってどういう意味?"Helio-"が太陽を指すと言うところまでは分かっているんだけど…と思って探していたら、変態皇帝の名前だったのね。最後にこのCDのケース、薔薇の香りがする。購入されたら御試しあれ。

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