シャドー・ブラックビート 




シャドーは哀しい戦士

 シャドーを演じた土屋圭輔さん(現・平 東さん)。ダイレンジャーの知の時よりも精悍さが増してましたね。キッとつり上げた目に、ちょっと突き出した口元に、悪に徹しきっている表情を感じてとても印象的でした。最初ッからね、シャドーっていうか、拓也の偽者で圭輔さんが出てくれないかなぁって思っていたわけです。だから、「ライバル大激突」の時のシャドーを見て、ちょっと意外ではありましたね。だって、圭輔さんと体型が全然違うんですもの。圭輔さんは拓也役の大輔さんと一緒でスマートですから。まぁ、岡元シャドー(笑)も素敵ですが。「見た!!黒の素顔」で邪甲をといたら、邪甲する前よりも細かったし(笑)でも、やっぱり双子というのは、クローン役としては説得力ありすぎですね。台詞もナレーションも何もいらない。その顔、その姿を見せるだけでまわりが納得するんですから。と、前置きはこれぐらいにして本題を。

 ガオームはビーファイターを倒すため、ビーファイターと同じような能力を持った戦士が必要だと考え、魔道士ジャグールを呼び寄せました。そして、シャドーは拓也のクローンとして、そのジャグールの手により生み出されたわけです。拓也の能力だけでなく容姿まで同じ存在として・・・。しかし、シャドーと拓也が同じなのはそれだけです。それ以外で拓也が持っている何物もシャドーは持っていません。仲間も、過去も、いかなるモノも、です。自分の存在を認めてもらうこと、それはオリジナルである拓也・ブルービートと戦い、倒すことだけ。

「地位も名誉も・・・手下さえも不用!やつを・・・ブルービートをこの世から消せる機会さえあればいいのだ・・・俺には!」

シャドーは自己の存在証明の為にブルービートを抹殺する必要があるのです。その為なら、自分を生み出したジャグールも平気で倒してしまう。そんな冷酷さも全ては拓也を倒すためなんですね。自分に課せられた宿命に従い、戦い続けるシャドー。シャドーは、常に拓也を殺さなければ自分はオリジナルになれないという存在意義の危機にあるわけです。しかし、そんなことは拓也は知らない。だから、「ライバル大激突」でシャドーは人間体の姿で表れたとき、拓也に対して「お前を倒さないと俺は俺になれない」「光と影の宿命・・・」と言ったのだと思います。「おまえの喜びも哀しみも総て奪ってやる!」といったことも叫んでいました。シャドーは、拓也の“喜び”だけでなく、“哀しみ”さえも“総てほしい”んですよね・・・。そうはいっても、その時の拓也には何のことかわからなかったのですが・・・。この時、拓也が傷つくとシャドウも傷つきました。これは、シャドーがだんだん拓也に近づいて行っている。つまり同じ人間が同じ空間に2人存在することになりつつあるってことだったんでしょうか。ただ、シャドー自身も自分が傷ついた理由がわからずに、ガオームに食ってかかります。しかし、そのことに触れないガオームに、この後、だんだんと不信感を持っていくようになるんですね。
 そして、シャドーは自分の身体の変化(実は細胞の崩壊)を感じ始めます。そんな中、自分たちの宿命になかなか理解しない拓也に、とうとうその素顔(正体)を見せるシャドー。その時の顔がもう〜、カァ〜コイイ!!素敵すぎるぅ〜(*^^*)・・・い、いや、思わずミーハーしてしまった。
 とにかく、シャドーはただ、純粋に、拓也と戦うことだけを望んでいたのでしょう。だからこそ、建物が崩壊したとき、殺そうと思えばいつでも殺せたのに、瓦礫から拓也を守り、しかも目を覚ますまで殺さない。このシャドーの律儀さ、純粋さ。拓也の目が覚めるまでひっそり待っているあたりに彼の心の葛藤、こだわりを見たような気がします。シャドーも、きっと、こんな形では生まれたくなかったでしょう。何故、生まれなければならなかったのか?だけど、今更その意味を問うのは無意味だからこそ、生きるために、拓也を殺すことで、オリジナルの「拓也」としての「自分」の存在を認識したい、自分こそが「本物」だと信じたい、その葛藤から逃れたくて苦しんでいたんですよね。そして、生まれた以上は精いっぱい生きる。
 ガオームに単に利用されていたことを知り、決定的な孤独に陥るシャドー。彼にあるのは、もはや自らの命を長らえ、拓也と戦い、倒して、自分が「拓也」になるという目的だけ。でも、シャドーも本当は仲間がほしいんですよね。だから命を懸けてジェラを助けたりしたし、ジェラが去ったときに「やはり俺は孤独なんだ」と言ったりしたんですよね。生み出されてからずっと、ガオームも三幹部も、シャドーの存在を認めていなかったんじゃないでしょうか。誕生したときから、シャドーも自分の存在すらまわりから認められているとは思ってなかったのではないでしょうか。もし、彼らが、ちゃんとシャドーの存在を認めていたら・・・。たぶん、あそこまで孤独に陥らなかったでしょうね。そんな心の痛みに呼応するかのように、体にも痛みが走る。自らの生命が果てるのを嫌がおうにも感じているシャドー。シャドーが拓也を倒して唯一絶対の存在になれることがシャドーにとってベストなんでしょうけど、同じように拓也が自分を倒してくれることも、シャドーは望んでいたんじゃないでしょうか。シャドーは、拓也に「俺のこの手でお前を倒す!」と言っていましたが、それと同様に「俺が倒されるのならお前に!」とも、思っていたような気がします。きっと本人は意識してない心のどこかで、ね。そうでなければ、セント・パピリアを捕まえたときに、永遠の生命を望んでいたはずです。永遠の生命があれば拓也にもガオームにも負けることはなくなります。完全体として存在することができます。しかし、シャドーは何故、そうしなかったか。「永遠の命を得たものに敵はない」と言うセントパピリアの言葉に、あらためて拓也との決着を誓うシャドーに、彼のこだわりを見た気がしました。シャドーって本当は、拓也を殺したいんじゃなくて、拓也と戦いたいだけなんですね。
 拓也を倒す為だけに生まれてきたシャドーには、他の生き方は許されませんでした。彼の存在意義は、拓也との戦いの中だけにありました。それ故にオリジナルである「拓也」が、妬ましく憎い存在だったんでしょう。コピー(クローン)であることを否定しながら、実はそれに一番こだわっていたのもまた、シャドーだったんですから。それが最後の戦いでの

「もはや、限界。やはり俺は出来損ないのコピーだった」

と言う言葉なのでしょう。そして、

「お前が生み出した俺は消えて無くなる。今この瞬間、永久に」

シャドーの「どうだ、嬉しいだろう。よかっただろう」と言外に言っているような強がりな言葉、そして表情・・・。そんなシャドーに対して拓也は

「いや、お前は・・・お前との戦いは消えない。俺の心の中だけに生き続ける。俺は忘れない、永久に・・・」

と言います。だって、拓也はシャドーを自分のコピーだとは思っていなかったはずですし、シャドーが憎いから戦ったのでもないのですから。
 そんな拓也の気持ちがわかったからこそ、一瞬の戸惑いの後にシャドーは微笑みました。生まれて初めての、そして最後の笑顔・・・。シャドーは、やっぱり拓也に自分の存在を一番認めてほしかったんだと思います。拓也に認めてもらえた嬉しさ(安心感)と、それ故に「あぁ、もういいかな」という気持ち。今までの総ての感情が浄化されたような微笑み。とにかく、あの最後の微笑みは最高です!

 あぁ、もう、何かうまくシャドーへ想いが表現できないなぁ。同じようなことや矛盾したこと書いてる・・・。やっぱりまだ気持ちの整理ができてないのかも。(2年以上経っているのに)

彼に関する簡単なプロフィールは「ジャマールDATA」のページにあります。




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