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『D&D&D』 第4話 間宮らいか著 |
「おやっさん、またたのむわ」
ありとあらゆる武具が所狭しと並ぶ店の扉を勢いよく開けたのは、まだ少女の面影を残す若い女戦士だった。
「おお、ミキじゃないか。今回はまた長かったな。わしゃ今度こそ、お前さんが悪魔どもの餌になったと思ったよ」
そう言うと店のおやじは、少し太り気味の腹をさすりながら笑った。
ミキと呼ばれた女戦士は、気にする風もなく背中にかついでいた剣をカウンターの上に置く。
「どうだい、けっこうな業物だろ」
そう言うと、ニヤリと笑いカウンターの上に置いた剣を、おやじの方に押しやる。
おやじは黙って剣を手に取り、鞘からぬいて刀身をしげしげと眺めると片方の眉毛をわずかに動かした。
そして、おもむろに口を開く。
「確かにいい剣だ。切れ味はいいだろうし、鞘の装飾もみごとなもんだ。しかしそれだけだ。魔法の力が感じられん。ま、金貨で90枚ってところだな」
おやじはそれだけ言うと、金貨の入った袋を取り出し、10枚だけ抜いてカウンターにおいた。
「あちゃー」
ミキは額に手を当て上を向く。
「ま、いいか。修理も頼むわ」
そう言うとミキは手慣れた動作で、つけていた鎧を外し出した。
女性用に作られたその鎧は、なめし革に鱗状に金属板を縫いつけてある。絶対的な防御力よりも、動きやすさを優先して作られた物だ。所々ひしゃげたり、外れたりした金属板が戦闘の激しさを物語っている。
「お前さんにしちゃ、ずいぶんと傷めたもんだな」
おやじはミキの外した鎧を手に取ると、打撃を受けて痛んだところを確認しながら、つぶやくように言った。
「得物が弓矢だった頃は、鎧の修理なんぞまず無かったのにな。アレの修理は、とっくの昔に終わってるんだが、もう使う気はないのか?」
おやじの問いに、ミキは少し困った顔をする。
「あの弓矢は特別だからね。使うべき時が来るまで、預かっておいてよ」
「やれやれ、お前さんほどの弓の名手が使わなかったら、いったい誰があの弓を引けるっていうのかね」
がっかりしたようなおやじの言葉に、ミキは申し訳なさそうに頭をかく。
「ま、お前さんが何時あの弓を引く気になってもいいように、ワシが手入れしておいてやるがね。鎧の方は明後日の朝には出来るから、それまでゆっくりしてくるといいさ」
「ありがとう。そうさせてもらうよ。」
ミキは、二つの意味を込めて礼を言うと店を後にした。
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