2000年9月24日(日)

エビも登れる新型魚道

 えっ、エビって魚道登れないの?
 きっとこのニュースをごらんの諸兄の中にもそのように思われた方がたくさんおられることでしょう。
 これまで河川に設置されてきた魚道は、魚が泳いで遡上することを主眼に置いて設計されてきたため、主に歩行によって遡上するエビやカニなどの甲殻類にはあまり適当な形ではなかったということです。

 8月末から9月3日まで、長崎大学環境科学部、水産大学校、日本大学理工学部の共同プロジェクトが西彼杵郡大瀬戸町の雪浦川で新型魚道の実験を行いました。
 今回、このプロジェクトによって開発された新型魚道は、これまでの魚道より傾斜角を大きく(5度から19度)することで全体をコンパクトにしてコストダウンを図りながらも階段上水路とすることで流下する水の勢いを弱めているほか、従来垂直だった側壁を斜めにすることでそこを甲殻類が歩いて登っていけるようにしています。

 実験の結果、ヤマトヌマエビやモクズガニなど、かなりの数の十脚甲殻類が遡上したことが確認され、この新型魚道の効果が確認されたということです。

 さて、何故こういった魚道の開発が求められたかということですが、このプロジェクトをリードした長崎大学環境科学部の三矢泰彦教授にお話を伺ったところ、河川上流部の生物多様性を維持するためだということでした。
 つまり、河川の上流部にはもともとヤマトヌマエビなど「孵化した幼生がいったん海に下り、大きくなって再び川を上る」=通し回遊型の甲殻類が多く棲み、生態系の中で捕食・被捕食動物として重要な役割を担っていますが、河川開発により堰が作られたりして遡上が妨げられ、結果としてこうした甲殻類が減少、もしくは見られなくなるということが現実に起き、河川の生態系に大きな影響を与えているということです。
 こうした状況を改善しようというのがこのプロジェクトの趣旨で、生物学的側面を三矢教授と水産大学校の浜野助教授が、土木工学的側面を日本大学理工学部の安田助教授が担当し、今後の河川開発のあり方を研究・開発しているということでした。



魚道が設置された場所


これが新型魚道だ


魚道を調べる安田助教授


魚道を上った生きものたち


魚道を上った生き物を調べる三矢教授