ずんぎょう納言による、古典のパスティーシュに対して、NIFTYの友人である9/10ライヤーさまとふとがみ氏より、
解説を頂きました。本文の後に、解説もお楽しみください。
「冬はスキー」
              出典:「書院草子」 著:ずんぎょう納言

冬はスキー。風つめたしと思へども、ゲレンデ銀に光りて、
しばし粉雪の吹きあげたるさま、いとおかし。

我かへりみず、いとやむごとなき中に交じりて、
高し丘より滑り落ちたれば、とく腰など打ち痛め、
骨など損なわれしこともありけれ。

リフトに乗りたるカップルの笑いさざめし、かの様子、
ひとごとなれど、いとくやし。
<現代語訳>
冬はなんといってもスキーである。風がどんなに冷たく思えても、
ゲレンデが銀色に光って、ときどき粉雪がぶわっと吹き上がったりする様子は 本当に趣深いものである。

身の程も知らずに、とっても上手な人達の中に交じって、
たいへん高い斜面から滑って行ったりなんかした日にゃ、
したたか腰を打ってしまい、ともすると骨なんかにヒビ入ったりするから
どえらい大変なんである。

そんでもって、リフトに乗ってたりなんかするカップルが、
仲良さげに笑ったりしてる、そんな様子を見ちゃったりなんかすると、
どうでもいいんだけど、ほんのちょっとだけ悔しかったりするのである。
<ライバル紫敷布(9/10ライヤー)より
ずんぎょう納言さまへ>


ありふれた情景も、古語で表現すると斯くもゆかしい。

ゆかしいと言えば、本文末行の
  ‖いとくやし。
が、現代語訳では、

‖ほんのちょっとだけ悔しかったりするのである。
とあるのも、奥床しいものがあります。

 「いと」をほんのちょっとと訳すためには、一般的にはその後に否定語を用いなければなりません。
(省略もあるので、注意が必要。)
本文の場合「たいへん悔しい」と訳すべきところなのであるが
「ほんのちょっと」と表現されているところに惹かれるものがあります。    
<ふとがみ氏による「冬はスキー」1週間後現代誤訳>

ふゆちゃん、大好き! 冷静なそぶりしてたくせに、転んだら目がギラギラ。
ぷんぷんになって雪をけちらすんだもん、思わず笑っちゃった。
あたし、おかしくって振り返りもせず、元気ばりばりの連中んとこいったら、
あらら勢い余って滑り落ちちゃって、ああん、腰が腰が・・・。
「骨、大丈夫かなあ」。

そしたらそれ見て、リフトのカップルが笑うの。
「あれが例のサマコだぜ」。なんて一言! あーむかつく!
あら。あれって、ふゆちゃんじゃないの(;_;)
註※最後の一行は原文から脱落しておりました(爆)。