昔なつかし 町の風景
T はじめに
私も寄る年波か、この頃、ばかに昔の風景が思い出されてくる。それは年の
せいばかりでなく、最近の新聞を賑わす、やれ殺人、やれ強盗、
やれ轢き逃げ等々、実に殺伐な世の中がそうさせているのかも知れない。
昔は良かった。鍵をかけずに出掛けても泥棒に入られるでもなく、
町を歩いてどこかで弾く琴の音、自ずと心和らぐ風情だった。五月ともなれば、
青空を泳ぐ鯉のぼりに春到来を感じ、風鈴を聞けば夏を、軒並みに掲げられる
提灯と 「ワッショイ わっしょ」の叫びを聞けば秋を感じ、白装束で、
うちは太鼓の一団を町で見かければ、「お会式」の冬到来間近と感じさせ、
四季折々の移りを自然に味合えたといえよう。
そんな想いを、思い出すままに記してみよう。