日本の方言 愛知県三河弁

三河弁(みかわべん)は旧三河国(現在の愛知県東部)で使用される日本語の方言てある。

三河弁は、西三河東三河では、その語彙・発音などが異なっている。東三河は豊橋地方から音羽町赤坂あたりまでで、西三河はそれ以西、

岡崎市本宿付近から三好町ぐらいまでの境川より東の地域ということになる。境川以西は名古屋弁尾張弁)の圏内で、その影響をうけている。

一般に西三河は「じゃん・だら・りん」、東三河は「のん・ほい・だに」という特有の言い回しで、方言分類できる。東三河方言は遠州弁と共通する

言い回しも多い。

アクセントや発音において、三河弁は東京方言と類似すると指摘する論者もいる。

語尾

語尾には主に「じゃんだらりん」、「まい」、「だに」が使われる。

じゃんだらりん

「じゃん」「だら」「りん」の3つの語尾は三河弁を代表する表現と考えられており、まとめて「じゃんだらりん」と言われる。
…じゃん

〜じゃないか(反問・詰問)、〜だよね?(念押しの疑問)。最近では共通語として定着しつつあるが、元は中部地方で使われていた方言であり、それが戦前に横浜に伝わり、さらに1960年代後半以降、東京でも新方言として使われるようになった[1]。中部地方の中でも愛知県三河地方ではいち早く使われ始めた[2]。念押しの疑問で使われる場合には、「〜じゃあん」になり、文が続く。文が続かないと、相手に「だから何?」とか「それで何?」などと尋ねられる。反問・詰問で使われる場合は、「じゃんか」、念押しの疑問で使われる場合は、「じゃんね」が使われることもある。


(例)
「俺、今週給食当番じゃん!」
 (「俺、今週給食当番じゃないか!」)
「湖西市ってさぁ、愛知県との県境じゃあん。だもんで、三河弁が話されとる。」
 (「湖西市ってさぁ、愛知県との県境だよね。だから、三河弁が話されているんだよ。」)
…じゃんね
〜なんだよね。「俺って〜じゃんね(それで……)」「昨日〜だったじゃんね(それで……)」というような、次の話の展開に持っていく一方的な説明によく使われる。 暗い内容や、辛いことを話す時には、「……じゃんね〜(語尾は少し上げる)」の様に、最後伸ばすことが多い。名古屋に近い方では、疑問の意を含む場合もある。
…じゃんな
〜なんだよな。
…だら、…だらあ、…らあ
人に同意を求める際に、疑問文の形で用いることが多い。
「だら」は西三河で、「らあ」は東三河で使われることが多い。
・「だら」は「〜でしょ?」と言う意味で、少し強め。若者が使えば、「〜だろ?」の様な雰囲気となる。
・「だらあ」は「〜でしょう?」という意味になり、やわらかい表現になる。
・自慢する時にも使われる。
・「い」の後ろに付く場合(形容詞の後など)には、しばしば「だ」を省略する(「これ、きれい(だ)らあ。」など)。
(例)
「お前の番、次だら?」
 (「お前の番、次だろ?」)
「明日から10月だらあ。」
 (「明日から10月だよねえ。」)
「携帯の電波、入らんくない?」]
 (「携帯の電波、入らなくない?」)
「これさっきクジで当てたんだ。いい(だ)らあ。」
 (「これさっきクジで当てたんだ。いいでしょう。」
〜りん
動詞の連用形に「(り)ん」を付けて軽い命令形を作る。一段動詞、上一段活用、下一段活用には「りん」、五段活用には「ん」が付く(「×行きりん」ではなく「行きん」)。サ行変格活用の「する」にりんをつけると「しりん」になる。カ行変格活用の「来る」にりんをつけると、人によっては、「こりん」と言ったり、「きん」と言ったりする。連用形なので、文法的には「きりん」が正しいと思われる(ただし一般にはあまり「来りん」は使われず「おいでん」が使われることが多い)。これは年代によって使われかたが異なる。名古屋弁の「連用形+やあ」と成り立ちは異なるが、用法は似ている。
(例)
「食べりん。」
 (「食べなよ。/食べたら?」) (※名古屋弁:「食べやあ。」)

まい

〜まい
〜しよう。名古屋弁の「〜まい」と微妙に語形が違う地域がある。
(例)
「行こまい。」(名古屋弁と共通)/「行かまい。」(一部地域や遠州弁)
 (両者とも「行こう。」の意)

語彙

あ行
いかん 
【連語】1. だめだ 2. 行かない 「あいつはいかん奴だ」(あいつはだめなやつだ)、「君はいかんの?」(君はいかないのか?) 語尾を上げ疑問調に言えば単独で「行かないの?」の意になる。「(上げ調子で)行かん?」(行かないのですか?)など。
いしな(石な) 
【名】石
おいなあ 
【連語】いらっしゃい (「おいでん」と同じ意味だが、若い人はあまり馴染みがない。)
えらい 
【形】疲れた、きつい、大変だ
おいでん 
【連語】来てください、来てみたら (「おいでなさい」から転じて。動詞「来る」に「りん」を付けて「来(こ)りん」とも。) 「早くおいでん(よ)」
おうし 
【名】あなた
か行
かう 
【動四】(鍵を)かける
きない(黄ない) 
【形】黄色の
ぐろ 
【名】端(はし)、隅(すみ) (土を盛り上げた田畑の境(あぜ)を畔(くろ)と呼び、これが訛った。)
げえ 
【終助詞】〜なあ (名古屋弁から最近入ったもの。) 「やだげえ」(嫌だなあ)
げな 
【終助詞】〜だそうだ
けった 
【名】自転車 (ケッタマシーンとも。乗る際に地を蹴る(蹴ったくる)ことから。「けっ」と平板に発音。ケッターと語尾を延ばすこともある。)
こんきい
【形】凄く疲れた 「あ〜こんきいわ」と言った調子で使われる事が多く、主に昔から渥美半島に住む中年〜老人が使い若者にはあまり親しまれていない。
さ行
さばくる 
【動四】(押入れなどを)荒らし散らかす
せばい 
【形】狭い
た行
たあけ 
【形動】たわけ、馬鹿 「馬鹿の大足、たあけの小足」などと使う。
だに 
〜だよ、〜だぞ(東三河のみ)。自分の意見を主張したいときに用いる(場合に応じ、「だ」が抜けるときがある)。
だもんだ(い)/(だ)もんで 
【接続】だから
たるい 
【形】つまらない (今の若者も使うが、「たりい」「たるう」とも言う。)
ちみき(く)る 
【動四】つねる (若者層では「ちみくる」とも。)
ちゃっと 
【副】すぐ
つくねる 
【動下一】(書類などを)整理せず無闇に積んでおく
でれ(または「でら」)
【副】非常に、とても、すごく (名古屋弁から最近入ったもの。ちなみに「大えらい(ダイエライ)」を名古屋訛りで発音すると「でぁ〜えれぁ(りゃ)〜」になる。「でら」は「でぁ〜えれぁ(りゃ)〜」を表記するとの説も。「大えらい」は昔からある三河弁に翻訳すると「どえらい」が正しい。) 「でれむかつくげえ」(すごく腹が立つなあ) ※ただし、「でれ」「げえ」は名古屋弁から、「むかつく」は東京弁からそれぞれ最近入ったものなので、この例文には伝統的な三河弁は一語も含まれていない。
ど 
【接頭辞】とても (関八州の若者言葉の「超(チョー)」が近いか。) 1. 「どでかい」(とても大きい)、2. 「どえらい」(とても凄い、とても疲れる、とても偉いなど複数)
どいでだん 
【連語】なぜなの、どうしてなの
どさまく 
【副】沢山
とも 田面
【名】 田、畑
な行
なんだん 
【連語】どうしたのか、どうしてだ (若者には馴染みが薄い。ちょっと文句を言うときに使う。「なんだん、まったく!」(なんだよ、まったく)など。特に意味もなく、呼びかけに使うこともあるが、その場合は名古屋弁の「あのよぉ」の用法に近い。ちなみに、名古屋弁の「あのよぉ」は、三河では「あのやぁ」と言う人がいる。)
ぬくとまる
【動四】お風呂につかり、体を温める
のうなる 
【動四】なくなる
は行
ふちゃる 
【動四】捨てる
ふんごむ 
【動四】足がぬかるみにはまる
ほう 
【副】そう、その通り (「そ」が「ほ」に変化しているだけ。指示語。「ほうだら」「ほだら」は「そうだよね」、「ほうじゃん」は「そういう事でしょう」の意味。)
ぼう 
【動四】追う
ほうか(放課) 
【名】授業と授業の間の休み時間。標準語の「放課」は「授業後」などという。「放課」の項を参照。
ほかる 
【動四】放る、捨てる (ほうかるとも。ちなみに「ほかっとく」は「放っておく/放置する」の意だが、「捨てる」の意で使われることもある。)
ほせ 
【名】棒 (棒状のものを指して呼ぶ。)
ほっか 
【連語】そうか、そうなのか (上述の「ほう」に終助詞「か」つけて「う」が促音便化したもの。納得・同意の意。「ほうか(ん)」とも。「あぁ、ほっか」は「へえ、そうなんだ」の意味。「あほ」に聞こえるので要注意。)
ま行
まあ 
もう 「まあちょっと」などと使われる。
まんだ 
まだ 若者には余程の田舎出身者以外一般的には親しまれていない。
めんた 
【名】雌 (「めんた」と語尾を上げて発音する。)
や行
やらあ 
【動四+助動】〜(して)やろう (古文の文法「やら+ふ」から転じて。上方(かみがた)では「ヤロー」と発音したのに対し、三河国では「ヤラー」と発音したことに由来すると思われる) 「やってやらあ」又は(詰まって)「やったらあ」(やってやろう) 少々、喧嘩腰(けんかごし)に響くので注意。
ゆって 
【連語】言って (関八州では「イッテ」、近畿地方ではウ音便で「ユウテ」になるが、中部地方の三河では促音便で「ユッテ」になる。ちなみに仮名文字にすると同じである「結って」とはアクセントが異なる。)
ら行
らんごくな 
【形動】乱雑なさま 「らんごくな部屋だ」
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