1997年1月1日

朝、南極海域に入ってはじめて太陽が雲間から姿をあらわした。

元旦の朝は爽やかな朝だ。

船は南下を開始しており、眼前にはルーメア海峡が迫っていた。左右を1,000mの絶壁に囲まれた幅400mの細い海峡であり、このツアーのハイライトのひとつである。昨年来たT氏の話によると、昨年は氷が張りつめここから先は砕氷船しか入れなかったそうだ。今年は氷山が少なくその点では、ラッキーといえるだろう。

朝日に輝く海面には沢山の氷辺が浮かび、アザラシやらペンギンやらを乗せたまま流れていく。船に驚いてパタパタと走っていくペンギンもいる。このあたりまで来ると大きめの氷山も見えてくる。大きな氷山になると神奈川県と同じくらいの大きさになるそうだから驚きだ。海峡の左手には南極半島の絶壁がはるか彼方まで続いている。絶壁の上には氷河を抱き、そこは人の侵入を頑として拒んでいるようだ。


ピーターマン島

ルーメア海峡を抜けると、やがて目的のピーターマン島に到着する。ここはアデリーペンギンのルッカリーで知られる。また今回の航海で最南端(南緯65度10分)の場所である。

ルッカリーでは多くの雛が生まれておりガァーガァーという鳴き声に混じってピーピーと小さな鳴き声も聞こえてくる。よく見ると親鳥の足元に小さな雛がいる。親鳥のタキシードを着て正装したような格好に比べると、灰色一色で不格好である。

海に向かう者はトボガン滑りという腹這いの格好でフリッパーをバタつかせながら坂を下っていく。ある紳士がとことこと岩場をやってきて、見慣れない奴だなぁ、という表情でこちらを少々見つめたあと、よっこら、よっこら、と岩場を難儀に登り出した。いつ転ぶかと、見ているこちらがハラハラする。

←これが”トボガン滑り
フリッパーと足で雪面を蹴って進む


船は進路を北に向けポートロックロイ島へ向かう。このあたりは以外にも船が多い。世界一周クルーズの最中だろうか、大型の豪華客船やら、冒険野郎の小型ヨットやら、何隻かとすれ違う。すれ違うときは、お互い汽笛を鳴らし、乗客は甲板で手を振る。この最果ての地で他の船に会えるとは何か心ウレシイものがある。
しかし、午後になると天候は急変。強い風が吹き出した。さっきまでの穏やかな天候が嘘のようだ。島のそばまで到着し停船し待つこと1時間。風は一向に納まらず、40ノットの強風が吹いている。デッキではリーダーが上陸地点の英国基地と交信し続けていたが、結局上陸はキャンセルとなった。ここでは郵便の投函が出来るはずだったので残念だ。(もっともここで出した郵便は、英国経由で送られて来るので、2カ月位かかるそうである) 船を揺らす強風が打ちつける中で、大自然の恐ろしさを痛感した一時であっった。New Year Dinner:毎食時メニューが配られる


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