12月31日「クーバービル島」

今日もどんよりと雲が垂れ込めている。船は既に停船しておりゾディアックの準備もできている。blueice.jpg (4417 バイト)今回の上陸地「クーバービル島」はジェンツーペンギンのルッカリー(営巣地)がある。浮氷が沢山あるため、かなり沖合からの移動となり、片道10分位のゾディアッククルーズだ。浮氷を避けながらボートは進むが、その氷の真っ青なこと!氷はこんなにも美しかったものかと感動した。
ボートはルッカリーそばの岩場に到着。このあたりは南極らしく、一面の雪である。上陸すると、まぁ臭いこと、そしてその騒がしいこと!雪上には幾筋ものペンギン道ができており、ペンギンたちはせっせと道を行き来している。小石を集めただけの質素な巣では、親が抱卵中であり、その傍らでは、ナンキョクオオトウゾクカモメが隙あらば卵を奪おうと虎視眈々と狙っている。gen_ikaku.jpg (7828 バイト)
ガァガァと喧嘩(ペンギンの声はあの姿と似つかないほど低くうるさい)を始めては追いかけあっている者、交尾に至ろうと求愛している輩、ここにはペンギンの「生活」があった。彼らは大自然の中で子孫を残すために生きているのだ。見ていて思わず吹き出してしまうような滑稽な仕草もしばしばあり、約2時間の上陸時間はその時間を忘れるほどに楽しい一時だった。もっとも気づいたときには寒さで足の感覚が無くなりかけていたが。

 


パラダイスベイ−世界で一番美しい自然港

午後は、いよいよ南極大陸に上陸だ。パラダイスベイに入りコートレイ半島先端にあるアルゼンチンのアルミランテブラウン基地に上陸する。ここは夏季だけの基地である。
南極に行くというと、その間はどの国にもいないことになるのかな、と思われがちだが、この付近はアルゼンチンが自国の領土と主張しており、アルゼンチン内の移動ということになるらしい。同じようにチリも主権を主張しているらしい。

ペンギンに迎えられながら小さな桟橋を上がるとそこにはアルゼンチン国旗を掲げた真っ赤な小屋が数棟。ここでは、南極記念のTシャツやら、パッチやらも売っている。まるで観光地に来たような気分だ。
基地の裏手には小高い丘があり、約10分程の雪中行軍で頂上まで登ることが出来る。ここから見たパラダイスベイの眺めは最高である。広々とした湾を氷河に覆われた山々が静かに取り囲んでいる。時として、巨大な音を立てて氷河の先端が海中に没する。ここが世界で一番美しい自然港と呼ばれるのもうなずける。
丘からの下りは雪面に座った状態で一気に下まで雪滑りが楽しめる。結構スピードも出て迫力ものである。

上陸のあとは、ゾディアックに乗ってのパラダイスベイクルーズだ。波しぶきをあげてのクルーズは爽快であるものの、その海水の冷たいこと!落ちたらひとたまりもないだろうなと思う。ボートの横ではペンギンがスイスイと泳ぎ、湾に浮かぶ氷辺にはアザラシが横たわり、気持よさそうに昼寝をしている。我々のボートが近づいてもチラッとこちらを見るだけである。もっともあの凶暴なヒョウアザラシだけは、こちらを見るなり水中に逃げ出していった。
ボートは氷河の先端部に近づく。高さ数百メートルはあろうかという巨大な氷壁が海上にせりだして、今にも崩れそうな状態を保っている。もちろん崩れても大丈夫な距離は保っているのだろうがなかなかの迫力だ。

船に戻るとラウンジでは暖かいココアとお菓子のティータイムが待っていた。これはとても幸せ!あとから、キャプテンとリーダーのサインが入った南極大陸上陸証明書がもらえ、とても良い記念になった。

今日は大晦日。夜は通常のディナーと毎晩行われるビデオ上映の後、ニューイヤーパーティーがはじまる。ラウンジにはデコレーションがほどこされ、シャンパンが振る舞われる。
やがてカウントダウン。 スリー!ツー!ワン!の掛け声とともにクラッカーと沢山の笛が鳴らされ大騒ぎとなる。キスをしまくる欧米人と比較的おとなしい日本人との対比が面白い。これも国民性なのだろう。レストランで働くロシア人ウエイトレス達は、仕切りの向こうで内輪のパーティーを行っている。その向こうでは、酒を酌み交わす日本人の姿も。皆それぞれの形で新しい年を迎えている。

ここは南緯60。0度、白夜の中で1997年がはじまった。


前の日へホームページへ次の日へ
南極行程表に戻る