奥山裕生設計事務所

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(第5回)住宅の正しい照明計画


 
住宅の正しい照明計画

人間は昔から太陽の光と共に生活しています。朝と夕方は赤っぽい光(色温度の低い光)、昼間は白い光(色温度の高い光)。つまり、人間は、白い光のもとで活動し、赤い光になると休息するという生活リズムを持っています。

この生活リズムは、照明計画を行なう上でも非常に参考になります。

「蛍光ランプ」のような白い光(色温度5000K)は、人を生き生きと活動的にさせるので、作業性を求める勉強部屋や仕事部屋の照明に適していると言えます。
また、「白熱ランプ」のような赤い光(色温度2800K)は、人を落ち着いた雰囲気にさせるので、安らぎを求めるリビングや寝室の照明に適していると言えます。

また、これらのことは、生理的にも実証されており、色温度の低い照明では、周波数がゆったりとしたα波が脳波から出され、ストレスの低減に好ましい状態になると言われています。

これらのことを踏まえ、「蛍光ランプ」と「白熱ランプ」を使い分ける方法を中心に、空間別の照明計画を簡単に紹介していきます。


a.玄関・廊下

空間の一番奥が明るいと、見る人に安心感や期待感を与えます。逆に暗いと不安感を与えます(サバンナ効果)。したがって、玄関に人が立った時に、一番奥にあたる壁を明るくすることが大切です。また、上がり框付近の上部に照明器具を配置することで、段差が確認しやすくなるばかりでなく、住人と来客者の両者の顔に影ができにくくなります。ランプは、瞬時点灯ができる白熱ランプを使用するのが一般的です。
当設計事務所では、プランにもよりますが、一般的にダウンライトを@1.8m間隔で配置し、上がり框の足元に人感センサー付きのフットライトを設置しています。

b.階段

足元を十分に明るくすることは言うまでもありません。階段の場合は、むしろ、スイッチの位置や、ランプの交換のしやすさ、ランプ見え(階段上部からの見下ろし)などに注意が必要です。
ランプの種類は、階段に続く廊下やホール・居室の照明計画に合わせることが基本となります。

c.トイレ

トイレの場合、スイッチがトイレの外に付く場合が多いので、中の照明が点灯しているか確認できるように、明かり窓を扉に設けるか、スイッチをパイロットスイッチ(オンピカ)にする必要があります。ランプは、瞬時点灯ができる白熱ランプが適しています。

d.脱衣洗面所

脱衣洗面所は、洗面・化粧などの作業性が求められる空間です。影やムラができにくいように化粧鏡を中心に器具を配置することが大切です。ランプは、影が出にくいことを考えると、蛍光ランプが基本ですが蛍光ランプは演色性(※)が低い為、白熱ランプを併用することで、化粧時に自然な肌の色を再現することができます。
当設計事務所では、一般的に鏡の正面上部に蛍光ランプの電球色、天井に白熱ランプのダウンライトを配置しています。

(※演色性とは)
白熱電球で物を照らすと自然光の場合とほぼ同じように見えますが、蛍光ランプだと色が異なって見えます。こうしたランプによる色の見え方の性質を「演色性」と言います。単位はRa。住宅で使用する主な光源は、白熱ランプがRa100、蛍光ランプがRa61〜74です。

e.浴室

戸建て住宅など、浴室に窓がある場合は、人影が映らないように、窓と反対側の壁面に照明器具を配置することは避けなければなりません。また、一日の疲れをとるリラックスした雰囲気を作り出すことが大切です。
白熱ランプを使うことにより、落ち着いた空間とすることができると同時に、家族それぞれの好みの明るさに応じた調光も可能です。

f.台所

まず、作業性を求められる空間なので、手元に十分な明るさが必要です。調味料のラベルがどの位置でもはっきり見えなければなりません。次に、肉や野菜などの鮮度が確認できるように高演色性の照明でなければなりません。
したがって、キッチンの照明では、手元灯に影のできにくい蛍光ランプ、全体を照らすランプに白熱ランプを分散配置することが望ましいと思われます。
また、注意することとして、天井付けの器具を取り付けた場合、食器棚の扉(開いた状態)とぶつからないようにすることが大切です。
当設計事務所では、手元灯に蛍光ランプの電球色、天井に配線ダクト照明またはダウンライト、壁に方向調節が可能なスポットライトを使用することが一般的です。

g.居間・食堂

従来、日本の住宅のリビング・ダイニングは、部屋の中央に照明器具(蛍光灯3〜4本)を取り付け、全般照明によって均一に空間を照らす手法が取られてきました。しかし、そのような画一的な手法ではなく、暮らし方や使い勝手を考え、必要な場所に適切な明かりを点在させて空間を構成してみてはどうでしょうか。

また、照度を気にしすぎるのも、あまり意味がありません。なぜならば、「照度」と「明るさ感」は異なるからです。JISなどで定められている「照度」は、あくまでも水平面の照度であり、実際に私達が感じる「明るさ感」は、水平面(床面)よりも鉛直面(壁面)の明るさに影響を受けます。同じ照度でも、明るさ感が全く違うということはよくあることなのです。重要なのは、壁面の仕上げや、壁面をいかに照らすかということです。
そういう意味からも、前述のような部屋の中央1箇所の照明器具よりも、器具を適切に分散させて壁面や家具、絵画、観葉植物などを効果的に照らした方が、より効果的により豊かな空間を創り出すことができるのです。

具体的には、白熱ランプなど色温度の高いランプを使い、落ち着きのあるくつろいだ空間を創ることが望ましいと思われます。気をつけなければいけないことは、白熱ランプと蛍光ランプの混合です。リビングは白熱ランプ、ダイニングは蛍光ランプというような使い方をすると、人の表情や食材が場所によって異なり、何か違和感を覚える空間となってしまいます。
器具としては、スポット照明、間接照明、スタンドライト、ニッチライト、ペンダントライトなど、多様な方法で個性的な空間を演出します。

h.寝室

寝室は、体を休める所ですので、どちらかというと色温度の低い白熱ランプを使用することが望ましい空間と言えますが、比較的、長時間使用する部屋の場合や仕事部屋として利用する場合などは蛍光ランプを使用することもあります。その場合、手元灯、足元灯などの補助照明に白熱ランプを使用し、就寝前の時間ぐらいは落ち着いた雰囲気を楽しめるような照明計画がベターかと思われます。
また、布団やベッドの上から操作ができるような器具を取り付けることが大切です。最近は、リモコン操作で点灯・調光・消灯ができる照明器具が増えてきたので大変、便利です。注意することとしては、ダウンライトやブラケットを使用する場合、仰向けに寝た時に、光源が目に入らないような位置に取り付けることが重要です。

i.和室

和室の場合、壁の色が濃く反射率が小さい場合が多いので、1ランク上の明るさの照明器具を選ぶことが大切です。蛍光ランプか白熱ランプかは、部屋の主な使用目的、使用頻度、壁の仕上げ材の種類などによって、ケースバイケースで使い分けます。

 

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