クリップス指揮、ウィーン・フィルで、チャイコフスキーの交響曲第5番を聴いています。Decca、1958年。音質は良好です。宇野功芳さんが「ウィーンの爛熟、まるでR.シュトラウスのようなチャイコフスキー」と評していますが、ウィーン・フィルらしい、とてもエレガントな演奏という印象を受けます。弦、管、ともに柔らかく滑らかな豊麗な歌い口で、音楽を築いている感じでしょうか。大きな音でも、うるさくならず上品に鳴ります。この曲に熱狂的な迫力を求めるひとには、何となくこぢんまりまとまるふうに思われて、不満が残るかもしれません。しかし、芳醇な響きで肌理細やかに聴かせるこのチャイコフスキー、充実した飽きのこない解釈だと私は思います。カプリングにハイドンの交響曲第99番を収録していて、これまたウィーン・フィルらしい優雅な演奏で魅せてくれます。これは1957年の録音。チャイコフスキー同様、この名門オーケストラの美質を、最大限に抽き出すことに成功しています。機知に富みながらも、気高く歌い上げるハイドンです。クリップスは、シュミット=イッセルシュテットやベームとともに、ウィーン・フィルの音色を大切に育て上げた功労者と言えましょう。是非、このCDは聴いてみてください。
●参考CD
○チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調作品64、ハイドン:交響曲第99番変ホ長調
・クリップス指揮、ウィーン・フィル(日ユニバーサル/原盤:Decca) →♪amazon.co.jp