●No.601 ブラームス:ピアノ協奏曲第2番(モラヴェツ(pf)、ビェロフラーヴェク/CPO)。(2006/09/09)

 ヌルッとしたタッチ。モラヴェツのピアノの特徴をそんなふうに誰かの書いたものを、どこかで読んだ憶えがあります。若干、しなだれかかるようなリズム感が、甘く艶かしい色を醸し出す。もう少しその傾向が強まると下品なものになってしまう、その一歩手前で弾いている危うい気品を私は感じました。そこがこのひとの魅力だとも思います。私の手元には、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、フランク、ラヴェル、ドビュッシーの独奏のピアノ作品群を収録した4枚組のセットなどがあります。

 他にも、ドヴォルジャークのピアノ協奏曲や、聖書歌曲集の伴奏をしたものなども所有していて、それぞれ艶っぽい、いい聴きものですが、今回はブラームスのピアノ協奏曲、特にその第2番を推したく思います。冒頭ホルンの先導につづいて弾かれる独奏からして、もう、モラヴェツ節と言えましょう。何とも繊細な妖艶さです。その調子は全楽章にわたって聴かれます。たぶん、聴き手の好悪を分けるでしょう。私も、第1番の協奏曲では、もっと毅然とした表現を要求したく思ったものでした。

 サポートしているビェロフラーヴェクとチェコ・フィルについては、もう少し表情のダイナミックな変化が欲しいとも思い、オケの音色、響きもいくらか痩せたふうに感じられましたが、独奏ピアノを邪魔していないということを、まずまず評価してもいいでしょう。これらブラームスの協奏曲は、2曲2枚組になって、昨年の暮れに廉価で国内盤が出ています。いま、第1番を聴き返していますが、上に否定的なことを書いたけれど、こういう表現もありかなとも。聴き込むほどに味わいの増す演奏でしょう。

 いま、第1番の第2楽章に入りましたが、宗教的な感興に溢れたこの楽章が、モラヴェツの指先にかかると何とも妖しく響きます。個性的なピアニストですね。この2枚組の全集には、余白に作品118の2の間奏曲が収められていて、これがまたセクシィな演奏です。同じく、タッチに際どい特徴のあるグールドとの比較もおもしろいでしょう。頽廃寸前の閃きというか、甘美に煩悶する音楽を聴き取ることができます。モラヴェツにもっと、ブラームスの小品の録音があればいいのにとも思いました。

●参考CD

○モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、フランク、ラヴェル、ドビュッシーの作品(詳細略)
・モラヴェツ(ピアノ)(チェコSupraphon SU 3580-2 114) →♪amazon.co.jp

○ドヴォルジャーク:ピアノ協奏曲ト短調作品33
・モラヴェツ(ピアノ)、ビェロフラーヴェク指揮、チェコ・フィル(クヴァピル(ピアノ)、イーレク指揮、ブルノ国立フィル との異種稿収録)(チェコSupraphon SU 3067-2-011) →♪amazon.co.jp

○ブラームス:ピアノ協奏曲全集、間奏曲作品118の2
・モラヴェツ(ピアノ)、ビェロフラーヴェク指揮、チェコ・フィル(日本コロムビア COCO 70782/3) →♪amazon.co.jp

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Ivan Moravec Plays (Box Set) [Box set] [from US] [Import]
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Dvorak: Piano Concerto, Op.33 [from US] [Import]
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ブラームス:ピアノ協奏曲第1番&第2番
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