●No.574 J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全6曲)(ムンツリンゲル/アルス・レディヴィヴァ合奏団)。(2004/08/23)

 この舌を噛みそうな指揮者と団体のなまえ、私は聞いたことはありませんでした。J.S.バッハのブランデンブルク協奏曲の録音はかなりたくさん私は所有しており、それらのなかで十分満足のいく演奏に多くめぐりあっていることでもあるし、自制する気持ちもあったのですが、「1960年代半ばの録音を、わざわざ『ヴィンテージ』なんて企画で復刻(日本初)してくるのは、知るひとぞ知る盤なのかもしれんなあ…」と思い、エイヤ!と買ってしまいました。ブランデンブルク協奏曲、私、大好きなのですよ。

 これは、コクのありながら、サクサクと音楽の進む、風雅なものでした。現代楽器によりますが、バロックの様式感を究めた、しかしながら衒学臭を放つことなく、ほんのりと哀愁を帯びた独特のバッハの音楽宇宙を築いています。アカデミックな見識を礎におきながら、念入りに細部を彫琢していく丁寧な職人仕事を楽しませる内容です。飽かせず、2枚組を一気に聴きとおしてしまう。いかめしくなりすぎもせず華美にも走らず、チェコの団体らしい、質朴な風合いの音色の魅力的な全集だと思います。

 トランペットにモーリス・アンドレ、チェンバロにヨゼフ・ハーラなど、ソリスト陣に、著名な奏者も見られます。ハーラは、スーク・トリオのピアニストですね。それぞれ、全体なかでソリスティックになってしまうことなく、アンサンブルのなかにしっくり溶け込んでいます。モダン楽器による同曲のCDとしては、コッホ指揮するベルリン室内管の高貴な風格を具えたものなどと並べ(これは徳間ジャパンの国内盤ではなくBerlin Classics盤を取るべき)、ベーシックなところとして私からはお薦めしたいものです。

 これらを中堅にさらに両翼をのばしていけば、カラヤン指揮、ベルリン・フィルのものなどもおもしろい。ムンツリンゲルと同じ1960年代半ばの録音です。豊麗な響きでありながら、硬いアクセントを避ける、レガートの基本のこの指揮者の芸風が、極端に遅い第1番の終楽章なども遅いなりに一定のテンポで、案外と淡白なバッハに仕上げている。ピリオド系では、アカデミー・フュア・アルテ・ムジーク・ベルリンのものが、ヒョンヒョンとした奇矯な音にならず、衒いなく爽やかな演奏を楽しませてくれます。

●参考CD

○J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全6曲)
・ムンツリンゲル指揮、アルス・レディヴィヴァ合奏団(日コロムビア COCO-83812〜3 2枚組) →♪amazon.co.jp
・コッホ指揮、ベルリン室内管(独Berlin Classic 2枚で分売)  →♪amazon.co.jp(1〜3番)→♪amazon.co.jp(4〜6番)
・カラヤン指揮、ベルリン・フィル(独Deutche Grammophon 453 001-2 2枚組) →♪amazon.co.jp
・アカデミー・フュア・アルテ・ムジーク・ベルリン(仏harmoni mundi 2枚組) →♪amazon.co.jp

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バッハ:ブランデンブルク協奏曲
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Bach: Brandenburg Concertos [FROM US] [IMPORT]
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