アンドリュー・ロイド・ウェッバー(Andrew Lloyd Webber b.1948 )の「レクイエム」のCDを、しばらく前にウェブのアウトレット店で見つけ買い求めました。ミュージカル「キャッツ」や「オペラ座の怪人」で知られる作曲家の、この曲。懐かしいですね。ブームになったのを憶えています。マゼールの指揮した、1984年の録音です。作品の完成後、間もなくのものでしょう。日本ではバブル全盛のころですね。いまでは「ピエ・イエス」が、ごくたまに、ヒーリング系のオムニバス盤に含まれるくらいでしょう。
この録音は私はLPで発売当初にも購入していますが、全曲を聴くのは10年以上ぶりと思います。保守的なクラシックの愛好家には、いかにもミュージカルぽい、ノリノリの主題や、金管群、さまざまな打楽器が民族的なリズムで踊るふうな音楽を、受け付けられないかもしれません。しかし、改めて私はこれを聴いてみて、そこまで巧みに主題の伏線を布きながら「ホザンナ」でテノールと合唱が歓呼を爆発させるように歌い、そのあとに甘い「ピエ・イエス」と配するあたり、練られた構成だなと感じました。
ソプラノを歌っている、サラ・ブライトマンは、確か作曲者の奥さんだったはずだな……と、先ほど検索していましたら、この歌手は1983年(つまりこの録音の前年)に前夫と離婚し同年にロイド・ウェッバーと再婚しているのですね。さらには、1990年にこの作曲家とも離婚。その短い蜜月のなかで「レクイエム」を歌ってこれがブレイク、その後に結婚がブレイクして、日本ではバブルがブレイク、個人的に私は仕事でブレイク、いまこのCDがアウトレットに落ちているというのも、何とも因果な話ですなあ。
深読みな話はさておいて、亡き父のために書かれたという「レクイエム」ですが、これはとても楽しい曲です。特にクラシックに馴染みの薄いかたで、知人のクラシック党からモーツァルトやベートーヴェンをありがたく薦められ、「後塵を拝するふうな立場におかれるのが癪だ」なんて思っているかたには穴場の1枚ではないかとも思います。ちなみに、サラとロイド・ウェッバーは、離婚後もさまざまに共演をしていますね。たぶんこの録音も、決して気まずいものでもなく、懐かしい「メモリー」なのでしょう。
●参考CD
○アンドリュー・ロイド・ウェッバー:レクイエム
・マゼール指揮、イギリス室内管、聖ウェストミンスター合唱団、ドミンゴ(テノール)、ブライトマン(ソプラノ)、マイルズ-キングストン(ボーイ・ソプラノ)(米LONDON 448 616-2) →♪amazon.co.jp