●No.563 モーツァルト:レクイエム(リヒター/ミュンヘン・バッハ管&合唱団)。(2004/06/20)

 この前、ブラームスのドイツ・レクイエムの話題で、「カラヤンのモーツァルトのレクイエムは聴いたことがない」と書いたあと、やはり予断を抱かずに聴くべきであろうなと思い、amazon.co.jpを探してみました。1961年の録音の輸入盤が、AMSIのリマスタリングを施したもので廉価であったのを見つけ、早速、購入。その件はさておいて、検索の間にたまたまヒットして「お!」と私の注意を引いた、標記のリヒター率いる、ミュンヘン・バッハ管、同合唱団の、やはりモーツァルトのレクイエムのお話を。

 2002年12月に、国内盤で再発売になっていたのですね。迂闊にも、情報を読み落としていました。早くに輸入盤で、私はこれを所有しております。様々の指揮者による数多ある同曲の録音のなかでも、私のなかでは随一の位置においている演奏で、多くの皆さんに聴いてほしい盤だと思っていたのですが、国内外ともに長らく廃盤であったのです。私の知らないうちに再発売から既に1年半を経ておりますね。また、カタログから消える心配があるので、遅まきながらの取り急ぎにふれておきます。

 前々回の話題から関連して、合唱について、まずふれますと、これがたいへん巧い。巧いと言っても、例えばヘレヴェッヘの率いる団体のピリオド系の清澄で神秘的な表情のものとは、まったく対蹠的な発声で、ゴシックのフォントで太く、堅実に音楽の枠組を揮う印象といったところでしょうか。色気を排してまっすぐ素直に伸びてくる女声、荘重に毅然とした力で支える男声。大伽藍の下、真摯に厳粛な祈りを胸に神に捧げられる音楽と言うべきか。オーケストラも禁欲的に、精確に音価を刻みます。

 リヒターの宗教観が、モーツァルトの絶筆の上に見事に結実した傑作でしょう。この曲が、これほど荘厳な面持ちで奏でられた演奏を、私は他に知りません。まさに、居住まいを正される。1960年、カラヤンの先に挙げたものとほぼ同時期の録音で、ともにモダンのオーケストラによる、ジュスマイヤー版での比較も興味深いところでしょう。カラヤン盤の合唱は、相変わらず曖昧な飽和した声質で、ベルリン・フィルと重なってブリリアントなモーツァルトを聴かせます。これはこれで、また楽しめますね。

●参考CD

○モーツァルト:レクイエム ニ短調 K.626
・リヒター指揮、ミュンヘン・バッハ管、同合唱団、シュターダー(ソプラノ)、テッパー(アルト)、ケステレン(テノール)、コーン(バス)(日ワーナー) →♪amazon.co.jp
・カラヤン指揮、ベルリン・フィル、ウィーン楽友協会合唱団、リップ(ソプラノ)、レッセル-マイダン(アルト)、デルモータ(テノール)、ベリー(バス)(米UNIVERSAL(原盤:独DetcheGrammophon) 289 469 621-2) →♪amazon.co.jp

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モーツァルト:レクイエム
モーツァルト:レクイエム
モーツァルト : レクィエム ニ短調 K.626 [LIMITED EDITION]
モーツァルト : レクィエム ニ短調 K.626 [LIMITED EDITION]