カラヤンが好んで使った、ウィーン楽友協会合唱団というアマチュアの団体は……あまり、キツい言葉を私は使いたくないのですが……やはり「下手」だと思いますワ。Googleで「楽友協会合唱団 下手」で検索してみると、手厳しい評がたくさんヒットします。オペラをやれば、超一流どころの豪華歌手陣をズラリと揃えられる帝王カラヤンなのに、なにゆえこの合唱団? Deccaにあるウィーン・フィルとの「アヴェ・マリア」のなかの「高き天より」の女声など、悲鳴の一歩手前ほどの危なっかしさです。
ウィーン国立歌劇場の合唱団など、身近なところで手配できそうな巧い団体はあるけれど、スポンサーとの関係などで楽友協会を使わないと仕方のない理由があったのでしょうね。けれども、私、このあまり巧くない合唱団とカラヤン/ベルリン・フィルとの演奏のなかで、「このピッチのファジーさが、もしかして、かえってヨイのではないか?」などと、少し聴きなおしているものもあるのですよ。グラモフォンとEMIとに、2種あるブラームスの「ドイツ・レクイエム」です。順に1964年、1976年の録音。
少しエコーをかけたその曖昧なウネリの響きが、コロよいブリリアントな太さになって、カラヤン/ベルリン・フィルのレガートでゴージャズな音色に、うまくメルトしていると言えなくもないと感じるのです。確かに滑舌は拙くて発語もさっぱりわからない、ヴォカリーズのような合唱なのですが、まあ、これはこれでいいのではないですか。ふたつの録音のうちでは、グラモフォンの旧盤に、より腰の強く引き締まった印象がありますが、EMIの若干の艶かしさもある豪快な解釈も、またひとつの味でしょう。
私はまだ、カラヤンのモーツァルトのレクイエムは聴いたことがないのですが、さて、それはどんなものなのでしょうか。私の勝手に唱える「合唱ファジーピッチ理論」は、ロマン派などにはうまく幸いしても(ヴェルディのレクイエム(1972年録音)もよかった)、古典派以前にはいただけないような気もします。バッハの「マタイ」の抜粋盤は、持っています。これはもう、冒頭からキビしい。絶対、合唱主体の作品ですからね。カラヤンのバッハ解釈そのものは、ユニークで大いに楽しめるのですけれども。
ちなみに、カラヤンの「ドイツ・レクイエム」には、まだ、別種の録音があります。上述のEMIの盤は、国内の1枚ものもありますが、海外盤で2枚もので安く出ているものを、できれば買いたいところです。2枚めに収録されている、カラヤンの最も元気のよかったころのフィルハーニア管時代、ベルリン・フィルとの1960年代初期の小品群が絶品です。それからDeccaの「アヴェ・マリア」は、上で少々クサしてしまいましたが、合唱の拙いながら楽しく寛げる、私の愛聴盤であることを申し添えておきます。
●参考CD
○ブラームス:ドイツ・レクイエム 作品45
・カラヤン指揮、ベルリン・フィル、ウィーン楽友協会合唱団、ヤノヴィッツ(ソプラノ)、ヴェヒター(バス)(独Deutche Grammophon 463 661-2) →♪amazon.co.jp
○ブラームス:ドイツ・レクイエム 作品45、モーツァルト:「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」、オッフェンバック:「ホフマンの舟歌」※、シャブリエ:「スペイン」※、スメタナ:「モルダウ」、メンデルスゾーン:「フィンガルの洞窟」、シベリウス:「フィンランディア」、チャイコフスキー:「1812年」※
・カラヤン指揮、ベルリン・フィル、フィルハーモニア管※、ウィーン楽友協会合唱団、トモワ-シントウ(ソプラノ)、ダム(バス)(蘭DISKY(EMI原盤) DCL 705872 2枚組) →♪amazon.co.jp / →♪amazon.co.jp(国内盤/独鎮のみ1枚物)
○ヴェルディ:レクイエム
・カラヤン指揮、ベルリン・フィル、ウィーン楽友協会合唱団、トモワ-シントウ(ソプラノ)、バルツァ(アルト)、シュライアー(テノール)、ギャウロフ(バス)(仏Deutche Grammophon) →♪amazon.co.jp
○「カラヤン 〜 アヴェ・マリア」
・カラヤン指揮、ウィーン・フィル、ウィーン楽友協会合唱団、L.プライス(ソプラノ)(日ユニバーサル) →♪amazon.co.jp
![Verdi: Requiem [FROM US] [IMPORT]](http://rcm-images.amazon.com/images/P/B000001GHY.01.TZZZZZZZ.jpg)