●No.553 ヴィヴァルディ:「ラ・ストラヴァガンツァ」(イタリア合奏団)。(2004/04/11)

 「ヴィヴァルディは同じ協奏曲を500曲書いた」と、この作曲家の作風をからかって言う論評を、何かで読んだことがあります。懊悩する独墺の後期ロマン派の音楽を奉じるひとのなかに、そうした感じかたがあるのかもしれません。あるいはまた、一方ではその独墺の作曲家であるブルックナーについて、「同じ交響曲を11曲書いた」と、揶揄する好楽家もいますね。いずれの立場も、それぞれの作曲家が、その聴き手にとっては、身近に感じられない存在で、縁遠い音楽だということなのでしょう。

 ヴィヴァルディの合奏協奏曲集では、作品8に含まれる「四季」が有名ですが、「調和の霊感」や「ラ・ストラヴァガンツァ」などを、私は好みます。「四季」は、いささか食傷気味ということもあるけれども、旋律から香り立つ色気という意味でも、予断なく純粋に先にあげた合奏曲集のほうが、私にはおもしろい。ピリオド、モダン楽器の録音をそれぞれ幾つか持っていますが、先にコレッリの作品で紹介した、イタリア合奏団によるモダンのものを、このところはよく聴きます。明澄、流麗な音楽を楽しめます。

 いずれも、12の曲から成る合奏協奏曲集で、CDもそれぞれ2枚組ですが、1,575円という廉価で入手できます。イタリアのコンタリーニ宮で録られたもので、臨場感溢れる音質のすばらしさもうれしいものです。「調和の霊感」は1988年、「ラ・ストラヴァガンツァ」は1993年の録音。ヴィヴァルディを軽く捉えていらっしゃるかた、そう言わず、近づいてみてくださいな。細やかな表情の綾が感じられて、少しずつ愛しさが増してきます。どちらの曲集から聴くかとなれば、「調和の霊感」を採りましょうか。

 いま、縁遠く思われる音楽は、留保にしておけばいいのだと思います。大雑把な評価を下すことを、誰かから求められているわけでもなし。ひとつを取って他を捨てる決断を迫られる局面は、人生にはありましょうが、音楽は趣味なのですから。500の楽しみが残っていると考えるほうが、愉快でしょう。もっとも、500回、同じことを繰り返しても懲りそうにもなく、重大な局面でうろたえる私のようなのも困りモノですが、まあそれは「ラ・ストラヴァガンツァ〜風変わりな」生きかたということで、ご容赦を。

●参考CD

○ヴィヴァルディ:合奏協奏曲集 作品4「ラ・ストラヴァガンツァ」
・イタリア合奏団(日DENON COCO-70665〜6 2枚組) →♪amazon.co.jp

○ヴィヴァルディ:合奏協奏曲集 作品3「調和の霊感」
・イタリア合奏団(日DENON COCO-70510〜1 2枚組) →♪amazon.co.jp

 ※補足:「ヴィヴァルディは同じ協奏曲を500曲書いた」と言ったのは、ストラヴィンスキーであったとのご教示をいただきました。積極的に前衛を追究していったこの作曲家なら、ブルックナーについても「同じ交響曲を11曲書いた」と言いそうな気もしますね。

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ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集
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