All Rights Reserved, Copyright(C) 2004.1 by Yasusi Suzumura
(野並皮膚科)


爪白癬(爪の水虫),本当にあった怖い話(写真付き)


 先日実際にあった話しです。1歳の男子とその母親が,水虫とは別の病気のことで, 皮膚科を専門としない某医院を受診しました。その際,医師は男子の足の小指の爪を虫めがねで じっくり観察し,「これは爪の水虫であり,治療が必要ですね。」と母親に説明しま した。母親は,自分の足の小指の爪も変形していることを思い出し,その爪を医師に 見せました。医師は,見ただけでその爪も水虫であると言いました。母親は,少 し疑問を感じたので,水虫の治療は断りました。

 私は,この話しを聞いて,ぞっとしました。爪白癬(爪の水虫)は,目でみただけ で診断する病気ではありません。爪白癬を診断するには,爪を少しけずりとり,顕微 鏡で水虫の菌を爪より確認する必要があります。爪白癬は,顕微鏡検査によって診断 が確定する病気なのです。



 ではここで,爪白癬と,それ以外の爪の異常の写真をご覧下さい。


爪白癬  症例1

爪が白色に混濁肥厚しています。



爪白癬  症例2

爪が部分的に白色に変色しています。



爪白癬  症例3

爪が混濁肥厚し、一部は黒く変色しています。




原因不明の爪甲変形

みためは爪白癬(爪の水虫)によく似ていますが、顕微鏡で調べても菌は見つかりません。当然、水虫の薬は全く効きません。



物理的刺激による爪甲変形

足の小指の爪には健常人でも、時々変形肥厚が生じます。これは慢性的な物理的圧迫・刺激によるもので、水虫とは無関係です。ただし、足の小指の爪にも水虫が生じることは当然あります。みためだけで診断せず、その都度顕微鏡で菌の有無を確認するという真摯な医療姿勢が大切と言えます。



爪甲剥離症

爪が先端より徐々に遊離してきます。甲状腺疾患や光線過敏症に伴って発症することもありますが、原因不明の場合の方が多いです。爪が白く見えるので、水虫の爪と間違えられることが時にあります。



手の爪白癬

手の爪白癬です。足の水虫を放置しておくと、手に水虫がうつる場合があります。



乾癬に伴う爪甲変形

乾癬という皮膚病に伴って爪の異常が生じる場合があります。爪甲の混濁、点状の陥凹などが生じます。





 以上様々な爪の写真をご覧にいただければ,目でみただけで爪白癬(爪の水虫)を 診断することが,いかに危険で無謀なことか,ご理解いただけたと思います。

 爪白癬は,のみ薬で治療します。のむ期間は,半年〜1年と長期間におよびます。 内服中は肝機能障害などの副作用チェックのため,定期的に検査も必要です。 従って,初診時に菌の検査をして,診断を確定しておくことが極めて大切なのです。 残念ながら皮膚科医のなかにも,自分の能力を過信して,菌の検査をしない医師がまれ にいます。もし,あなたが皮膚科医院(あるいは皮膚科以外の医院)を受診した時,医師が菌の検査もせずに,いきなり のみ薬を処方するようであれば,医院をかえた方が賢明であると言えます。


パルス療法については こちらを参照

[BACK]