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カレーのお父さんは、きまって大酒を飲んだ後にウチ
にいらっしゃいます。そして「ウイ〜」っと発した後、
「カレー」とおっしゃいます。ほとんどを残されるのに、
帰る時は父に「さいこ〜!!」と絶叫し、父に抱擁してお帰り
になります。暇な時はそれでもいいのですが、他にお客様
がいらっしゃる時は野放しにはしておけません。放っておく
と、カレーの中に顔を埋めて眠ってしまったり、起きていても、
隣のお客様にご自分の娘さんとのプリクラを見るように強要
したりと、大変です。私が留守の時、事件は起こりました。
私が帰ってくると、それまで誰もいなかった店内がお客様で
埋まっていました。カレーのお父さんもいらしてました。
しかしいつもと違う、ただならぬ店内の雰囲気を感じ、原因の
可能性の高い、カレーのお父さんを注意深く観察しました。
お父さんの額が・・・割れてる!!血も出てる!!
私は急いで父の元に駆け寄りました。「あのお父さん、おでこ
割れちゃって、血がでてるよ!なんでお断りしなかったの!」
父は気がつかなかったようで、今日はおとなしいなぁ位にしか
思ってなかったようでした。他のお客様は、その流血したお父
さんを横目で見ながら、黙々とお食事をされていたのでした。
ただならぬ雰囲気の原因がわかり、他のお客様に深くお詫びをし、
皆様がお帰りになった後、父がお父さんに声を掛けました。
「お父さん!おでこ切れちゃってるじゃない。駄目だよ、血を流し
たまま店に来ちゃ!他のお客さんが、びっくりするでしょ」
父の説得力のない説得にちょっと呆れました。なんだよそれと。
しかしカレーのお父さんは、父の襟ぐりを(襟はなかったのですが)
掴む勢いで、反撃されましたが、父の「お父さんはそんな人じゃ
ないじゃない」という、刑事物のTVにありがちなセリフに心を動か
され、涙ながらに「ありがとう、ありがとう」と何度もおっしゃって、
店を後にされました。血はずっとでてました。
それから、毎週土日にはかかさずお見えになっていたお父さん
は、いつの間にか姿を見なくなりました。
寂しいような、でもまたお越になったらどうしようというような、
複雑な心境です。
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