百円坊主さんは今・・・  



百円坊主さん
のイメージ


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今までの人生の中で、これ程衝撃的な経験はなかったと思います。
毎年、行われる「野毛大道芸」。
大道芸・・私には思い出したくない恐ろしい出来事があります。
大道芸が終って、店内はすでに一杯。私は「準備中」の看板を早々
と下げて、父と厨房で忙しくしていました。
店内はカップルや、ご家族連れのお客様で賑わっていてとても
楽しげな雰囲気でした。なので、フロアよりも厨房にいる時間の
方が多くて、その
怪しげな雰囲気を察知するのに時間がかかり
ました。料理を運ぼうと厨房を出た時、さっきまでどのテーブル
にもあった笑顔がなくなっている。
特に1番入り口に近い席の
カップルの様子がおかしい。顔色が悪い。
どうしたんだろう。
私は様子見に、そのカップルのお席に近づいて行きました。
あれ?閉まっているはずの扉が少し開いている。しかもその隙間
に人影?  
なんか聞こえる・・・!おおお経!
私はその隙間を覗いてみました。そしたら↑の図の1の人が隙間
から、
野太い声で店内に向かってお経を唱えていたのです。その
恐ろしさは、なんというか、表現できません。
私は余りの恐ろしさに、
腰が抜けそうになりながら、厨房に傾れ
込み、マスターに「ぱ、パパ!ぼ、坊さんがお経を唱えてる!」

と助けを請いました。しかし、マスターはチラっと扉を見ると、
「チッ、百円坊主じゃねぇか。ほっとけよ」と言ったのです。
ほっとける訳ないじゃん!恐ろしいよ。子供、泣きそうだよ。
私は、すがるようにマスターに訴えた所、「百円渡してやれ」と
言われたので、ものすごーく怖いのを我慢して、おそるおそる
そのお坊さんに近づきました。そしたら、その坊さんは益々声が
大きくなり、こっちもお経を唱えたい気分で、必死に百円を差し
出しました。
坊さんは、物凄い勢いで、その百円を奪うと、袖の下
から「これをしたら地獄行き」みたいな、地獄案内のコピーを私に
突きつけ、去って行きました。
その文章の内容も筆書きの手書き
で恐ろしかったです。
でも1番恐ろしかったのは、店内のお客様だったでしょう。
特に、中央の席のお子さんには、物凄く衝撃的だったでしょう。
カップルの方を始め、1階のお客様にお詫びをし、その日は何とか
終了。その夜、私が悪夢に襲われたのは言うまでもありません。
翌年の大道芸の日、私の中ではすっかりトラウマになっていた、
「百円坊主」。店も終了間近になり、今年は訪れなくて良かった。
と胸をなでおろした時、何やら店内に聞き覚えのある音が・・・。
でた〜!!百円坊主!私はすぐさま百円を取り出し、扉に向かいま
した。・・・おや?立っていたのは↑の図の2のオッサン。
坊主じゃないじゃん。普通の格好じゃん。なんでお経を唱える?
でも、店内のお客様の表情は凍りついているし、仕方なく百円を
差し出しました。また「地獄案内」を貰うんだろうと、待っていた
ら、そのオッサンは何もくれずに去った。あれは何だったんだろう。
来年はどんな坊さん、またはオッサンが来るのかと思うと、今から
悪夢にうなされそうです。