空飛ぶハンバーグの被害者様は今
                
 



お嬢さんの
イメージ

物心がついた時から、お客様に料理を運んでいた私。
高校の居酒屋バイト時代の私は、そこいらの男子アルバイト
に負けない位の料理を運んで
「タフギャル」として重宝された
ものでした。この事件まで、私はかなり過信していました。
年末が近づいて疲労もピークに達した頃でした。
ご近所の方が嬉しそうに「娘が帰って来たから」と、ご家族連れ
で店にお見えになりました。7.8名だったでしょうか、2階へ
ご案内しました。暫くすると店内は一杯になり、1組のカップル
の方々も同じ2階にご案内しました。楽しげな雰囲気の2階。
でも厨房は戦場。
ハンバーグがジュージューいっている間に2階
へ持っていかないと!
その気負いから、ハンバーグを3つ持って
いるにも関わらず、私は階段を駆け上がりました。最初はいい感
じだった。しかし、2階に到着した途端、手首に乗せた皿の鉄鍋
が暴れたしたのです。それはもう
“ハトヤのCMの少年”状態。
グラつくハンバーグの乗った鉄鍋を、なんとか落ち着かせようと
バランスを保とうとしたら、なんと鉄鍋が下に敷いた受け皿から
滑るように落下!裏返しに床に落ちる鉄鍋。残りの2個の鉄鍋は
私の足元に落下。手には皿3枚だけが残っている・・・。
目の前では
スローモーションのように、鉄鍋からハンバーグが飛
び出し、空中分解されて半分になったハンバーグが、ご家族の中
心の席で微笑む、お娘さんの肩にポトリと落ちる光景が。
その直後でした。「キャー!」いや、「ギャー!」に近い悲鳴。
それから・・・多分よく思い出せないのは、きっと思い出したく
ないからなのかもしれません。気がつくと、
そのご家族、隣席さ
れたカップルの方々が一丸となって、私の服を拭いてくれ、部屋
に飛び散った残骸を掃除して下さっていました。
「火傷しなかっ
た?大丈夫?」それは私がいう事なのに・・・。もう
割腹自害級
それから何度かお詫びに伺いましたが、「そんなのいいから」と
クリーニング代さえお取りにならなかったお客様。
お客様のその後。大惨事があったにもかかわらず、そのご家族の
方々は今でも起こしくださいます。
お互いにトラウマなのでしょうか、娘さんはあれ以来ハンバーグ
はお召し上がりになりませんし、私も以来、絶対にハンバーグは
両手に1個ずつしか持ちません、というか持てません。