NEW CD


中村善郎|レンブランサ,エスペランサ(思い出、そして希望)
2004.4.21in stores
SICP 10004 / \2,940 (tax incl.)
HYBRID SuperAudioCD

哲学的な語り口と、美しいアコースティック・ギターが胸に響く。
ボサノヴァ・マエストロ 中村善郎が、ボサノヴァの原点であり、
かつ高度な技巧と熟練を要する究極のフォーマットに挑んだ全編ギター弾き語りソロ・アルバム。
光と影、緩と急、喜びと切なさを、一本のギターと声のみで自在に紡ぎ出す至芸は、
心地よさとともに、爽快な高揚感をともなう深い情感で心を満たしてくれる。
「思い出、そして希望」…それはボサノヴァの名曲たちが映す情景を端的に表現すると同時に、
過去と未来の接点としての“表現者・中村善郎の「現在」”がここに刻まれていることをも謳っているようだ。


収録曲

01 あなたはどこに(オンヂ・アンダ・ヴォセ) Onde Anda Voce
02 初めての時(ア・プリメイラ・ヴェス) A Primeira Vez
03 オ・パト O Pato
04 アマゾナス Amazonas
05 クラーレ Curare
06 黄金の歳月(アノス・ドゥラードス) Anos Dourados
07 悲しみよさよなら(幸福) (フェリシダーヂ) A Felicidade
08 ドラリッシ Doralice
09 悲しみ (トリスチ) Triste
10 サンバと恋 (サンバ・イ・アモール) Samba e Amor
11 夕暮れ A Tarde [中村善郎オリジナル]
12 お前の悲しみが泣く (ショーラ・トゥア・トリステーザ) Chora Tua Tristeza
13 愛の十字路 (カミーニョス・クルザードス) Caminhos Cruzados
14 あなたが良すぎて (ゴストーゾ・ヂマイス) Gostoso Demais
15 あなたの腕の中でだけ(ソ・エン・テウス・ブラッソス) So em Teus Bracos
16 さまよう心 (コラサォン・ヴァガブンド) Coracao Vagabundo
17 海のそよ風 (ブリーザ・ド・マール) Brisa do Mar


YOSHIRO NAKAMURA (G & Vo)

Recorded at Wood Stock Studio Karuizawa (January 21~24 2004)

Recorded and Mixed by Tom Suzuki

Produced by Noriko Hashimoto & Yoshiro Nakamura


レコーディング・エピソード(Yoshiro's Diaryより)

●2004/01/17 Sat  リズムのこと

今僕の頭の中には大きなはずみ車のようなものが占めている。それはスイングする、ということに繋がるイメージだ。そしてこの車を回転させ続けるものがリズムということになる。自分の手でその車を回すことを想像する。初めはかなり力がいるが回転し始めると慣性でそれは回り続けようとする。でもそこでそのままにしておくと抵抗のせいで車はいつか動きを止める。回転を維持するためには常に力を加えていないといけない。ギターのカッティングはその手のようなものだ。ただ回っている車に対して真っすぐに力を加えようとすると、それは逆に抵抗となって回転の妨げになる。回転を維持するためにはその速度に合わせて斜めから力を加える必要がある。そういったことを考えずにただカッティングを時軸にたいする点のパターンとして捉えている演奏が世の中には溢れている。それはつまらない演奏だ。躍動感や人を高揚させる楽しさはそこにはない。
回転を維持する手の力加減だが、今まで僕はその最初の接点のことばかりを考えていたような気がする。回転に対して正しい角度で正しい速度で手を添えていくことは十分に考えていたとは思う。問題はその後の車から手を離す瞬間のことだ。今までの僕はただ流れにそってその勢いで手を離すようなイメージを持っていたが、それでは駄目だと気がついた。手を離す瞬間にもう一度新たに力を加えなければいけない。こういう言い方をすれば分かりやすいかも知れない。今までの僕は車を一定の速度で回すイメージを持っていたけど、実際は手を触れて力を加えた瞬間に速度は増し、離してから次に今度手を触れるまでの間にその速度をわずかに落とすのだ。要するに早くなったり遅くなったりを繰り返すことがスイングする、ということなのだ。そこに「生きた・・」というイメージの回答がある。正確なパターンを繰り返すものには「生命」を感じることはないが、そこにある種の「揺れ」が加わると、それだけで生き生きとした躍動感が生まれるのだ。
ソロのレコーディングに向けて自分の演奏を細かくチェックしている。いろいろ気づく点がある。

●2004/01/23 Fri  軽井沢

一昨日から軽井沢にきている。新しいCDのレコーディングのためだ。今回は全くのソロのアルバムということで、ほかの仕事や用事などの煩わしいことから離れてスタジオで演奏に集中することになっている。
21日、ソニーのディレクターH女史と二人新幹線で移動。楽器が2台あるので東京駅までは家人に来てもらった。新幹線の時間を10分間違えていたのでちょっと慌ただしかったが、無事東京を出発。軽井沢までは約1時間、案外近い。新幹線を降り、外に出るとさすがに寒い。でも空気に透明感があって気持ち良い。駅に着いてまず腹ごしらえ。構内の喫茶店に行く。駅からはタクシー。さすがに周りは雪景色。スタジオは林のようになった別荘地の奥にある。なかなか美しい建物。壁が大きなガラス張りになっていて白樺の林と浅間山が見える。宿舎になる部屋もなかなかデラックスで居心地が良い。それに全館床暖房が入っていているので、中にいるかぎりはTシャツ一枚でも大丈夫だ。
先に来て準備を始めていたエンジニアのトモオさんと久しぶりに再会。前回のbossa novaの時もお世話になった、重鎮のエンジニアの方だ。bossaの時は編成が大きかったが、今回はソロということでいろいろ悩んだ、とのこと。結局普通のオーディオで再生してその場で僕が演奏しているように聞こえるものを目指すことする、と説明を受ける。具体的にはノン・リヴァーブでなるべく手を加えない。僕もそのつもりだったので全然異存はない。
早速スタジオに入る。ストリングス・オケが入れる大きなブースに一人でぽつんと演奏を始める。まずは音決めのためにいくつかのマイクを試してみる。その後レコーディングを始めたが、自分の中でなかなかバランスがとれなくて苦労する。ヘッドフォンのモニターに違和感を持ってしまうのだ。一応家でデモを録音した時にヘッドフォンになれる練習もしたのだが、やはり難しい。結局モニターはなしでまったくの素で演奏することにした。
一日半で20曲、結構早いペースで進んでいる。
これから三日目のレコーディングが始まる。

●2004/01/26 Mon  レコーディングを終えて

軽井沢でのソロ・レコーディングを終えて昨日東京に帰ってきた。朝タクシーを呼んでもらい駅に向かう。昨日はよく晴れていたが気温が低く林の木々が樹氷になっていて美しかった。寒さが空気により透明感を与えている気がする。タクシーを降り駅でソバを食べた。レコーディングの間も昼食は全部同じソバ屋に行っていた。スタジオの近くということで選択肢はないのだが、それでもさすがに長野のソバはおいしいので飽きない。
三日間で31曲を録音した。さすがに100曲とは行かなかったが、それでも充実したレコーディングだったと思う。それぞれが2〜3テイク録音しているので、レコーダーに録音したものはやはり100テイクぐらいにはなっているだろう。演奏の仕方を変えたり、セッティングを変えたりしながらいろいろ試してみたことも多い。プレイバックを聞いて、これはソロには向かない、とその場で却下したものもある。逆にソロに向かないから面白い、と残しているものもある。CDになる時はこの半分ぐらいの曲数になると思うが、その取捨選択がまた一仕事だ。
レコーディングの後はいつもラウンジで飲み会をやっていた。ディレクターのハッシー、エンジニアのトモオさんとアシスタント・エンジニアのタカマツさんというメンバーだ。みんな大人で静かな宴会だが、話の内容は熱くて面白かった。表現するためには、モチベーションを高めることが大切、というのが共通の意見だった。
家に着いたときにはさすがに疲れていた。早い夕食をとり、その後8時前にはベッドに入り、14時間くらい眠り続けてしまった。


[Home] [Profile] [Discograhy] [New CD] [Schedule] [School] [Live Report]

[What's New][Studio Report][Short Story] [Links to]