Yoshiro Nakamura
Itsuka Kimi ni
(je te dirai un jour)

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(Real Playerで全曲試聴できます)

Sony Music (SME SRCS-2150)
1999.10.21 in store

もう一度やろうよ!」
そう言ってリシャールは椅子から降り、踊りながら弾き始めた

'96『リオの鳥』、'97『エスコンジ・エスコンジ』とブラジル録音が続いた中村善郎が
朋友ピエール・バルーの協力を得てフランスでの録音に挑んだ
ゲスト
アコーディオンの第一人者リシャール・ガリアーノ
SARAVAH のニュー・スター、ビーア
そしてピエール・バルー
サポート陣に
ビーアのアルバムに参加した
繊細で堅実なマルチ・パーカッショニスト、シルヴァーノ・ミケリーノ
女性バス、アルト・フルート奏者、ドミニク・ボウゾン
その他
女性ベーシスト、モイーラ
チェロ、メデリック・ボルグ
と言った実力のある面々が
エトランジェ、中村との録音に積極的に熱意をもって参加した
特に
欧米ではすべての音楽ファン、そしてミュージシャンの
賞賛と尊敬を勝ち得ているリシャール・ガリアーノとの共演は
スリリングだ
このアルバムはSARAVAHの協力で
先ずフランス及び欧米諸国でリリースされた

「いつか君に」を巡る評論はこちら


収録曲
1.MEU VIOLAO (僕のギター)<Y.NAKAMURA >
2.LIGIA (リジア)<TOM JOBIM >
3 CE N'EST QUE DE L'EAU (おいしい水) <VINICIUS DE MORAES/TOM JOBIM adp.PIERRE BAROUH >
4.WINTER SONG (冬)<Y.NAKAMURA >
5.RAPAZ DE BEM (若者の歌)<JONNY ALF>
6.ITUKA KIMI NI(いつか君に)(Je te dirai un jour)<Y.NAKAMURA>
7.SAMBA EM PRELUDIO(プレリュードのサンバ) <VININIUS DE MORAES/BADEN POWELL adp. ATSUKO USHIODA>
8.ISTO AQUI O QUE E (イッソ・アキー・オ・キ・エ)<ARY BARROSO>
9.PRECISO MAIS TEMPO (もう少し時間が必要だ)<Y.NAKAMURA >
10.JACQUES ET GINKA (ジャックとギンカ)<Y.NAKAMURA >
11.KOTOBA NI NARANAI KOTOBA(言葉にならない言葉)
12 ENCONTRO#2 (出会い#2)<PIERRE BAROUH / Y.NAKAMURA>
13.BONSOIR JOLIE MADAME (今晩は、奥さん)<C.TRENET>

Musicians
Yoshiro Nakamura:Gui & Vo.
Silvano Michelino:Per & Marimbau solo
Dominique Bouzon:Fl, Alt.Fl, Bass.Fl
Mederic Bourgue:Cello
Moira Montier-Dauriac:Bass

Guest Richard Galliano:Acc(4.8.9):
Bia(7)
Pierre Barouh (12)

Arrangement basse: Yoshiro Nakamura
Arrangement de violoncell: Febian Reza Pane

Directeur:Yoshiro Nakamura (LITERARIO INC.)
Element provocateur: Pierre Barouh
Cooperatrice: Atsuko Ushioda
Co-producteur:Kohei Shinozaki(UE INC.)

Recorded by Jocques Dompierre in Studio Bocage (Vande)
& by Dominique Studio Garage (Paris) , France May 1998
Mixed by Jacque Dompierre in Studio Bocage
Mastering: Frederic Marin in ALCYON MUSIQUE sutudio

Conception graphique:Phong Long Dien
Photos: Akiko & Yumi


スタジオ・ボカージュ

中村善郎による曲目解説とレコーディング・エピソード

1.MEU VIOLAO (僕のギター)
 長い飛行機の旅だったが疲れは感じなかった。パリに着いた翌日saravahの事務所の下のライヴ・ハウスで僕は初めてシルヴァーノと会った。彼は初めて会う日本人がどんな音楽をやろうとしているのか、不安と好奇心の混じった目で僕を見ていた。でも「つくったばかりの曲だ…」と言ってこの曲を演奏した途端彼の顔から緊張の色が消えた。「サンバだね、まかしてよ…」そう言って彼は微笑んだ。

2.LIGIA (リジア)
 ジョビンの数多い名曲の中でももっとも僕の好きな曲だ。否定の言葉を連ねながらそれが愛の告白になっていく、少しひねくれたラヴ・ソング。僕のギターは揺れ動く心のように不安定なリズムを奏でる。そしてシルヴァーノのパーカッションは、それが夢の中の出来事のように時間を失わせる。

3 CE N'EST QUE DE L'EAU (おいしい水)
 今回の企画が始まった時、最初に思ったのはこの曲の事だった。実は僕がピエール・バルーを知ったのはこの曲からだった。東京からfaxで、この曲を録音していいか?と尋ねた時返事が来なかったので、ピエールのいない日に勝手に僕は下手なフランス語で入れてしまった。マスターリング・スタジオでピエールは初めて僕がこの曲を録音したのを知ったらしい。「これを入れたんだ」と言って僕の方を向いたとき、僕は怒られるかな?と思ってしまった。でもピエールは「うれしいよ…」と言って僕の肩を叩いてくれた。

4.WINTER SONG (冬)
 子どもの頃から広い所を旅してみたい、という気持ちが強かった。その結果20代の半ばに僕は2年間南米を放浪した。その中で特に記憶に残ったのは、ブラジルのボヘミアン達の夜、アンデスの空気の薄い少し青ざめた空、そして真冬のモンテヴィデオの街角だった。パリの街は規模は違うけれど少しモンテヴィデオに似ていると思った。そして石の街特有の足もとからせりあがって来る寒さを思い出した。

5.RAPAZ DE BEM (若者の歌)
 バス・フルートを手にしたままドミニクは熱心にこの歌の歌詞を知りたがった。意味が分からないと演奏しにくい、と言う。僕は苦労しながら英語で説明し、時々ビーアが横から助けてくれた。「別にあくせく働かなくても、暮らせればそれでいいじゃない…」そんな意味だよ、と言ったら、ドミニクは「それじゃまるでミュージシャンみたいね…」と言いながらマイクに向かって行った。

6.ITUKA KIMI NI(いつか君に)
 もう一つの旅の曲。シルヴァーノが自分で考案したマリンバウを持ってきてイントロをつけてくれた。バイヨンのリズムが僕は好きだ。いつも遠い所を旅しているような気分にしてくれる。メデリックの弾くチェロの音がまるで風に流れて行く雲のようだ。

7.SAMBA EM PRELUDIO(プレリュードのサンバ)
 ビーアとのデュエットの曲。ピエールのアイデアで僕が日本語、ビーアがポルトガル語で歌うことになった。フランス人達には日本語がエキゾチックに聞こえるらしい。みんなが口を揃えて美しいと絶賛した。でも僕はこそばゆい気持ちで、なんとなくダメになった国際結婚のカップルを思い描いてしまった。

8.ISTO AQUI O QUE E (イスト・アキー・オ・キ・エ)
 リシャール・ガリアーノは何年か前彼がピエールと一緒に来日した時、一緒に演奏した事を覚えてくれていた。それで今や欧米ではもっとも尊敬を集める音楽家の一人である彼が、ミラノからスペインに向かうその日に途中でパリに寄るという強行軍をおして来てくれた。僕は時間の事が気になって仕方なかったが、リシャールは案外楽しんでいるらしく、この曲を何度もやろうと言ってくれた。そして最後には椅子を降り踊りながら弾き始めた。そのテイクがこれだ。最後の口笛とのユニゾンは、こういったものを録りなれているエンジニア達にも奇跡のように聞こえたらしい。後でどうやって弾いていたか、しきりと知りたがっていた。

9.PRECISO MAIS TEMPO (もう少し時間が必要だ)
 僕のオリジナル曲、これで2回目の録音だ。もともとアコーディオンを想定してつくった曲だが、リシャールのアプローチは僕が思い描いていたものよりはるかに素晴らしかった。パリのカフェ、ブラジルのバールには共通の雰囲気があると思った。なにか、より人生を楽しんでいるような気がする。毎晩のように会っていたのに突然姿を見せなくなってしまった友人の事を思いだしながら書いた曲だ。

10.JACQUES ET GINKA (ジャックとギンカ)
 スタジオ・ボカージュはヴァンデの豊かな自然のまっただ中にある。週末になるとすぐそばを流れる川に釣りや水泳を楽しもうと若者達が集まってくる。スタジオはもともとピエールの別荘だったものを改造してつくられている。そのオーナー兼エンジニアが愛すべき頑固親父ジャックだ。いつまでも暮れない夕方ベランダでジャックと僕はワインやビールを飲みながらいろんな事を語りあった。そしていつも僕らの話を寝そべりながら聞いていたのが、ラブラドール犬のギンカだった。東京に戻ってみるとそれは遠い物語の中の風景のようにも思えるし、今すぐにでも戻れる友人の所、と言う風にも感じる。

11.KOTOBA NI NARANAI KOTOBA(言葉にならない言葉)
 ピエールに日本語の曲もやるべきだよ、と言われた時思い出したのがこの曲だった。学生時代僕の周りではフォークや関西ブルースというものがはやっていたけど、僕は音楽にはほとんど興味がなかった。なぜ赤い鳥のこの曲を覚えていたのか、自分でも分からない。ベースのモイーラは小柄な女性とは思えない豊かな音色を持っている。そしてとても陽気だ。録音をスタートした時、不安を吹き飛ばしてくれたのは、彼女の明るい笑い声だった。

12 ENCONTRO#2 (出会い#2)
 ピエールとの出会いをそのまま曲にしたもの。これも2回目の録音だが、詞の内容が少し変わっている。最後にはスタジオにいた全員がコーラスで参加してくれ、華やかに終わった。これがレコーディングの最後の曲だった。そしてみんなが帰った後はパーティの後のように寂しかった。

13.BONSOIR JOLIE MADAME (今晩は、奥さん)
 最後はシャルル・トレネの古いシャンソン。これもピエールのすすめで取り上げた。クロード・ルルーシュの新作映画(たぶんこの秋公開される)のテーマ・ソングにもなっている、ということだ。ブースの外でピエールとジャックが僕の発音をチェックしていたが、いつも同じ所で二人が顔を見合わせて、ニヤリと笑うのが僕には気持ち悪かった。「間違ってる?」と聞くと二人が口を揃えて「いいや、大丈夫だよ」と答えた。不法滞在の外人労働者が可愛い奥さんに恋してしまった、という風にでも聞こえてるのだろうか?



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