ターンとピボット


 ピヴォットは、ボールを受けた後のボールキープ、ドライブイン、ステップ・フェイキングなどのオフェンスの基本動作や、ディフェンスでの素早い切り返し動作などに見られる最も基本的な動きの一つです。
 シューティング、パス、キャッチング、リバウンドの能力はピボットする能力に強く依存しています。すべてのプレイヤーは、これらの他の技術を完全に出来るようになるためには、その前にピボットの技術を習得しなければなりません。

 ターンとピボットという言葉は、ほとんど同じ意味で使われています。一方の足(ボールを保持している場合はピボット・フット)を軸として、すなわち片足を床につけたまま、もう一方の足(フリーフット)の位置を置きかえて身体の向きを変えることをピヴォットまたはターンといいます。回転の方向によって、フロント・ターンとリバース・ターンの2種類があります。フロント・ターンは半時計回りにターンをし、リバースターンは時計回りにターンします。どちらのターンも大回りをせずに(ドア・ターンを行わない)、最短の距離でフリーフットの移動を行います。

 ピボットの基本動作のポイントは、次の3つがあります。

  1. 足関節と膝関節を柔らかく曲げて重心を下げて方向転換して、つま先の向きと膝の向きを一致させること。
  2. 軸足の踵を浮かせて、母趾球を中心にしてターンすることを意識します。
  3. フリーフットは、自分のコントロールの効く範囲での移動とし、バランスの崩しやすい広すぎるスタンスや狭すぎるスタンスとならないように注意します。

 膝関節と足関節が同じ方向を向いていない場合、つまり、膝頭は内側を向いているのに足先が外側を向いたままで動こうとすると、下肢に回旋ストレスが生じる。この方向転換動作によって下肢にかかる回旋ストレスを回避するには、各関節の異方向の運動を制御して、同一方向での運動を行うようにする必要があります。



移動方向に対する効率の良い動き

 移動方向に対して効率の良い動きを行うためには、股関節と膝関節とを曲げ、重心の高さを一定に保つことが大切です。
 方向転換を一回の大きな動作で行う場合は膝を完全に伸ばすことになるので、大きな力が求められます。しかし、連続動作で行う場合は、転換する方向への無理のない動きが要求され、そのためには歩幅を重心の高さに影響のない範囲とする必要があり、膝が完全に伸びないステップとなる。このステップが望まれるのは、移動した際にも(次の動作のために)正しい構えをとることが要求されるためです。

 移動方向に対する効率の良い動きを行うためには、構えと同様に膝を曲げた姿勢を維持できるようなトレーニングが必要です。この姿勢の学習には、膝を曲げた状態で歩くKBWとBKBWが効率の良い練習です。



ポイント

  1. 基本の姿勢を取ります。
  2. 左足をピボット・フット(軸足)とした場合、重心を左足の拇指球(親指の付け根)に乗せます(図1)。床面と足底とが接する面積が小さいほど方向転換がしやすい(効率が良い)ので、拇指球もしくは踵部をピボットの軸として行う。
  3. 左足を中心にして、大回りせずにフリーフット(動かせる足)をピボットフット(軸足)に乗せるような感じで最短距離を通すようにすることです(図2)。
  4. フリーフットの爪先は進行方向に向け、重心を低くしてバランス良く方向を変化させましょう。
  5. 上体を倒さないようにし、常に視野を確保する。
  6. ピボットを踏んで回転する間、目標方向への視野が狭くなります。身体よりも先に首を回転させ、視野を確保しましょう。


ピボットの練習

1、ツイスティング運動

 ツイスティング運動は、股関節と膝関節とを軽く曲げ、原則として拇趾球を軸としたピボットによって、左右に身体を回旋させます。このとき、拇指を軽く反らし、ウインドラス機構を利用します。そして、顔を上げて上下運動がないように注意します。
 具体的には、両足肩幅に広げ、基本の姿勢[7]をとり、母趾球でピヴォットを踏みます。スキーのウェーデルンをしているようにリズミカルに行い、床との摩擦でキュッキュッと音がなるような感じで行います。このときに、つま先の向きと膝の向きが一致するように気を付けます。
 また、片足を浮かせて、もう一方の足でピヴォット動作をリズミカルに行う動作も行います。
 この基本動作を習得したら、ツイスティングからステップへ、さらにジャンプへと連続して行う。

2、KBW:Knee Bent Walking

 無理のない範囲内で歩幅を左右一定とし、重心の高さは一定に保って、顔は正面を向き、胸を張って歩く。ただし、腰椎の前弯があまり強くならないように注意する。また、足が接地しているときには、下腿を前へ傾斜させること、足が浮いているときには足関節を反らすことが大切です。
 実際の動作においては、前方への動きばかりではなく後方への動きも多く見られるために、後方へのウォーキング(BKBW:Back Knee Bent Walking)も行うようにします。
 KBWもBKBWも股関節を常に曲げた状態で行う運動であるため、実施においては股関節を中心とした筋肉に十分な筋力を必要とします。

3、ランジ

前方へのランジ
 上体の姿勢を変えずに、出来るだけ遠くに前へ1歩踏み出します。膝の真下につま先が来るようにします。踏みだした足を元に戻すときに、軸足がふらふらとしないように注意します。

8方向ランジ
 前後左右斜めの8方向に対して、フリーフットのつま先方向へピヴォットを踏みながら行います。

バリエイション・ランジ
 前後左右斜めの8方向に対して、上体とピヴォットフットの方向を変えずにフリーフットを踏み出す位置を変えます。

4、ボールを持たないピボットの練習

 上述のポイントに注意しながら、あらかじめ方向変換の角度とターンの方向を指示し、笛の合図でターンする。
 それぞれのプレイヤーの拇趾球の状態を注意する。

5、ボールを持ったピボットの練習

 ボールを腰の位置に置き、ピボットに対して軸足から最も遠いところにボールを持っていく。これをピボットを行うたびに繰り返す。
 ピボットの瞬間には、腰の位置を通す、頭の上を通す、膝の高さを通すなどの指示を与えて行う。

6、ディフェンス付きピボットの練習

 まず、最初にボールを腰の高さに保持して始めます。
 ディフェンスの目的はファールすること無しに、ボールを奪うことです。
 オフェンスは、ボールを高い所や低い所へ、右へ左へ、身体の近くへ特へと動かしながら、前へ後ろへとピボットを行い、ボールをキープします。
 オフェンスがうまく出来るようになれば、前方にいるコーチの指の本数を声を出して数え上げます。

7、2人のディフェンス付きピボットの練習

 の練習をディフェンスを2人で行います。


参考文献

  1. 川野哲栄, "下肢のスキル運動(1)", トレーニングジャーナル, 2(1994)90
  2. 川野哲栄, "下肢のスキル運動(2)", トレーニングジャーナル, 3(1994)86
  3. 野村亜樹, "バスケットボールに必要なトレーニング(1)", コーチングクリニック, 7(1998)26
  4. 杉山ちなみ, ”トレーナーズ・クリニック”, BASKETBALL MAGAGINE, 10(1995)78
  5. 杉山ちなみ, ”トレーナーズ・クリニック”, BASKETBALL MAGAGINE, Vol3 No.11 (1995) P78-79