5.ファンタジー

<陰陽師>
「陰陽師 太極ノ巻」
夢枕獏/文藝春秋/\1286
現代の雨月物語と言えるモノだけれど、長編を書いてくれるともっと面白いのになあ。
「陰陽師 龍笛ノ巻」
夢枕獏/文藝春秋/\1286
うん、手馴れてるね。でも薄味だから定価では買う気にならない。ブックオフで105円。
「陰陽師 生成り姫」
夢枕獏/文春文庫/\581
シリーズ初の長編。謡曲「鉄輪」を下敷きに、源博雅が恋心をいだく名も知らぬ姫の変化を描く。人間誰しもが心に潜む鬼を持ち、上手く付き合っていかなければ鬼になってしまう。安部晴明と博雅の会話と友愛が心地よい。
「陰陽師」
夢枕獏/文春文庫/\476
漫画「陰陽師」の元本。私の夢枕氏への評価は、冒険物、猥雑本の作者で、買うまでもなく立ち読みで良い、というものだったが、これはなかなか良いです。人情と友情の機微を上手く書いている。漫画の構成、会話はほとんどこの小説通りだ。

<万城目学>
「ホルモー六景」
万城目学/角川書店/\1300
「鴨川ホルモー」から派生する短編が六篇。上手く出来ていて心地よい。
「鹿男あをによし」
万城目学/幻冬舎/\1500
面白い、やるじゃないか、マキメ。奈良の都で、1800年前から60年毎に続けられている鎮めの儀式。鹿と狐と鼠が人間の「使い番」「運び番」を駆使して地下の鯰を鎮めて日本を守る。奈良の女子高に短期の赴任になったオレが、「運び番」として騒動に巻き込まれる。「坊ちゃん」のお膳立てに「陰陽師」の不思議を振りかけた青春騒動記。
「鴨川ホルモー」
万城目学/産業編集センター/\1200
書店で見かけて気になっていた。千葉の鴨川でヤクザか学生のドンパチ小説か。それにしては表紙の青い浴衣の連中はなんなんだ? 読んだら面白かった。上手いじゃないか。京大の学生の青春物語だが、捻って現代に陰陽道を持ち込んだ。主人公安倍の駄目さ加減をもっと出して、楠木嬢の恋路をもっとドラマチックにしてくれると言うことないんだが。 次作も読んでみよう。

<その他>
「四畳半神話体系」
森見登美彦/角川文庫/\667
テクニックはあるが、語るべき内容が無い。若書きと言わざるを得ないかな。賞をもらったから伸びたと言えなくは無いから、賞の効果ありかも。
「太陽の塔」
森見登美彦/新潮文庫/\400
日本ファンタジーノベル大賞受賞のデビュー作。こんなのが大賞か? テクニックは素晴らしいが中身は無い。語るべき内容を持たない英語の達人の日本人という感じだ。まあ経験を積んで「有頂天家族」という傑作に繋がったかな。
「有頂天家族」
森見登美彦/幻冬舎/\1500
京都は狸と人間と天狗が雑居する不思議な異界。主人公、狸の矢三郎はやんちゃで冒険心あふれる若者だが、狸の跡目相続、師匠天狗のお世話、弁天様と元許嫁とのロマンチックなやり取りなど様々な騒動に巻き込まれる。文章も構成も上手く、面白い。たいした書き手だ。
「八月の博物館」
瀬名秀明/角川文庫/\743
博物館が好きなので期待したが、つまらない。こんな会話をする小学生は有り得ないし、説明がうるさくて物語の繋ぎがいい加減なので、没頭出来ない。作家がどう考えようが、文科系か理科系だろうが、読者にとってはどうでも良くて、ただ面白いストーリーでなくちゃ。
「ハリー・ポッターと賢者の石」
J.K.ローリング/静山社/\1900
魔法使いの両親を持つ、11歳の孤児ハリーポッターが魔法学校に入学して自立していく物語。面白いことは面白いのだが、博愛主義に欠けるというか、人間や自然に対する愛情が感じられず、のめり込むことが出来なかった。英国では、本当に大ヒット作なのだろうか。訳者の松岡さんは、ICUの先輩で苦労されているそうなので応援したい気持ちはあるのだが。
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