51.ビルドゥングスロマン

<ビルドゥングスロマン>
「テッキーヤ!」
清野かほり/講談社/\1600
女子高生のヒカルがテキヤのバイを手伝うことになり、青春真っ盛り。文章も上手く、シチュエーションもまともなんだけど、逆に真面目過ぎてハチャメチャになれないのが問題。私は大学時代、葉山海岸でテキヤのバイトをしていたので、良く分かる。心を打つ激しさ大きさを期待します。それにしても、著者の写真を掲載するのはよくない。 この文章をこの人が書いてるの、なんて分かるとゲッソリする。
「岸和田少年愚連隊」
中場利一/講談社文庫/\533
面白いんだけれど、殴りに偏り過ぎ。ロマンと友情とギャグの比率をもう少し高めれば一流の娯楽作品になるのに。私の田舎の中学でもチェーンや木刀を持って他の中学に押しかける連中はいた。ただここまで激しくはなかったと思う。この本は誇張がありすぎるのではないかなあ。レンガや鉄パイプでやれば、死んでしまうぞ。 私が本気でやれば殺してしまうのが恐ろしいからやらない。
「走らんか!」
長谷川法世/集英社/\1400
ブックオフで50円。漫画「博多っ子純情」の作家が小説を書いた。悪くは無いけれど、真面目で硬過ぎる文章だ。漫画のあのユーモアや軽みが消えうせてしまう。やはり漫画を書く方が良いと思うが、もうあれ以上のモノは描けないのだろうなあ。会話だけで表現すると良かったかも知れない。
「下妻物語」
嶽本野ばら/小学館/\1400
ブックオフで半額。映画と小説、どちらを先に見るか迷ったが、映画を先に見て正解。小説から読むと、導入部のロココについての薀蓄や文体が鼻について捨てたかもしれない。そこを通り過ぎて本題が始まると面白いのだが。映画だと深田恭子が違和感なく話しに没入させてくれた
端的に言うと、高校生のヤンキーとロリータの男っぽい友情物語。可愛いし、ホロッと来るし、落とし所はわきまえた達者な構成で、引き込まれます。ただこれは女性を主人公にして入るけれど、男の友情物語じゃないかなあ。
「少年時代」上・下
ロバート・R・マキャモン/文芸春秋/各\2000
米国南部の寒村ゼファーに住む12才の少年コーリーの一年を描くことによって、家族・友人の愛や男の成長を教えてくれる。ナチの戦犯が絡んだ殺人事件や人種差別などの社会的背景もきちんと書き込まれているので、引き込まれる。
「天の瞳」T・U
灰谷健次郎/新潮社/各\1600
主人公倫太郎の保育園・小学校生活を通して、男の生き方を教えてくれる。嘘をつかない、友達を大事にする、何事にも全力でぶつかって行く、自分で考え行動し、責任を取る、 と書いていると、まさに今の日本に欠けていることだらけじゃないか。
「地下鉄に乗って」
浅田次郎/講談社文庫/\552
吉川英治文学新人賞受賞作、ということは初期の作品。でも著者の良さも物足りなさもすべて含んでいる。映画は酷い脚本だったが、これは読むに耐える佳作だ。地下鉄そのものとその歴史に対する愛着が根底にあり、父と子の葛藤や愛が語られる、やや深みが足りないのだが。
「プリズンホテル 2 秋」
浅田次郎/集英社文庫/\724
3 冬、4 春の三冊を大阪出張の間に、行きの新幹線と夜のホテルで読み切ってしまった。朝の3時までかかったが、翌日の仕事に影響が出るのもなんのその。面白かった。
「プリズンホテル」
浅田次郎/徳間書店/\1400
浅田次郎をこれまで食わず嫌いだったのが間違っていた。文章も構成も達者で読ませてくれる。欲を言えば、もう少し書き込んで、大長編にしてくれると楽しい。映画になるのが楽しみな本だ
「フルスウィング」
須藤靖貴/小学館文庫/\457
野球小説六編。シチュエーションは陳腐、ストーリー・文章は在り来たり。あの名作「俺はどしゃぶり」の作者とは信じられない。短編には向かないのか。
「俺はどしゃぶり」
須藤靖貴/新潮社/\1400
参った、最高に面白い青春小説。新米高校教師「どしゃぶり」がアメフト部を創り運営することを機軸に、同僚との交流、淡い恋愛などを絡めた筋立てだが、骨太の文体とユーモアが渾然一体となり感動させる。初得点のシーンでは泣いてしまった。おすすめです
「天使のリール」
喜多嶋隆/中公文庫/\629
女子大生で釣り船の船長である主人公の、釣り客との葛藤や人生が淡々と描かれている。湘南を舞台にして、人物設定も的確なので、映画にしたい物語。爽やかで感動的な映画になりそうだ

前のページ