41.経営者

<ユニクロ>
「個人的なユニクロ主義」
柳井正・糸井重里/ほぼ日ブックス/\700
数年前、柳井さんの講演を聴いたが、この本は柳井さんの実像に一番近いように感じる。そこが糸井さんの狙いでもあるが。今、株価の凋落や野菜販売に疑問符が投げられているが、初期の頃、誰がユニクロの台頭を明言しただろうか。野菜販売についても海外進出についても、数年前から柳井さんは構想していた。なかなかの人だ。
ほぼ日ブックスの、本質に迫る簡便な本、という狙いは達成されていると思うが、もう少し安価にして欲しい。
「無印良品VSユニクロ」
溝上幸伸/パル出版/\1400
概論を知るには良い。成功の本質は付いていない気がする。
「ユニクロ!監査役実録」
安本隆晴/ダイヤモンド社/\1600
1994年、広島証券取引所へのユニクロの株式公開に助力した筆者の記録。筆者の飄々とした生き方が楽しいし、ユニクロの成長がそれなりの努力のもとに達成されたことが分かる。近所にあるので買いに行ってみよう。

<凄い経営者>
「無試験入社、定年なしで世界レベルの「匠」を育てた」
松浦元男/講談社/\1500
小さな金型屋が世界に約する秘訣を知ることが出来る。無試験入社や定年なしも素晴らしいが、素人でも鍛え上げて、任せて、ともに喜ぶという社長の姿勢と手腕が凄い。ただ甘やかすのではなく、「社員教育とは素人の新人を選手に鍛え上げること」「反論を許さない徹底的な基礎訓練」を経て伸びることを期待している。一定レベルまでは日本的徒弟制度、一人前になれば任せるというメリハリの付いたやり方が、当然だけれど凄い。
「あ! ビールだ!!」
相原恭子/静岡新聞社/\952
日本初の地ビール、御殿場高原ビールの創業記。もちろん兜ト久というバックグラウンドはありながら、未知の分野に飛び込んだ心意気は素晴らしい。インターネットで調べると、ホテル事業にも進出しているので、時之栖というホテルに一度泊まってビールを飲んでみたい。もう何十回も御殿場に行きながら、ビールもホテルも知らなかった。
「ヒディンク革命」
李東 ・金華盛/新潮文庫/\1600
2002年のワールドカップまで500日しかない韓国サッカーチームを任されたヒディンクは、類まれなリーダーシップでチームをベスト4まで押し上げた。ピッチ上でも、サッカーより年齢の上下関係を重んじる若手、ただ走り回るだけで創造性や考える速さの欠ける選手。全権を委譲されたヒディンクの準備周到な計画と頑固な実行力は韓国サッカーを変えた。本書はヒディンクの足跡を追いながら、彼の活動はまさに企業のCEOの仕事と同じであるとの認識に達した。各国企業の事例とヒディンクのやり方を並列して、韓国文化革新の意欲に燃えている。事実をそのまま捉えようとする真摯な姿勢に共感する。
「やればわかる やればできる」
小倉昌男/講談社/\1600
ヤマト運輸の社内報「ヤマトニュース」に延々と掲載された、巻頭コラム「とまり木」の一部を収録したモノ。マニュアルを離れた、臨機応変の優れたサービスを提供するための気働きの重要さを訴えたという。私が納得することばかりだ。トップがこれほどまでに真面目に誠実であれば、成果も上がりやすいだろう。日本企業の大部分とはエライ違いだ。この小倉さんにかつての東レは誉められていた。今を知られると、ああ。
「やってみなはれ みとくんなはれ」
山口瞳・開高健/新潮文庫/\476
昭和44年に発行された社史「やってみなはれ サントリーの70年T」に掲載されていたもの。よくもまあ、こんな内容が社史に掲載されたものだ。よくもまあ、こんな面白い人物像と社史を書けるものだ。筆の力で泣かされてしまった。佐治敬三の「へんこつなんこつ」は、本人が書いているが筆力が無いため、感動させられない。やはり力のある作家は凄い。30年近く前、会社訪問をした時にもらったサントリーの会社案内はいまだに取っていて、家のどこかにあるはずだ。
「デルの革命」
マイケル・デル/日経ビジネス人文庫/\800
デルコンピュータって凄いんだ。ただの安売りPCかと思っていたらとんでもない。高校生の著者が立ち上げたベンチャーで、15年で米国一のPCメーカーになった躍進企業だった。彼のやり方は、直接販売直接ヒアリング。顧客の声を聞き、それに合わせて製品・会社を改革するという、真っ当至極の経営だ。インターネットという脅威のツールを使いこなして「ダイレクト」を戦略の基礎に置いているが、彼ほど真面目に取り組んだ企業はいないのが実情だ。今の日本企業の不祥事は、デルの逆をやっていることの結果に過ぎない。
「田宮模型の仕事」
田宮俊作/ネスコ・文藝春秋/\1500
「好きこそものの上手なれ」。やはり好きなことを一生懸命やり、成功するのが一番。淡々と書いているが、一生懸命生きている姿に感動する。
「俺の考え」
本田宗一郎/新潮文庫/\400
40年近く昔に書いた本がまったく古びていない。筋を通し、一生懸命努力する本田さんの生き方が彷彿とする。生き方、企業経営ともに、東レのCIで主張していたことと同じ。それにしても新潮文庫は、相変わらず栞代わりの紐を綴じ込んでいて良心的だ。
「わが友 本田宗一郎」
井深大/文春文庫/\400
私は本田さんを尊敬しています。この本には、真新しいエピソードは無いが、本田さんを畏敬し愛おしむ井深さんの思いが込められている。「出来るし良い奴」が二人、一生懸命生きて、しかもお互いを理解し合っている。まったく羨ましい人生で見習いたい。

<堀場雅夫>
「好きにまかせろ!」
堀場雅夫/ダイヤモンド社/\1500
こどもを幸せにする教育論と銘打っていて、良いことも言っているけどちょっと大げさかな。教育、エデュケーションの語源、エデュースは引き出すことだから、子供の好きなもの得意なものを見つけて引き出してあげるのが教育、と言われれば仰る通り。好きなことであれば、人は執念でやり遂げるから、好きにまかせろ、うんその通り。じゃあ何故そうなっていないかが問題であって、こんなレベルの事を書いたり講演したりで解決するものではないだろう。やり方が間違っているかも。
「人の話なんか聞くな!」
堀場雅夫/ダイヤモンド社/\1500
題名は、まあ言葉の綾で、自分なりのきちんとした価値観の確立してない人間は、何を聞いても無駄だということ。まず自己の判断力を養いながらドンドンやりなさいという意味。言葉通りだと、堀場さんの本も読む必要なしになってしまう。この本には、良い仕事が出来るための、アドバイスがみっちり詰まっている。多少推敲が足りない文章があるけれど、意味を汲み取ると良いことを言っている。
「イヤならやめろ!」
堀場雅夫/日本経済新聞社/\971
堀場製作所の創業者の50数年の経営哲学「おもしろおかしく」を平易な言葉で語っている。まったく同感だ。東レのCIをやっていた時の考えがピッタリと当てはまる。あとは実践のみ。

<経営者>
「流通王」
大塚英樹/講談社/\1800
副題は、中内功(本来は、力ではなく刀)とは何者だったのか。読後感を一言で言えば、一時大当たりしたけれど結局すってしまった、親父さんと同じ博打好きの人生、という気がする。もちろん、流通やエンタテインメントに与えた影響は多大なものが有るけれど、結局自分も世の中も見失って、引き時を間違えてしまった。弱い博打好きの典型だと思う。 その努力、勢いのある時のまっとうな生き方、パワーには感心するが。著者は、中内?に思い入れがあり過ぎて、やや判断力が偏っている部分がある。
「大倉喜八郎の豪快なる生涯」
砂川幸雄/草思社/\1942
裸一貫から身を起こし、様々な事業を立ち上げた快男児。今あまりにも評価が低すぎる感がある。国内での起業、中国との事業では現在よりもはるかに進んでいた。あまりに大倉個人の能力が高すぎたため、後継者の育成が出来ずに企業群がバラバラになったようだ。
「野生のひとびと」
城山三郎/文春文庫/\388
三井・三菱などの財閥とむしろ対立しながら活躍した、明治大正期の野人的経済人の生きざまを俯瞰的に描写していて、私のように無知な人間には非常に分かりやすかった。大倉喜八郎、安田善次郎、浅野総一郎、金子直吉、福沢桃介、松永安左衛門、これに渋沢栄一、高橋是清が絡まり、近代日本の企業活動が作り上げられていく。たまたま飛鳥山の渋沢資料館を見たことで彼の組織作りの凄さを知り、女房の勤め先が大倉の流れの会社であったため知識を得、江戸東京たてもの園では高橋是清邸を見た。ほんの100年程度前に、我々の礎を彼らが築いてくれたのを知ると、もっと頑張らねばと思う。
「闘魂 人生必勝の道」
清水信次/経済界/\1100
食品スーパー「ライフ」を日本一にしたという筆者の活動を見たくて購入したが、さすがに機を見てすぐ行動する点は凄いと思う。私も同じように出来るが長続きしないし、したくない。そこが彼我の差だ。文体から推測すると、ゴーストライターに書かせた自叙伝のようで、随所にご都合主義が目に付くけれど、言っている事は正しいし、これからの日本に必要なのは志だ、という点にも共感する。でも政治家達との繋がりや写真を見ると、なんとも胡散臭いのだなあ。
「日本企業の表と裏」
高杉良・佐高信/角川文庫/\533
ご両者とも、企業の実態を誤解して空理空論に走るきらいがあります。経済小説と銘打って、実名を出しながら小説という逃げを打つのはいただけません。トップや役員の話をいくら聞いても、実態は分かるはずがないのです。だって彼らは仕事をしていないし、知らないんですから。トップのやること喋ることのお膳立てをするのは、我々の世代か課長レベルであり、実際の仕事をしているのは課長前後の年代です。次長以上は、仕事よりもごますりです。トップから部長までの話を聞いて分かったつもりになるのは100年早いよ。もうちょっと謙虚になれないものかなあ、部外者なんだから。
「会社もけっこう面白い」
柴田隆介/日経ビジネス人文庫/\743
オフコンディーラーのエルムを創立し、ウッドランドを上場させた筆者の生き方が爽やかだ。文体も上手く、読み物としても面白い。
「へんこつなんこつ」
佐治敬三/日経ビジネス人文庫/\648
「私の履歴書」の文庫版だから、多少割り引いて見なくてはいけないが、自分できちんと考え生きてきた人には違いない。確かに真面目に仕事している。
「青年社長」上下
高杉良/ダイヤモンド社/各\1600
つぼ八から身をお越し、外食産業で上場に至った起業家の実録小説。面白いのだが、小説と言うには表面的過ぎて深みがないし、ノンフィクションとしては調査不足の感がある。
私としては見習って起業すべきかな。
「ベンチャーわれ倒産す」
板倉雄一郎/小学館文庫/\495
ハイパーネット社長板倉氏の手記。30代の若き起業家が2年間に味わった、通産大臣賞から自己破産までの経験を振り返る。どこまで本当か分からないが、日本の企業社会と本人とのどちらにも問題がある。ただ、彼のエネルギーは凄いと思う。生きるエネルギーを完全燃焼しないでくすぶっているか、燃やし方を知らないサラリーマンが多すぎる。私も含めて。
「心を創る七つの言葉」
梁瀬次郎/時事通信社/\1100
ベンツ、ワーゲンの横暴に対して、敢然とケツをまくって、オペルと組んだヤナセの潔さに感心していたので、読んでみました。確かに、言っていることは正しいのだが、やっぱり老化しているなあ。

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