4.評伝

<聞き書き>
「思い出株式会社」
土屋嘉男/清水書院/\1380
土屋さんの思い出話しだが、面白い。古き日本の良さを、甲州塩山市の生活風景を教えてくれる。少年の日に夢見たことは躊躇無く実現させるべきだ、という生き方は魅力的だ。
「クロサワさーん!」
土屋嘉男/新潮社/\1500
良いなあ、黒沢組は楽しい。モノを作るって苦しいけれど、出来上がったら最高。本物を身近に使う事、常に最高を目指すこと。あまりにも黒澤さんは偉大だ、チャチな部分も有るが。彼の作品をすべて見てみたい。
「拝啓 渥美清様」
読売新聞社会部/中公文庫/\648
うーん、一面的な新聞記事。基本的に新聞記事はつまらないし、文章は下手で、お涙頂戴になる。字数制限に慣れたり、物事を表面的にしか見ない癖が付いているんだろうなあ。それと複数の書き手のレベルが違うせいもあるだろう。まあ参考程度だな。
「おちおち死んでられまへん」
小田豊二/創美社/\1500
ラストサムライに出演後の聞き書き。ハリウッドと日本の映画の作り方の違いなど、興味深いものがあるが、何しろ淡々と語る福本さんの生き方、仕事の仕方が気持ちよい。本当にここまで達観しているか、と疑問を感じる部分もあるが、それは本なのだから目をつぶろう。良い生き方をされている。
「どこかで誰かが見ていてくれる」
小田豊二/集英社文庫/\571
ラストサムライ」でトム・クルーズを護衛していた侍役で福本清三を知ったが、大部屋俳優として有名だったようだ。書中の映画スターの写真が懐かしい。私は東映時代劇、中村錦之助の大ファンだった。恰好良かったもんなあ。
「のり平のパーッといきましょう」
小田豊二/小学館/\2000
面白い。全編、のり平の口語で構成し、写真も効果的。ただし、これが全て事実かと言うと、やや疑わしい。家族との問題が欠落しているし、のり平は最後まで芝居をしていたのではないか、とも思われる。それはそれで良いのだが。
「聞書アラカン一代 鞍馬天狗のおじさんは」
竹中 労/白川書院/\
アラカンを知らなくても、ある俳優の男としての生きざまに感動する。
「パン猪狩の裏街道中膝栗毛」
滝 大作/白水社/\-
名ボードビリアンの毅然たる一生。
「笑伝 林家三平」
神津友好/文芸春秋社/\
あの笑いの裏にどのような生活があったのか。
「人はなぜバーテンダーになるか」
海老沢泰久/TBSブリタニカ/\1262
若い頃、バーテンダーに憧れていました。昔に行った、銀座のJBAバーの鈴木さんの名前が懐かしかった。もう亡くなられたのかな。それにしても、海老沢さんはもっと核心を突く書き手だと思っていたのに、意外だった。衰えたのかな。
「海峡を越えたホームラン」
関川夏央/双葉社/\
元広島カープの投手福士明夫などの在日韓国人選手たちの韓国での生きざまを描く。
「津山三十人殺し」
筑波 昭/草思社/\
寒村の秀才少年がなぜ凶行に走ったか。
「ハリウッドのピーターパンたち」
ディック・モーア/早川書房/\
かつての子役スターたちへの聞き書き。
「大統領の陰謀」
C.バーンスタイン、B.ウッドワード/文春文庫/\
ニクソンを辞任に追込んだワシントンポストの記録。ニュージャーナリズムへの一里塚。
「ベルーシ殺人事件」
B.ウッドワード/集英社/\
なぜ死ななければならなかったのか。ハリウッドのスターたちの証言をニュージャーナリズムの手法で組立てた。
「生存者」
P.P.リード/新潮文庫/\
アンデス山中に墜落した飛行機の乗客のうち、10週間後16人が生還した。生存のための心の葛藤。

<小林信彦>
「喜劇人に花束を」
小林信彦/新潮文庫/\466
植木等、藤山寛美そして最後の喜劇人伊東四朗の評伝。この人の文章には頷ける。
「おかしな男 渥美清」
小林信彦/新潮社/\1800
筆者の付き合った渥美清、記憶に残っている渥美清を書いたそうだ。渥美清は勿論のこと、むしろ小林さんの人となりが覗えて面白かった。若い時からしっかりと仕事をし、優しさと同時にろうたけた大人の突き離した冷たさも垣間見せる。 文章は平易だが、実はとても上手い人だと思う。寅さんシリーズの1から5話までをビデオで見てみよう。
「日本の喜劇人」
小林信彦/新潮文庫/\552
古川緑波からたけしまで、喜劇人の人となりと流れを精述してくれる。実際に見て、話した上での文章は本質を突いてるように思える。観劇百遍、意自ずから通ず、好きこそ物の上手なれ、を実感します。

<その他>
「芸能人別帳」
竹中労/ちくま文庫/\950
42人の芸能人を、愛情をしっかりと持った上で切り捲る。真っ当である。納得する。竹中労は凄いジャーリストだ。こんな良い見本があるのに、今の日本は。
「ジブリマジック 鈴木敏夫の創網力」
梶山寿子/講談社/\1600
ドジオくんと呼ばれた鈴木さんが、徳間社長や周囲の影響で名プロデューサーと言われるようになった経緯がよく分かる。性格や考え方、仕事の仕方は、東レでCIを推進していた時の私と驚くほど似ている。違いは、彼はより大きな成功をし、継続したという点だ。
「秘密諜報員 サマセット・モーム」
田中一郎/河出書房新社/\2500
大森実国際問題研究所や駐日スウェーデン大使館などに勤務した著者が、個人的興味で好きなモームの足跡を追いかける。厳密なルポでも無いし小説的な面白さも無いが、モームマニアが資料とするには良いと思う。読んでガッカリ、そういえば私はモームをじっくり読んだことが無かった。小説家が実はスパイという題名に、勝手に面白く想像をしてしまったのが間違いだった。
「史上最強のリーダー シャクルトン」
マーゴ・モレル、ステファニー・キャパレル/PHP研究所/\1500
シャクルトンのエンデュアランス号探検隊は、南極横断に失敗し遭難したが、全員生還という目標を立て、出発から約二年後、無事に全員生還した。映画に感動していたので、BOOK・OFFで本を見つけたときにすぐ買ってしまった。確かに立派な人だし、リーダーシップは素晴らしいが、奇麗事で無い部分も書いている。自伝「南へ」も読んでみたくなった。
「團さんの夢」
中野政則/出窓社/\1600
ブリヂストンの社員であった筆者が、團伊玖磨さんの知己を得て以来30数年間、九州での作曲・公演活動をプロデュースしていた。現在は、「團伊玖磨さんの音楽を楽しむ会」代表として活動している。私も尊敬する團さんの様々な場面を描写してくれているので、生前が彷彿とされて嬉しい。
「宮本武蔵伝説」
-/別冊宝島/\840
英雄豪傑として親しまれた江戸時代の武蔵像が、吉川英治によって「求道者武蔵」として圧倒的な支持を受けた。その武蔵像を井上雅彦は「バガボンド 放浪する狂気の天才」として再構築し、現代に通じる生き生きとした若者を創造した。面白い題材は、天才の想像力を刺激するらしい。
「キャンティ物語」
野地秩嘉/幻冬社/\1553
1960年代、六本木に有ったイタリアレストラン「キャンティ」には、オーナー川添浩史の仲間が集まっていた。黛敏郎、生沢徹、福澤幸雄、三島由紀夫、黒澤明、淺利慶太。ミッキーカーチス、加賀まりこ、安井かずみ。音楽・ファッション・文学・映画など、当時のサロンを成していた。川添さんの生き方がこのキャンティに凝縮されているので、人との交わりに興味有る人は必読。
「日本史 有名人の晩年」
−/新人物往来社/\1600
自分の今後の生き方や死に方を考えていたので、題名に惹かれて購入した。アンソロジーなので、書き手によって出来不出来の差が大きい。長生きの登場人物が多いのが意外だった。
「だめだこりゃ」
いかりや長介/新潮社/\1400
ベースを弾く麒麟麦酒のCMは、私が昔ベースを弾いていたという好みを割り引いても、かっこいい大人という映像だ。踊る大捜査線の和久さん役も味がある。ドリフターズで一世を風靡した経験が歳とって良い味を醸し出している。こういう大人になりたいものだ。
「中坊公平の人間力」
中坊公平・佐高信/徳間書店/\1300
企画提案する、批評することももちろん大事。でも一番肝心なのは、実践すること。信念を持ち、表明し、あらゆる困難にもひるまず実践して成果をあげる。中坊さん戦っています。実務の出来ない政治家、官僚、経営者、サラリーマンが如何に多いことか。

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