<畠中恵>
| 「おまけのこ」 畠中恵/新潮文庫/\476 | シリーズ第四作。登場人物たちの心理描写がポイントになる作品ばかり。意外と上手い。 |
| 「ねこのばば」 畠中恵/新潮文庫/\476 | シリーズ第三作。暇つぶしにはなるが、のめり込むまでには今一歩。 |
| 「しゃばけ」 畠中恵/新潮文庫/\514 | 「しゃ化け」かと思っていたら「娑婆気」だって。「しゃばっけ」と発音するはずだけど。設定も秀逸だし、キャラもそこそこ立っていて、文章も達者で面白いのに、いまいちのめり込めない。何だろうなあ。山が山になっていないのと、若旦那と妖のキャラが弱いせいか? 若旦那がわざわざ問題点を箇条書きにしている伏線が、あとで触れていないから伏線にならず、消化不良になっているなど、整合性が無いからだろう。次作に期待だな。 |
<坂岡真>
| 「影聞き浮世雲 月踊り」 坂岡真/徳間文庫/\629 | 私立探偵のような影聞きを商売にする伝次と、漫画「浮世雲」の主人公のような浮世之介が事件を解決。面白い設定なのに、浮世之介のキャラが立っていないのが惜しい。 |
| 「うぽっぽ同心十手綴り」1〜7巻 坂岡真/徳間文庫/\629 | 「うぽっぽ同心十手綴り」シリーズ。臨時廻り同心の長尾勘兵衛は暢気で無能と思われているが、実は腕も頭も抜群の正義感の持ち主。良いキャラクター、設定なのだが、構成の雑さ、文章の味の足りなさが残念。そんなに多作じゃ無さそうだし、もう少し推敲すれば面白いのに。勿体無い。若すぎて経験が無いのかな。 シリーズが進むに連れて、どんどん良くなってきた。映画の原作に良いなあ。 |
| 「遠雷雨燕」1〜巻 坂岡真/双葉文庫/\600 | 「照れ降れ長屋風聞記」シリーズ第三巻。仲人家業の十分一屋を営むおまつと九歳になる娘のおすず。そこに転がり込んだ小太刀の名手で内職浪人の三左衛門の三人のまわりに巻き起こる人情劇。まだキャラが立っていないけれど、上手く展開すると楽しいかもしれない。 |
<小松重男>
| 「桜田御用屋敷」 小松重男/廣済堂文庫/\543 | 御庭番という面白いネタなのだが、中途半端な短編ばかり。 |
| 「やっとこ侍」 小松重男/廣済堂文庫/\552 | やはり短編は駄目だな。 |
| 「ずっこけ侍」 小松重男/新潮文庫/\480 | 面白い、こんな作家が居たのか。紹介してくれたShunchanに感謝。文章が達者で構成もしっかりしている。何よりテンポが良くて、卑猥なことも明るくサラリと書く筆力がある。江戸の生活のディテールも詳しくて納得。絶版になっているのが残念。 |
| 「蚤とり侍」 小松重男/光文社時代小説文庫/\553 | 短編六編。上手いんだけど、この人は長編の方が軽やかで面白い。あー、解説を読むと、1977年のデビュー作「年期奉公」から10年間に作った作品集なのだった。これは楽しくない。初の長編「ずっこけ侍」は1983年の作 筆者は43歳の時に、17年間続けた洋紙販売会社を解散して小説に取り組み始め、三年後にデビュー作「年期奉公」で賞を取った遅咲きの作家。長編が読みたい。 |
<時代小説>
| 「駿河城御前試合」 南條範夫/徳間文庫/\876 | 駿河大納言徳川忠長の御前で行われた11番の真剣試合は、壮絶な家庭と結果を経て、全員が死と破滅の道へと進んでしまう。プロットとしてはそれぞれ面白いが、説明に走りすぎてキャラが立っていないのがつまらない。期待したのだけれど。 |
| 「あかね空」 山本一力/文藝春秋/\1762 | 筆者の直木賞受賞作。確かに文章は達者で、文頭から引き込まれて読み進めたくなるのだが、そこから先がもたつく。登場人物のキャラクターが踊らないから白けてくるのだ。説明におちいるから没頭できないのだ。後半は取って付けたような説明と平板な性格設定なので読む気が失せた。この一冊読めば充分かな。 |
| 「結城秀康」 大島昌宏/PHP文庫/\705 | 期待した割には没入できなかった。真面目にドキュメンタリータッチで書いているので、会話が弾まず、いまいち登場人物が躍動していない。しかし、この当時の情勢、流れは良く分かった。真田家、徳川将軍家、忠直卿行状記が、池波正太郎、佐伯泰英の本がより味わえる。子供の頃見た東映映画、中村錦之助演ずる徳川信康の悲痛と情勢がやっと理解できた。 |
| 「そろばん武士道」 大島昌宏/新潮社/\1650 | 実に痛快、面白い。商才を武器に、貧窮の越前大野藩を立ち直らせた侍を描く。東レのCIや関係会社の蘇生も、このように上手く行けば良かったのだが。主人公の事実を調べて見たい。 |
| 「華屋与兵衛 謎の生涯」 馬場啓一/夏目書房/\1800 | たまたまこれを読む一日前に、深川の芭蕉記念館と中川船番所資料館に行っていたので、驚くと同時に地理が身近で実感が湧いて読めた。江戸前寿司の元祖、華屋与兵衛の生涯を淡々と描いていて、映画・舞台にするにはもう一つ山場が欲しいが、筆者の真面目さには共感を持つ。 |
| 「町奉行日記」 山本周五郎/新潮文庫/\552 | 映画「ドラ平太」の原作「町奉行日記」など10編収録。久しぶりの山本ワールドは、切なく心地よく微笑ましい。現実は、決してすべてが上手く行くわけではないが、人間の頑張りや誠意はいつか実を結ぶ、と感じさせてくれるだけでも人生の清涼剤。意外とユーモアのセンスも有る。もう少し読んでみたくなった。 |
| 「日日平安」 山本周五郎/新潮文庫/\629 | 「日日平安」は、映画「椿三十郎」の原作。この短編集はちょっと出来が悪いのではないか。設定、進行に齟齬があるので、感情移入出来なくて醒めてしまう。やはり山本周五郎と言えども出来不出来は有る。 |