28.森浩一・網野善彦

<森浩一>
「僕と歩こう全国50遺跡 考古学の旅」
森浩一/小学館/\1800
ジパング倶楽部の連載を単行本化。各都道府県から一遺跡を選択し、森さんの体験と蘊蓄が語られて楽しい。行ってみたくなる。私も書いてみよう。
「古代史おさらい帖」
森浩一/筑摩書房/\1700
事物に接する場合、どのような姿勢で臨むべきか。それは考古学でも歴史でも営業でもあまり変わらない。森氏の態度は納得のできるりっばなものだ。もう81歳、これが最後の本か。
「山野河海の列島史」
森浩一/朝日新聞社/\1100
表紙が南を上にした地図。すると日本列島は大陸に付属した近くの島に見える。大陸との交流もこうだったんだろうなあ。俘囚とは蝦夷のことだったのか。日本中に各国人が溢れて今の日本が出来たのだな、と思う
「関東学をひらく」
森浩一/朝日新聞社/\2000
この人の文章を読むと、厳しく論理的に考えることと、前例に囚われず柔軟に事実を受け入れることが共存できる資質であることが良く分かる。考古学に限らず、仕事でも生活でもこう在りたいものだ
考古学は地方を元気にする、というのが森さんの主張だが、関東が独自の文化を持ち、なおかつ日本全国と交流していたことが実感される。日本最古の戸籍は、正倉院にある葛飾郡のモノだと知り、早速葛飾区郷土と天文の博物館に行ってきた。出雲族の移住も面白いテーマだ。
「地域学のすすめ」
森浩一/岩波新書/\700
著者のここ10年来の口癖は、考古学は地域に勇気を与える、だそうだ。都に対する地方ではなく、その地域の成り立ちを謙虚に学問するのが、森考古学の柱だと思う。固定観念に囚われた目では、事実も見えなくなってしまう。関東は蛮人の住む地方だったのだろうか。巨大古墳が多く作られ、鉄の生産が多く、数多くの歌枕を詠まれた地域が、大和政権に支配された遅れた地方だと判断してよいのだろうか。素直に謙虚に考えることは、考古学だけではなく現代日本に欠けている資質だと思う。
「馬・船・常民」
網野善彦・森浩一/講談社学術文庫/\960
まさに知的冒険の書。歴史学の泰斗と考古学の碩学が、あらん限りの知識と知恵をぶつけ合い、二泊三日で日本列島史を語り合う。常識や定説に惑わされず、着実に事実を追求する姿勢に感銘を受ける。
「僕は考古学に鍛えられた」
森 浩一/筑摩書房/\1800
森さんは、8歳の時に土器に興味を持ち、それからずっと考古学あるいは古代学を研鑽されて来られたのが分かった。真面目に一生懸命生きて来られたことが良く分かる。論理的に物事を考える研究者魂は素晴らしい。見習いたい生き方だ。
「語っておきたい古代史」
森 浩一/新潮文庫/\438
古代人の知恵と技術、卑弥呼など五つのテーマの講演集。森さんの実証的で偏らない判断力と論理的思考・話術はたいしたものだ。100分前後の時間できちんとテーマを整理してくれている。
「記紀の考古学」
森 浩一/朝日新聞社/\2200
記紀の伝承と実際の考古学を素直に読み解き、結びつけ、我らの祖先の生きざまを知ろうとする試み。やはり森さんは面白い。でもちょっと歳を取りすぎてくどくなったかなあ。
「日本神話の考古学」
森 浩一/朝日新聞社/\
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「古代日本はここまで見えてきた」
森・大塚・岡村/同文書院/\1500
発掘の成果と学際的研究で、古代に対する決め付けが崩れていった。縄文時代にも栗・稲の栽培があったこと、裏日本が文化的に進んでいたことなど、素直な目で見て、考えれば納得できることだ。

<網野善彦>
「里の国の中世」
網野善彦/平凡社ライブラリー/\1100
北関東にはよく行き、常陸・北下総の歴史世界という副題に魅かれたのだが、つまらなかった。人名と事物の羅列だけで、歴史の教科書レベル。茨城県史の中世編から著者の執筆部分をまとめたもので、絶筆。
「日本社会再考 海から見た列島文化」
網野善彦/小学館/\1900
「百姓=農民」ではない。「日本は閉ざされた島国」ではない。海洋民として様々な外国と交易し、商業が栄え都市が林立していた。閉ざされた農業国という常識はまったく誤ったものだった。
「日本論の視座」
網野善彦/小学館/\1900
そうか、東北が日本と呼ばれていたのか。
「東と西の語る日本の歴史」
網野善彦/講談社学術文庫/\1100
日本は単一民族、ということに囚われ過ぎているのではないか。日本という国号でさえ、七世紀の浄御原令で定められたもの。それ以前に日本人はいない。東北と東国は歴史的に相容れず、東国と西国は覇権を競う。東国は九州と結びつき、西国は東北と意を通じて東国と対抗する。一つの日本ではなく、さまざまな日本が有ったのだ。
「「日本」をめぐって」
網野善彦/洋泉社MC新書/\1600
初めての対談集。喋っている内容はいつもと変わらないが、相手の深さによってますます網野さんの深さ炙りだされてくる。面白い。
「古文書返却の旅」
網野善彦/中公新書/\660
面白い、読みやすい、学問の神髄だ。こんな文章が書けるのに、論文は何と読みにくいことか。というより、歳とともに文章が上手くなったのかな。
「日本の歴史をよみなおす」
網野善彦/ちくま学芸文庫/\1200
まずこの本を最初に読むと良い。「日本人は農耕民族」「百姓は農民である」「百姓で構成された村は、百姓は農民だから農村だ」というような今の常識はまったく間違いでした。刷り込みは恐ろしい。
「甲斐の歴史をよみ直す」
網野善彦/山日ライブラリー/\1200
甲斐の国は田畑が少なく閉ざされた暗い山国というイメージと、武田信玄が売り。しかし、実は河川交通が発達し、材木・絹織物・漆器など多種多様な製品を全国に送り出し、鍛冶・治水などの職農民、富裕層が多数いる都会だった。しかも対馬の守護として出張ったり、全国に人を排出したり、逆に都市の人々に布教するため宗教者が集まり寺を創建した。きちんと歴史を掘り起こしていて気持ち良い。増穂へ年一度陶芸合宿に行くので興味深い。
「中世の非人と遊女」
網野善彦/講談社学術文庫/\960
中世の非人と遊女は、職人、葬儀、屠殺、芸能、博打、宮廷での性を担当し、天皇・神仏の直属民として聖職に近い認識をされていた。それが時代を経るに従って蔑視されるようになった。網野さんの論文は読みにくい。もう少し整理すれば良いのに。
「僕の叔父さん 網野善彦」
中沢進一/集英社新書/\660
中沢さんは網野さんの甥だったんだ。なるほどね。良い関係は理解できるし、網野さんの人となりも好ましいけれど、やはり本当かなと思ってしまう。中沢さんの作りすぎじゃないのかなあ。元々彼のことは好きではないからなあ。言葉が多すぎて中身が無いんだもん。
「この国のすがたを歴史に読む」
森浩一・網野善彦/大巧社/\1800
日本と日本文化について、考古学と歴史学から柔軟な発想で対談している。個々の話が、実体験に基づいた知的飛躍の楽しさに満ちているが、その根底にある真っ当な倫理観・知的好奇心・学問的厳密さに感心させられる。やはり森さんは学者であると同時にまともな人間である点が凄い。かつての日本は、色んな人種が寄り集まったにもかかわらず、宗教や民族の差異でさほどの殺戮行為はなかったことを現代も見習うべきだとしている。
「日本史への挑戦」
森浩一・網野善彦/大巧社/\1700
副題は「関東学の創造をめざして」。古田武彦の「多元史観」と同じく、日本を大和朝廷や天皇中心だけで考えるのではなく、その地方ごとの歴史をキチンと研究すべきだ、という至極真っ当な主張。考古学の森さんと歴史の網野さんが関東の文化の高さを立証している。
「歴史と出会う」
網野善彦/洋泉社/\660
網野史学のバックグラウンドとなる書物との出会い、対談、追悼記を纏めたもの。著者の思いが分かった気がする。亡くならないうちに沢山読んでおこう。
「歴史の中で語られてこなかったこと」
網野善彦・宮田登/洋泉社/\780
おんな・子供・老人から日本史という副題。女性が実権を持っていた、養蚕は一大産業、百姓とは農民だけではない、自給自足よりも商業発展を視野に入れるべき、米至上主義は江戸以降の慣習、など知的刺激を与える問題提起が山盛り。これは凄い、面白い。この方向を勉強したい。

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