21.戦争

<戦争>
「戦争中毒」
ジョエル・アンドレアス/合同出版/\1300
副題は、アメリカが軍国主義を抜け出せない本当の理由。建国の時から、アメリカは自国の利益のために他国を侵略し、自国のみが正しいと主張している。以後、常に、利益のためなら手段を選ばず、テロに手を貸し、戦争を仕掛けた。国内でも、一部の集団が大部分の国民を搾取する構造になっている。日本は、絶対に後追いしてはならない。
「民族の世界地図」
21世紀研究会編/文春新書/\750
これは「民族の世界地図」ではなく、「民族紛争の世界地図」だ。人を幸せに導くはずの宗教が憎しみを生み出し、民族の違いがそれに輪をかける。人って愚かな動物なのだ。
「戦場の黄色いタンポポ」
橋田信介/新潮文庫/\438
処女作「走る馬から花を見る」を改題。文章はつたないが、人に対する優しさと仕事への情熱が伝わってくる。肩書きや名誉抜きで、一人の男として真っ当に生き抜いた橋田さんの息吹が聞こえてくる。
「イラクの中心で、バカとさけぶ」
橋田信介/アスコム/\1500
ご老体が頑張っている。空爆を見据えて、逃げるのではなくイラクへ潜入する策略を巡らすのだからツワモノだ。この人は捕まっても日本政府に援助を請わないだろう。自分の才覚で生きていき、駄目だったらしゃあないな、で済ませるだろう。もう少し文章が上手ければ、ベストセラーだぜ。勝谷さん、何とかしてあげてよ。
「戦場特派員」
橋田信介/実業之日本社/\1800
ここにも男がいた。自分の仕事に全精力を傾ける硬骨漢がいた。フリージャーナリストとして戦場を追いかけて、戦場の、そして人間の本質を追求している。主義主張は私と少し違うが、この人とだったら一晩中酒を酌み交わしたい。西原理恵子、鴨志田さん、勝谷誠彦、宮嶋さん、橋田さんという繋がり、分かります?  出来れば生きて帰ってきて、もっと話を聞きたい。
「戦争広告代理店」
高木徹/講談社/\1800
ボスニア紛争で、広告代理店ルーダーフィン社がどのような役割を果たしたかを詳述。そのおかげでボスニアは悲劇の主人公となり、セルビアのミロシェビッチ大統領は極悪非道の犯罪者と見做された。

<太平洋戦争>
「東京ダモイ」
鏑木蓮/講談社/\1600
第52回江戸川乱歩賞受賞作。シベリア抑留がテーマらしかったので買ったが、これが受賞作? 端々に良さは有るが、金返せ、のレベルじゃないかなあ。プロットの繋がりがギクシャクしていて、文章が冗長でメリハリが無い。妹と上司という二人の女性は活き活きと描写されているので、ひ弱な主人公とキャピキャピの女性というパターンで小説を書いた方が良いのではないか。
「昭和史」
半藤一利/平凡社/\1600
「戦争を始めたのは馬鹿な軍人」と決め込んでいて、その掘り起こしにほとんどの精力を注ぎ込んでいるのが変。事実と独断の区別が筆者の中で明確になっていないので、鵜呑みには出来そうもないが、流れとしては参考になる。小説と歴史書の区別が出来ていないのではないか。国内だけでなく、海外との関係にもっと目を向けないと片手落ち。
「アーニーの戦争」
D・ニコルズ/JICC出版局/\2524
アーニー・パイル第二次世界大戦ベストコラム。従軍カメラマンのロバートキャパは良く知っていたが、アーニーパイルが当時、絶大な人気を博した従軍記者であることは知らなかった。欧州戦線での歩兵に対する絶大な信頼と同情、義務と責任への献身、人間に対する優しさなどが文章に表れていて、これを読むと人気の秘訣は良く分かる。 ところが、歩兵以外の描写や太平洋戦線になると、途端に精気を失った文章になる。誰でも得手不得手があるのだなあ。ジャーナリストとして偉大な貢献をしたにも拘わらず、性的不能者で妻ともまともに付き合えなかったと言う事実は、人間の悲しさを実感させられる。日本人への人種差別も、大多数の欧米人の通例だったのだろう。
「秘話 陸軍登戸研究所の青春」
新多昭二/講談社文庫\571
京都帝国大学の学生だった筆者が、秘密研究所に入所しながらも淡々と日常生活を記述している。娑婆っ気もあり、欲もありながら好きな科学を中心に、戦中戦後を力強く生きた科学青年の生き様が面白い。
「収容所から来た遺書」
辺見じゅん/文春文庫/\476
菅谷充さんの日記で紹介されていたので興味を持ち、読んだら泣けました。菅谷さんへのメイルを再掲します。
「おすすめの二冊、「秘話陸軍登戸研究所の青春」と「収容所から来た遺書」を読みました。どちらも時代を理解するには必読ですが、特に後の本は涙無しには読めませんでした。早く先を知りたい、でも涙で文字が見えず何度涙を拭ったことか。
こんなにも過酷な状況で、男としての矜持を保った人たちが居たことに感動します。ご家族が初めて生存を知った時の喜びは一緒に感動します。引揚者が引上げ船の船上で抑留者の名簿を作り、すぐさま国会に請願を出していく心意気には、まさに男の心意気を感じずには居られません。記憶を元に届けられた遺書のなんて凄まじい威力でしょう。それだけ山本さんの魅力が有ったのでしょうね。我が身を振り返って恥ずかしいこと夥しいです。
実は私の父親は大正14年生まれで、シベリア抑留されていました。運良く帰国して、昭和26年に私が生まれたのです。滅多に話は聞きませんでしたが、生きているうちに聞いておこうと思いました。
今の日本、あの大戦前夜のような気がします。民族の誇り、男の矜持など雲の彼方。金と保身の風潮が、あらゆる階層に蔓延しています。親父が体験した辛く忌まわしい経験を、私は味わいたくないし、息子には体験させたくありません。私に出来ることは少なくとも、せめて自分だけは矜持を持って生きていくことかと思っています。ありがとうございました。」
「沈黙のファイル」
共同通信社社会部/共同通信社/\1553
戦中、戦後の混乱期に瀬島龍三がいかに行動したかを追求したレポート。無節操、頭でっかち、成金亡者がはびこる現代日本の風潮の先駆けと言える。
「いのちを紡ぐ」
高坂晃/光陽出版社/\1905
大正末年に生まれ、昭和と共に年齢を重ねた私の父の自分史・私小説。高校二年の時に別れ、私の結婚を契機に再び付き合いだした父だが、その背景が良く分かる本だ。シベリアからの帰還、私が生まれたばかりの時のレッドパージ等、身につまされる点が多い。世界史よりも、自分史が大事だ。飲みながら、もっと沢山のことを聞いておきたいと思う。
「誰か「戦前」を知らないか」
山本夏彦/文春新書/\690
「戦前戦中まっ暗史観」に異を唱える筆者が、身近なところから語っている。確かに、日本中まっ暗だった、みんな同じ考えだった、とは思えない。操作するマスコミと、鵜呑みにする思い込みは恐い。

<白州次郎>
「プリンシプルのない日本」
白洲次郎/新潮文庫/\476
白洲次郎が主に戦後、文芸春秋に発表した日本人と政界に対する苦言を収録。まったくその通りだし、今と変わらぬ情けなさは、日本人に対する失望感を高めてしまう。何にも変わっていないぞ。
「白洲次郎的」
勢古浩爾/洋泉社新書y/\740
勢古人生論が説く白州次郎的生き方。初めての人には読み易いかも知れない。
「風の男 白洲次郎」
青柳恵介/新潮文庫/\400
筋を通して生き、なおかつ人々に愛された白洲さんという男は羨ましい。生きているうちに一度でもお目にかかりたかった。
「白洲次郎」
-/平凡社/\1524
確かにかっこいい人生だ。吉田茂の側近、あるいは黒幕。GHQと対等に交渉し、死ぬまで筋を通して堂々と生きた日本人。言っていることは殆ど私と同じだが、彼は女性に持てたそうだ。その点が負ける。

<東京裁判>
「図説 東京裁判」
平塚柾緒/河出書房新社/\1600
やはり東京裁判はおかしい。写真を豊富に使って、裁判の全体像を把握できる。筆者は、どちらかというと、A級戦犯の行為を許しがたく思っているようだが、記録としては冷静に記述していて参考になる。
「パール判事の日本無罪論」
田中正明/小学館文庫/\533
東京裁判の判事11人のうち、唯一人日本無罪論を主張したのがパール博士。興味も無く、向学心も無かったせいで、何も知らなかった私だが、戦争と東京裁判のことを自分なりに考え、判断しないとまずい様に思えてきた。
父はシベリア抑留から生き残って帰国したのだし、母は大阪の空襲を生き残ったのだ。他人事ではなく、彼らが生きているうちに良く聞いて、自分なりの考えを築くべき年齢だと思う。

<戦後>
「増補版 敗北を抱きしめて」
ジョン・ダワー/岩波書店/\2600
第二次世界大戦後の日本の状況を、文献を駆使して描いている。言葉が多く表面的で学者さんらしい文章なので、心には響かないが、当時の知らない状況を理解するには適した本だ。マッカーサーやGHQ内部の状況に絞れば、もっと面白い分析が出来ただろうに。
「遙かなる鏡」
大竹省二/中公文庫/\705
大竹氏が復員後、職業としては無かったプロカメラマンとしての地位を確立していく過程を淡々と叙述している。あまりサラッと書いているので、本当はどうだったんだろうと勘ぐりたくなる場面もあるが、歴史の一面として参考になる。アーニーパイル劇場のカメラマンとして第一歩を記したとは知らなかった。
「昭和時代回想」
関川夏央/NHK出版/\1600
著者はルポルタージュの手練れだと思っていたが、自分のことを書くとなると、とたんに青臭くなってしまう。もちろんルポルタージュも主観の産物だが、この人の場合、他人に関するルポが一番。

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