14.ものづくり

<木造建築>
「木造建築を見直す」
坂本功/岩波新書/\660
木造建築の良さと克服すべき課題を、淡々としかも真摯に叙述している筆者の学問的姿勢に共感を覚える。私も木造建築が好きだ。
「50歳からの人生を考えた家づくり」
竹岡美智子/講談社+α新書/\880
建て替えとリフォームについて、実例に即して教えてくれる。こんなに大胆にリフォームできるとは思わなかった。納得する部分が多く、50代夫婦が二階へ、天袋よりは地袋を、などは目から鱗が落ちた。でも金と土地の広さが必要なんだよなあ。
「思い通りの家を造る」
林望/光文社新書/\700
既成概念に囚われず、良い家を造ろうという点では共感するが、いまいち納得できない論が多い。事実を積み上げたうえで推論するという王道を取らず、思い込みと決めつけで書いている点が気になるからだ。私は軽チャー文士は嫌いだ。

<単一テーマ>
「武田軍団を支えた甲州金 湯之奥金山」
谷口一夫/新泉社/\1500
湯之奥金山の発掘調査の記録と成り立ちの紹介。毎年、陶芸合宿に行く増穂の近くだとは知らなかった。行ってみよう。
「金・銀・銅の日本史」
村上隆/岩波新書/\780
金・銀・銅という金属を、日本の歴史の中で位置付けるというテーマは素晴らしい。考古学では表面的に金とか銅とか言われていても、その材質まで踏み込んでいなかった。でもなあ、文章下手だし、論理性がなく今いち今に。とても理科系の頭じゃないよね。
「幻の至宝 柴窯発見」
對中如雲/祥伝社/\1600
中国最高の陶磁器と言われながら未発見だった柴窯。筆者が発見したと言う柴窯の酒器は、この本を読む限り正しいと思えてくる。見てみたい。
「漆芸 ー 日本が捨てた宝物」
更谷富造/光文社新書/\700
北海道美瑛町を拠点に、漆芸品の修復と創作で世界を顧客にしている。自ら道を開いていく点で共感するところが多い。博物館巡りをする過程で、蒔絵の器・箱物・茶道具を見ると、美しい。その築き上げた美を捨て去ろうとしている日本という国は馬鹿げている。
「最後の国産旅客機 YS−11の悲劇」
前間孝則/講談社+α新書/\880
そうだったのか。マスコミからの情報で、日本の名機と思い込んでいたが、当初、旅客機としては最悪のモノだったんだ。しかも天下り、企業エゴ、政治駆け引き、未熟な技術・マーケティングにより、日本の航空産業は止まってしまった。トップのリーダーシップはいつの時代でも重要だ。
「印刷に恋して」
松田哲夫/晶文社/\2600
筑摩書房専務の著者が、知っているようで知らなかった印刷現場を探訪。イラストも味があって楽しい。私の親父が印刷屋で、それを避けてサラリーマンになったようなものなのに、どういう加減か、印刷関係の部署に異動。取りあえず仕事として勉強してみるとなかなか面白い分野です。
「不思議・たのしい実験室」
-/INAX出版/\1800
学研のふろく30年の副題通り、歴史が分かる。私自身は、あまり買わなかったけれど、この内容、この価格で、教材を作り、販売するという力は凄い。デザイナーの秋岡氏が当初の製作をしていたとは知らなかった。
「モノづくり解体新書 一の巻」
-/日刊工業新聞社/\1437
身の回りで目に付くモノを選んで、その作り方をイラストと文章で紹介。なるほどねえ、知らなかったわというモノが多い。写真が有るともっと分かりやすかったなあ。それと、選択の基準と分類の仕方だけはやや曖昧。

<古代技術>
「よみがえる古代 大建設時代」
大林組プロジェクトチーム/東京書籍/\8000
仁徳天皇陵、遠江国分寺、羅城門、古代出雲大社などの復元レポート。古の日本人がこれらの巨大建築物をどうやって完成させたのか、どうにも知りたくてなりません。特に私は出雲大社に魅かれていて、CD-ROM「復原と構想」も買いました。
「古代人と巨大建築物の謎」
武光誠/KAWADE夢新書/\667
主題は、第一に古代人はなぜ巨大建築物を作ったのか、第二に巨大建築物を可能にしたテクノロジーを明らかにするとある。その考えは素晴らしいが、いかんせん出来が悪すぎる。既存の学説に何の疑いも持たず、大和王朝・中国渡来を繰り返す。技術の紹介はどこかからのコピー、論理的組み立てやひらめきが少しも感じられない文章。こういうレベルで学者が通用し、学生に教えるのかと思うと背筋が寒くなる。
「図解 古代・中世の超技術38」
小峰龍男/講談社ブルーバックス/\820
現代に通じる超技術を筆者の想像で解説。人間の能力は凄いと思う反面、進歩が無いのかも。もう少し実証的であれば楽しいのだが。
「復元 技術と暮らしの日本史」
石井進/新人物往来社/\2800
歴史学・考古学の成果をもとにして、衣服・食事から土木・造船など生活に密着したテーマについて、原始古代から現代までを通観してくれる。ご先祖様の智恵や技術は素晴らしい。我々は買うよりも作ることを尊敬しなくては。

<ものづくり>
「わしゃ、世界の金太!」
高山秀美/毎日新聞社/\1400
映画「蘇る玉虫厨子」と実物の平成の玉虫厨子を見て感動した。モノと職人にはもちろんだが、そのプロジェクトの旦那役を果たした中田金太さんの生き方を知りたいと思った。立派な方だ。しかしこの本では抽象的すぎて、詳細が良く分からないのが不満。やはり高山へ行って自分で調べるしかないか。
「はじめての和装本」
府川次男/文化出版局/\1600
和綴じの本は美しい。以前から興味が有った。たそがれ清兵衛の中で、真田広之が自分の手で本を綴じていた姿が格好良かった。よし、自分で出来るように技術を習得しよう。
「大江戸奇術考」
泡坂妻夫/平凡社新書/\680
副題は「手妻・からくり・見立ての世界」。江戸以来の古書をもとに、手妻の世界を解き明かしながら、歌舞伎の仕掛けやからくり人形まで、日本のモノ作りに迫る。
「職人技を見て歩く」
林光/光文社新書/\700
人工心臓、トイレ、五重塔など10件のモノづくりの職人への聞き書き。面白いテーマなのに、底が浅く肝心な部分をキチンとヒアリング出来ていない。思い込みと上っ面の理解での自説開陳が長く、肝心の職人の言葉が少ないし、本質や要点のつかみが悪い。いかにも博報堂生活総研の出らしい。突っ込む能力があれば、物凄く深い内容になるのに。
「メタルカラーの時代」
山根一眞/小学館/\2520
ホワイトカラーでもブルーカラーでもなく、創造的技術開発で日本の産業を世界のトップ水準に押し上げた人々。我々の世界がどうやって作られているのか、興味津々。
「技人ニッポン」
日本経済新聞社/日経ビジネス人文庫/\600
最初は、新聞記事らしくそつなく纏めているが、深みがないなあと思っていたが、後半、地域・女性・伝統などのテーマ別に文章を括ると、とても良くなってきた。筆者が変わったのかな。
「日本の技術は世界一」
毎日新聞経済部/新潮OH文庫/\486
毎日新聞に連載された、世界一の技術を持つ日本の先端企業。やっぱり世界一は凄い。前例に囚われず、一生懸命というのが共通項だね。
「平成の職人列伝」
湯川豊彦/徳間書店/\2000
曲げわっぱ、江戸木箸、ガラスペンなどの職人の世界を紹介。ものを作るって良いなあ。買うだけじゃなく、作ろう。そして大事にしよう。
「匠の世界 職人物語」
川崎文化財団/秀英堂紙工印刷/\500
展覧会「匠の世界」のパンフレット。川崎市は、技術技能を奨励して、「かわさきマイスター」を認定している。願わくば、もっと面白く。
「ローテクの最先端は実はハイテクよりずっとスゴイんです。」
赤池学/ウェッジ/\1800
虚業より実業が、評論・ITビジネスよりもモノ作りが大切だと思います。標準化・機械化・IT化が進めば、モノのレベルは揃うけれど、最高の技術はレベルダウンします。コンピュータは道具なのです。使いこなす人間と技術が無ければ只の箱。私は旋盤・組立工の経験が有るので、この本の意味が実感できます。人間の能力は凄いんです
「この人からはじまる」
鹿島茂/小学館文庫/\638
時代を変えた「モノ作り」と言うよりも、新しい「システム」を考案して衣食住の日常的文化に変化をもたらしたという観点で、人とものを取り上げる。結局有名人になるのだが、この切り口も面白い。

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