一九四一年一〇月二八日。
北部コロンブス連合にとって太平洋上最大の拠点であるハワイはパールハーバー軍港にて。
今、パールハーバーから戦艦二隻、重巡洋艦四隻を中核とする総勢二〇隻にも及ぶ艦隊が出港する為に物資の詰め込み作業に追われていた。
この二〇隻の海獣たちの向う先はフィリピン。大日輪帝国との戦争になれば真っ先に最前線となるであろう場所である。
このフィリピンへの増援となる第二六任務部隊を率いるダニエル・オブライエン中将は太平洋艦隊司令部に掛け合い、物資の詰め込みをパールハーバーに残留する将兵たちに任せ、任務部隊の将兵たちに上陸を許可するように掛け合い、それを認めさせることに成功していた。
オブライエン提督が太平洋艦隊司令長官のロバート・アンダーソン大将に言った言葉、『我が任務部隊の将兵にとって最後となるかもしれない休暇を存分に味あわせてあげたいのです』が殺し文句になったのだと第二六任務部隊の者たちは噂しあいながらも太平洋艦隊の処置に感謝していた。
何故ならば本当にこれが最後の休暇になる可能性がかなり高いからだった。
ハワイ諸島で一番大きな街 ホノルル。
そしてホノルル一の高級レストランである『マーチ・ラビット』は佐官以上の者たちでにぎわっていた。
そんな『マーチ・ラビット』の奥の超高級VIPルームにロバート・アンダーソンとその娘のエレン・アンダーソン、そしてその恋人にして第二六任務部隊所属の戦艦 ワイオミング砲術長であるハーベイ・ランカスター少佐がいた。
「すまない。ハーベイ少佐。私は君の期待に答えることができんかった………」
そう言って頭を下げるロバート。しかし頭を下げたくらいでは彼の無念は表現し切れていない。彼はまさに断腸の思いであった。
「頭を上げてください、長官」
「そうよ。パパはやることはやったわ」
「とは言っても………ハーベイ少佐。おそらく大日輪との戦争になれば君たちの艦隊が真っ先に危険にさらされる事となる。私からもオブライエン中将に言い聞かせておいたが、ムチャをしてはいかんぞ」
「長官。それは軍人に言うべき言葉ではありませんよ」
ハーベイがクスリと笑いながらロバートのグラスにワインを注ぐ。『マーチ・ラビット』自慢の海老料理に良く合う白ワインだ。
「そうだったな………エレン」
「なぁに、パパ?」
「お前、今日はうちに帰ってこなくていいぞ。ハーベイ少佐と、ま、その何だ。よろしくやれ」
そう言って財布ごとエレンに渡すロバート。
「ちょ!? 何考えてるのパパ!! もう酔ってるの?」
いきなりのロバートの言葉に顔を真っ赤に染めるエレン。ハーベイも呆気に取られている。
「俺は素面だ………いいか、エレン。俺は昔の欧州戦役に参加した時、最後の夜に妻を抱いた。その時のぬくもりを糧にして俺はゲルマン軍と必死で戦ったんだ。そして帰ってきたらできてたのがお前だ。俺はハーベイ少佐にも生き残る糧を与えておきたいのだ」
「は、はぁ………」
生返事しかできないハーベイ。
「そういう訳で、娘を頼むぞ、ハーベイ君?」
そしてヘタクソなウィンクをしてみせるロバート。
エレンは穴があったら入りたい気分であった…………
「………ター少佐? ランカスター少佐!?」
「うわっ? な、何だ? 脅かすなよ」
耳元で自分の名前を大声で怒鳴られたハーベイはうろたえ気味に応じた。
「砲術長………私はさっきから呼んでいたんですけど?」
え〜と確かコイツは………ハーベイは記憶の引き出しから目の前の大尉の階級章をつけた老士官の名前を引っ張り出そうとする。
「何かあったのか、ディグッド大尉?」
ディグッド大尉はアナポリスを卒業せず、一兵卒から大尉まで出世してきたコロンブス海軍の生き字引のような男である。
コロンブス海軍は有能な者であればアナポリスを卒業せずとの出世することはできる。しかしディグッド大尉は逆境サクセス組ではない。
かといってこの老大尉が無能かといえばNOである。何せハーベイが生まれる前からずっと海軍で大砲を撃ち続けていたのでハーベイなんかよりもよっぽど砲撃に関する知識を持っていた。要は彼は大砲撃ちに誇りを持っているのだ。
「後、二時間ほどでマニラに入港できるそうです。そこでアジア艦隊と合流して一旦は任務終了ですね」
ディグッドはまさに好々爺という表情で言った。
「そうか。ありがとう」
「しかし砲術長。恋人のことでも考えていましたかな?」
「さすがは『ウォーキング・ネイビー・ディクショナリー』だな。大正解だよ」
「なぁに。私にもそういう経験がありますからね」
ディグッドは皺だらけの顔を崩す。
「へえ。そういえば大尉ならそろそろ孫ができてもおかしくないんじゃないのかい?」
「いや、私は独身ですよ」
「え? でも恋人のことを考えてたこともあるんだろう?」
「いやいや。結婚する前に結核で倒れてしまいましてね」
「あ………悪いこと聞いちまったな」
「構いませんよ。今ではもう完全に思い出となっています。そうでなければ砲術長に話したりはしませんよ」
「とはいえ人のプライバシーに関することを容易に聞いてしまった私にも落ち度はあるさ」
「それを言うなら私もですな。砲術長の恋人の話を持ち出したのは私ですから」
「じゃ、おあいこだな、大尉」
「そうしますか」
ディグッドは確信していた。
このハーベイ・ランカスターという若者は将来、必ずや世界の歴史に載るような名将に成長する。そして我がコロンブス海軍に更なる栄光と発展をもたらすに違いない、と。
私はそれまでには海軍を去っているだろうが、運がよければ生きてハーベイ・ランカスター太平洋艦隊司令長官くらいは見れるかも知れんな。楽しみなことじゃて。
ディグッドがそのようなことを考えているうちに第二六任務部隊はマニラに到着。同地を根拠地としていたアジア艦隊と合流し、大日輪帝国に対するにらみをきかせる任務につくこととなった。
一九四一年一一月一三日のことであった。
大日輪帝国首都大京中心部にある統合作戦本部オフィスビル。
大日輪帝国軍統合作戦本部長の遠田 邦彦元帥は本部長室でタバコを吸っていた。彼の吸うタバコは彼の地位からすればまったくそぐわないほどに安物のタバコであった。
「……………」
紫煙をくゆらせながら、遠田はある者が来るのを待っていた。
一箱を吸い終え、新しい箱を取り出そうかと思った時、ようやくにして本部長室のドアがノックされた。
「入れ」
遠田がそう言うと氷のような冷たく、そして鋭利な刃物のように鋭い眼光を持った男が入室してきた。
「遅かったな、『鬼畜王』」
「申し訳ありません。呉から一〇〇式艦戦で飛んできたんですがね………」
男は進められる前に自ら応接用のソファーに深々と腰かけ、葉巻を取り出した。遠田とは対照的に超高級品の葉巻であった。
男の名は結城 繁治。大日輪帝国海軍連合艦隊司令長官である。
しかし彼は海軍のみならず陸軍、空軍とも強いパイプを有しており、大日輪の三軍を意のままに操ることができた。彼はその天才的な策略でシワノを陥落せしめた大日輪の誇る名将であった。
「どうだ、一〇〇式の調子は?」
結城は自ら戦闘機の操縦桿を握る、稀有な将軍でもある。遠田は彼に大日輪の最新鋭戦闘機 一〇〇式の評価を尋ねた。
「極上ですよ。以前まで使っていた九六式の寿発動機が六〇〇馬力程度であったのに一〇〇式の金星は一五〇〇馬力ですからね。まさに隔世の感がありますね」
「フフフ。それはご同慶の至りだな」
「こいつならば二、三年は第一線で使えますね。無論、多少のマイナーチェンジは行いますが」
「で、GFはどうなんだ? 年内の開戦は可能か?」
遠田は最大の懸念事項を結城に尋ねた。
「陸軍と空軍はシワノ方面に展開している兵力をそのまま転用すれば何とかなる見込みが立った。しかし海軍はそうはいくまい?」
シワノとの戦いは陸軍と海軍が主体であり、海軍は未だに総動員体制に入っておらず、GFの何隻かは整備待ちという状況であったからだ。
「一一月中にはなんとか主力艦艇の整備点検を終わらせれます。一二月の頭には開戦といけるでしょう」
「そうか………GFが艦を出せなければ開戦しても意味が無いからな」
コロンブスとの戦争は広大な太平洋が主戦場となる。それはすなわち海軍が主軸となるということだ。
「しかし補助艦艇の不足は否めません。危険を承知で通商護衛を放棄する予定です」
「何? そんなことして大丈夫なのか?」
「シワノ北東部のマンチュリーから一年は補給なしで戦えるだけの資源を持ってきていますから」
シワノ北東部のマンチュリー。そこから大規模な油田と鉱山が見つかったのはつい二、三年前のことであった。結城は鉱山の調査をもほどほどにし、大急ぎで資源を大日輪本土へと輸送しておいたのだ。
「そうか………それならば何とかなりそうか」
「しかし下作も下作ですな。来春開戦ならばこんなに慌てることもなかったのに………」
「仕方ないさ。それに………」
遠田は新たなタバコの箱を出し、火をつけながら言った。
「これが世界最後の戦争となるはずなんだから………」
一九四一年一二月一日。
フィリピン、マニラ湾。
「何? 大日輪本土から不審な電波が送られているだと?」
第二六任務部隊を率いるダニエル・オブライエン中将は通信参謀からの報告に眉をひそめた。
「………内容は解読できたか?」
「いえ。提督もご承知のように、このマニラの極東支部には本国に勝るとも劣らない暗号解読チームがいるのですが、彼らでも解読できませんでした。どうも新型の暗号らしい、との報告もあります」
「ふむぅ………極東支部と話をしておく必要がありそうだな」
オブライエンはそう呟くと短艇を用意させ、マニラのコロンブス軍極東支部に向った。
極東支部の長官を務めるはジン・スチュワート陸軍中将である。
彼は軍に入隊してからずっと情報畑を歩み続けてきた男であり、情報関連のエキスパートとして名を馳せていた。
「ではスチュワート長官は先の無電が大日輪の開戦を意味すると?」
長官室に通されたオブライエンは出されたアイスコーヒーを飲みながら言った。彼は本当は紅茶派であるが、好意を無碍にするつもりもなかった。
「うむ。私は指揮下の部隊に第二級の戦闘配備を命じてある。すでにフィリピンに駐留する陸軍四個師団は展開を終えようとしているのだ」
スチュワートは自分のかけている眼鏡に塵がついたことを知り、一旦は眼鏡を外して布でレンズ拭い、またかけ直した。
「それで私としてはオブライエン提督の第二六任務部隊にも同様の措置を取ってもらいたいのだ。提督の艦隊の偵察機を使い、フィリピン周辺の哨戒にもあたってもらえれば嬉しいのだが………」
「わかりました。承りましょう」
オブライエンが快諾してくれたこともあってスチュワートは安堵の表情をみせた。
「よかった。しかし提督。くれぐれも先手を打たないでもらいたい」
「それはわかっている。私も大統領の直々の命令でそう言われているからな」
「申し訳ないが、よろしく頼みたい」
そう言って頭を下げるスチュワート。
「なぁに、我がコロンブスの陸海軍が共に手を取り合って戦えば大日輪といえども敵ではないし、大日輪も藪から蛇を出すこともなかろうて」
あえて楽観を口にするオブライエン。スチュワートはそれに対し小さく頷いた。
オブライエンが極東支部でスチュワートと話し合った結果、第二六任務部隊はフィリピン近海の哨戒行動にせることとなった。目的はフィリピンに迫り来るであろう大日輪帝国艦隊の捕捉である。
そんな状況下、戦艦 ワイオミング艦上にて六人ほどの士官が集まっていた。
「諸君………いよいよ時が満ちた」
一同の代表らしき人物が口を開く。
「そうだ。いよいよ我が祖国はコロンブスに対する鉄槌を下す時が来たのだ」
別の人物が口を開く。
「我らの怨讐を晴らす時は来たのだ!!」
「あとしばらくで……………誰だ!?」
大急ぎで何者かの気配がした方へ駆けて行くリーダーらしき人物。
「どうした?」
彼の仲間の一人が尋ねた。少し顔が青くなっているのはこの会合を他人に知られてはならないが故だ。
「いや………どうやら俺の気のせいだったらしい。とにかく、あと少しの辛抱だ。クソッタレどもの中に混じっているのは屈辱的かも知れんが耐えてくれよ……………」
「………砲術長。少しいいですか?」
顔面を蒼白としたディグッドがハーベイの許を訪ね、彼を連れ出した。
「どうしたんだ、ディグッド大尉?」
「実は………」
ディグッドは先ほど自分が聞いてしまったことを話す。
「………ということはこのワイオミングに大日輪のスパイが紛れていると?」
「はい。私も信じがたいのですが………」
「艦長に報告したのか?」
「いえ。とりあえず砲術長に相談しようと思いまして………」
「わかった。じゃあ大尉も一緒に来てくれ。艦長に報告しておこう」
「はい」
「何? ディグッド大尉、それは本当か?」
ワイオミング艦長のブルックリン大佐はハーベイたちの報告に眼を剥いた。
「はい」
「大尉、それは………」
「軍法会議でもどこでも証言してみせます」
「そうか………で、そのスパイの顔は見たのか?」
「いいえ。そのスパイの顔を確認しようとして奴らに見つかるかもしれないと思い、聞き耳をたてるので精一杯でした」
「そうか………しかしそのスパイの目的は何だろうな?」
ブルックリンは両腕を組みながら言った。
「ワイオミングの弾薬庫に火を放つことではないでしょうか?」
ハーベイが自分の考えを披露する。
「うむ………実はこれは機密事項の一つなのだがな」
そう前置いてからブルックリンは大日輪からの不審な電波のことを話す。
「大尉のスパイ情報が真実であるならば、この無電も納得がいく」
「? どういうことですか?」
ディグッドが首を捻る。
「その無電がスパイたちの行動開始の合図、ということですよね?」
「砲術長の言う通りだ。そしてこのタイミングでの行動開始なのだからワイオミング爆沈の可能性は低いと言っていいだろう。何せ一一月からずっとマニラにいたのだ。沈めるならばいつでもできたはずだからな」
「では………?」
「大日輪が我が国と戦争をしたがっているとしよう。とすると大日輪に一番足りないのは何だと思う?」
「……………戦力ですか?」
ハーベイの言葉にブルックリンは首を横に振った。
「いいや。世界を納得させうるだけの開戦理由さ」
「!?」
「となるとそのスパイたちはワイオミングを使って開戦理由を作り上げようとしているらしいな………」
「しかしどうやって………」
ハーベイがそこまで言った時、ワイオミング全艦に警報が鳴り響いた。
「私だ。どうした?」
ブルックリンは即座に艦橋に問い合わせる。
『艦長、レーダーが敵影を捉えました』
「わかった。すぐに艦橋に行く………君たちも配置について……………」
そこでようやくにしてブルックリンはスパイたちの目的を完全に把握した。
「君たちには特命を与える!!」
「艦長!!」
「状況は?」
ブルックリンは艦橋に入るや否やすぐさまそう怒鳴った。
「偵察機が一機、艦隊に接近してきている模様です!」
「距離は?」
「現状のままだと艦隊接触まであと五分というところです」
「………旗艦は何と言ってきている?」
「偵察機に対する攻撃を控えるように言っています」
「そうか」
艦長用のシートに腰かけながらブルックリンは爪を噛んだ。焦っている時の彼の癖であった。
「しかし艦長。レーダーというのは偉大ですな」
傍らの副長がブルックリンに話しかけた。
このワイオミングには試験的に導入された対空用レーダーが搭載されている。この電子の眼が真っ先に偵察機を発見したのであった。
「………対空砲火に動きはないな?」
「は?」
「動きはないのだな!?」
「は、はい。待機命令も出していますし………」
「杞憂だといいのだがな……………」
シートの肘掛を人差し指でトントンと突付きながらブルックリンは一人呟いた。
「偵察機か………台湾からかね?」
オブライエンが参謀に尋ねる。
「おそらくは。大日輪空軍の使用する零式司偵だと思われます」
「時速六〇〇キロ以上を誇るあの高速偵察機か………」
「敵偵察機、我が艦隊に接触します!」
「………君」
オブライエンは報告の声をあげた水兵に向って言った。
「は?」
「あれはまだ敵と決まったわけではない。『敵偵察機』だなどと早まった言い方はよしたまえ」
「申し訳ありません。偵察機、我が艦隊に接触!」
「……………」
オブライエンは制帽を脱ぎ、額に汗を服の袖で拭いながら、このまま何事もなく偵察機が去ってくれることを願っていた。
「………ん?」
「どうした?」
ブルックリンはワイオミング副長が何か異変に気付いたことを見逃さなかった。
「いえ、第二高角砲が動いたので………」
「!!」
ブルックリンはシートから飛び出すかのようにして艦内放送用のマイクに飛びついた。
「ランカスター! 第二高角砲だ!! 奴はそこにいる!!!」
「艦長?」
「頼むぞ、ランカスター少佐………」
「機長、敵戦艦の高角砲が動いています………」
零式司偵乗りの支倉少尉が操縦席の長谷中尉に報告した。
「ああ。だが俺たちはよほどのことがない限りは接触を続けろと言われてるし………それに最初は威嚇射撃だろう?」
「第二だと!? しまった!! ここから反対方向じゃないか………」
「砲術長、とにかく急ぎましょう!!」
拳銃片手に艦内の異常がないかを調べまわっていたハーベイたちであったが、その行動が故に探すべきものから遠ざかっていたのは皮肉であった。
そんな二人をよそに第二高角砲はゆっくりと動き、そして狙いを定め……………
「よせっ! 撃つなアアアァァァァァァァ!!」
グォン
赤い砲火の煌きとドス黒い砲煙。
コロンブス海軍自慢の一二.七センチ高角砲はその砲弾を放ち………
「き、機長!!」
「ヤバ………」
当たる、と言いかけた長谷中尉であったがそれを言う暇すら与えられないままに彼らの零式司偵はワイオミングの放った高角砲弾によって撃墜された。
生存者は無かった………
「フハハハハハ………これで、これで我らの願いがかなう!!」
ワイオミング第二高角砲塔にて狂ったかのような笑い声をあげる男。
彼こそが大日輪の送り込んだスパイであった。
「これで国際社会は非道なるコロンブスを許しはしまい。フフフ、ハハハハッハハハ!!」
「手前ら!!」
そこに拳銃を持ったハーベイたちがようやく駆けつける。
「………お前らを捕まえ、ゲロさせればコロンブスの疑惑は晴れるよな?」
「クッ、ククククク」
「何がおかしい!!」
「バカめ………我らの覚悟はそんなヤワではないぞ!!」
そう言うと口内にある何かを噛み締める男たち。
「毒か! ディグッド!!」
咄嗟に男に飛びつき、口を開かせて毒を吐かせようとするハーベイとディグッド。しかし相手の行動を見てから飛びつくのでは遅すぎるのであった。
「畜生………畜生……………」
六人のスパイの亡骸の傍に崩れ落ちるハーベイ。
「何で戦争なんか望むんだよ!!」
「………完璧だな」
大日輪帝国海軍連合艦隊司令部。
結城 繁治は撃墜されるまさにその寸前に零式司偵が送ってきた無線に会心の笑みを浮かべていた。
これでコロンブスの悪行は『作られた』。
威嚇射撃も無しに偵察機をイキナリ撃墜した極悪非道国家である、とコロンブスを徹底的に叩けばいい。それで開戦の理由となる。
「『僕らの望んだ戦争』、か………」
結城は一人そう呟くと大京に向うための準備に入った。
ついに戦争が始まるのだ。
最後の聖戦が………
解説(?)
山本「どもどもジャンボ。山本 瑞鶴です」
結城「アシスタントの結城 繁治です」
山本「黒い日輪の第一章です」
結城「またこういう役回りかよ、俺………」
山本「まぁ、文句を言うな。そのうち俺も登場させるからさ」
結城「いや、関係ないし………」
山本「さて、今回の舞台となった戦艦 ワイオミングですが、これは史実でいう所のメリーランド級に匹敵します」
結城「ほうほう」
山本「さらに言うならば結城が自ら乗ってきていた一〇〇式艦戦は史実の五式戦に相当します」
結城「五式の艦載バージョンかぁ。よくもここまで大日輪(日本)有利の条件を揃えたなぁ」
山本「空軍という第三の軍ができていて、史実のように陸海軍での航空行政の混乱もないしな。ちなみに空軍も一〇〇式艦戦を使っています。フックとかを外した陸上用ですが」
結城「零式司偵は史実の一〇〇式司偵だな?」
山本「はい。そういう訳です。こんな調子で史実の兵器を自分好みにアレンジしまくるのでよろしくお願いします。ちゃんとここで解説しますし」
結城「ふむ」
山本「次回は血沸き、肉踊る艦隊決戦の予定です。お楽しみに〜」