妙好人才市のうた

・酒
  わ太しや さけのみ ろく正太゛るて(六升樽で)
  ろくじ(六字)ろく正(六升) これが太のしみ
  なむあみ太゛ぶつ(『妙好人 浅原才市集』p.414)

 この口合いを読むと,才市がそうとう酒を好んだかのようにも取れます。才市が酒を呑んでは暴れたり人とケンカしたりしたことがあった,と考える人もいるようです。しかし,実際には才市は酒をほとんど呑まなかったようです。酒飲みと言っているのは,南無阿弥陀仏の六文字(念仏)を称えるのを好むことを,六升樽で酒を呑むことにひっかけて歌っただけのようです。『七里和上言行録』には,

 「法然上人は信心の酒に酔ひぬれは,五種正行の舞ひをまふと仰せられてある」(120頁)

との言葉が残っています。酒を呑むという才市の言葉にはこうした教えが影響していることも考えられます。ちなみに,五種正行とは読誦・観察・礼拝・称名・讃嘆供養のことで,称名が正定業(ご飯のようなものと和上は言っています[言行録120頁])で他は助業(これはおかずだと言っています[同])。
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