石見(島根県西部)は浄土真宗,特に本願寺派の盛んな土地です。明治28年の統計では,下表のようになっており,石見における本願寺派寺院の多さが目に付きます。
江戸時代の山陰地方の国ごとの,本願寺派と大谷派の寺院の数を対比した縦2行,横5列の表が始まります。表が終わりました。石見の本願寺派の寺院が362と圧倒的に多いのが目立ちます。
因幡 伯耆 出雲 石見 隠岐 本願寺派 21 7 94 362 2 大谷派 4 10 34 29 1
石見はまた,石州学派と呼ばれる学僧たちが輩出した土地でもありました。その中心的存在が,『妙好人伝』の編者である仰誓(ごうせい)です。仰誓は,嗣法・履善とともに自坊の市木・浄泉寺の学寮「無成館」で多くの門人を育成し,石見の真宗の隆盛の礎を築きました。
こうした伝統が,石見に才市ら妙好人が多数出現する背景となっており(鈴木大拙博士は「石見国は妙好人のよくでるところと見える」[『妙好人』,法蔵館,p.25]と述べています),「石見の土徳」と称えられました。参考文献:朝枝善照『日本仏教の伝道』(永田文昌堂),第3章第1節「山陰の真宗の伝播とその展開」