私たちの登山入門(個人登山編)

    1. 朝早く登る事!
    2. 体温調節をしながら登る事!
    3. 道草をする事!
    4. 急登は小刻みに休憩をとる事!
    5. 考えながら登る事!
    6. 間食を多くとる事!
    7. 登山道には標識がある!
    8. 迷った時の方法!
    9. 植村直己さんの言葉



 登山に体力は必要でしょうか? スポーツとしての登山をするのなら必要です。けれど、旅としての登山をするのなら必ずしも必要ではありません。自分の体力に合わせて登ればいいのですから。では、登山には何が必要なのでしょうか? それは登山技術です。登山を苦しいと感じる人は、登山技術を知らない人に多いようです。それで私たちの登山技術を紹介しておきたいと思います。



1. 朝早く登る事!

 理由は簡単明瞭。下山の途中で日が暮れてしまうと危険だからです。山で道に迷うケースは、どういうわけか下山の時が多く、しかも麓近くで迷う事が多いものです。そんな時、日が暮れてしまっていたら致命的です。夜の山ほど危険な所はありません。たとえ懐中電燈を持っていたとしても殆ど役に立ちません。無理して歩けば迷う一方で遭難につながる危険があります。これを防ぐためには、少なくとも日没の二時間前に下山を終えている必要があります。山小屋に泊ってみれば分りますが、登山家たちは皆、朝早く出発するのです。


2. 体温調節をしながら登る事!
 体温調節に失敗するとバテます。多量の汗は、体が水を欲します。でも、水をガブ飲みすれば疲労が増しますから要注意です。かといって脱水症状をおこせば本当に倒れてしまいますから厄介です。また、汗で濡れた服は容赦なく体温を奪います。汗は登山の大敵なのです。
 また、筋肉を冷やしても疲労を増大させる結果になります。だから暑くなったら(汗をかきだしたら)直ちに服を脱ぐ事です。そして、寒い時は、どんどん着込む事です。雨具も保温には絶大な効果がありますから活用しない手はありません。そういう意味でも雨具は絶対欠かせないグッツです。
 ついでに言っておきますが、遭難死する人たちの殆どは、凍死である事を忘れてはいけません。これは夏山にも言える事です。たとえ夏でも山の気温は恐ろしいほど低下します。私は北海道の山で遭難しかかった事がありますが、助かった最大の理由はレジャーシートとロープで雨天をしのぎ、体温を保つ事ができたためです。
  



3. 道草をする事!

 旅としての登山を考えているのなら、休憩はしないことです。そのかわりに道草をしましょう! せっかく大自然の中にいるのですから、休憩なんて、もったいないです。

休憩するくらいなら景色を楽しみましょう。
花を眺めましょう。
カメラを構えてみましょう。

 山道で、ぐったり休んでいる人が、「ああ、俺って、体力がないんだなあ〜」と、なさけない顔で呟やくいてたりしますが、そんな考えは捨てるべきです。旅人に道草はつきものですから、自分は道草をしていると思う事です。休憩という考えは捨てて、自分は道草をしてるんだと思う事です。


4. 急登は小刻みに休憩をとる事!

 3.で休憩をとるなと言いましたが、疲れがたまった時は、躊躇なく休憩する事です。この場合、長い休憩をとるのではなく、短い休憩をたくさんとる事です。特に急な登りの時は、5分登って1分休むくらいの気持ちで登る事が秘訣です。
 登山で必要な事は筋肉を疲れさせない事です。疲労をためない山登りを行なうには、短い休憩を多くとり、呼吸を整える事です。但し、長い休憩は、せっかく温まった筋肉を冷やして硬くしてしまいます。休憩は短くたくさんとる事が秘訣です。


5. 考えながら登る事!

 楽な登山ができるか、苦しい登山となるかは、登り方で随分違います。どこを登ったらいいか、考えながら登りましょう。一つの目安として、歩幅が短くなるような登り方が理想的です。
岩場に関しては、三点確保(両手両足を使って登る)で登る事ですが、コツを言えば、腕で登るのではなく足で登る事です。手は体のバランスを保つように使う事です。腕に余力を残しておく事は、いざという時に自分の命を救う事になります。だから、どんなに早く岩を登れる人も、足で登れない人は自分の技術が未熟であると考えた方がよいでしょう。そんな人ほど事故をおこすものです。


6. 間食を多くとる事!

 私は昔、一ヵ月間、北海道の山を放浪した事がありました。その時は、一日四食(しかも三杯飯)食べたのに15キロも体重が減ってしまいました。登山が、恐ろしいほどカロリーを消費する事は、多くの本に書かれてありますが、それは本当です。
空腹で山を登る事は、非常に危険であるだけでなくバテやすいのです。けれど胃袋に負担をかけてはいけません。それもバテる原因になります。食事は軽くすませ、チョコレート等の高カロリーのものを間食にとる事です。しかし、逆に考えてみれば、ダイエットする人にとっては登山の効果は絶大と言えますね。


7. 登山道には標識がある!

 登山道には必ずと言っていいほど標識があります。ペンキで、木や岩に印が書いてあったり、木の枝にテープや布が吊るしてあります。それらに注意して登る事です。もし、この標識を発見できなくなっていたら、道を間違えている可能性があるので注意して下さい。山には、ケモノ道があるのです。また、侵入禁止のロープが張ってある所には、絶対入らない事です。


8. 迷った時の方法!

  
 迷った時は、むやみに動かない事です。まず冷静になって考える事。そして登山道を探す事です。そして最も効率的に登山道を発見する方法は、むしろ頂上(または尾根)を目指す事です。むやみやたらに谷へ下山してはいけません。滝や崖が行く手を阻んでいたらおしまいです。



9. 植村直己さんの言葉

「征服とか勝利とか言う言葉はかっこいいですが、それだけじゃだめなんです。目的のために堪え忍ぶといった事は長続きしません。現地に溶け込んで、自然に順応して、そして、その中に楽しみを発見していく事が大切なんです」

 植村直己さんの言葉です。植村さんと言えば、北極点探検家のイメージがありますが、本当はエスキモーを訪れた旅人です。エスキモーの人たちと一緒に生活し、エスキモーの知恵を学びながら、楽しみを発見した植村さんこそ、偉大な旅人と言えるのではないでしょうか?
 そして、その楽しみを発見する事は、登山にも言える事です。 道に迷ったら、それを
楽しむ。急な登りに出会ったら、それを楽しむ。岩に出会ったら、岩登りのスリルを楽しむ。疲れたら展望を楽しむ。いろいろな楽しみを発見する事こそ、旅人の求める登山の姿と言えると、私は考えます。

【風より】