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英国での会社設立、支店登記、駐在員事務所
会社設立編(英国でのビジネス拠点)の設立 →英国子会社の設立費用についてはこちら
→英国支店の設立費用についてはこちら
英国へ事業投資する際には、一般的に、現地法人たる子会社(Subsidiary)もしくは日本本社の支店(Branch)として事業拠点(Place
of business)を設置することになります。
また、英国企業とのJV(ジョイント・ベンチャー:合弁会社)設立やM&Aによって既存の会社を買収するケースもあります。
このページでは、英国への会社進出形態のうち、「現地法人を設立する手続」と「英国支店を設置する場合の登記」手続き等について解説します。
実際の設立では、個々の会社の目的で手順が変わってくる場合もあります。手続きに際しては専門家にアドバイスを求めることをお勧めします。
また、本稿での説明は会社法上の手続が中心であり、税務問題については簡単に触れることにとどめます。税務上の問題は、個々の会社の環境と事情で変わってきますので、日本および英国両方での税務専門家にご相談下さい。
英国への進出形態
一般的な進出形態
英国に事業進出する場合、事業拠点開設の前段階では、(1) 英国の販売業者と代理店契約を結んだり、製造業者とライセンス契約を結んだりする形態もあります。
さらに事業拠点を設ける場合は、(2) 駐在員事務所を設置する、(3) 支店を設置する、(4)子会社として現地法人を設立する、といった展開となります。
それぞれの特徴は、下記の通りです。
代理店契約・ライセンス契約
代理店を使えば、事業拠点を開設することなく販路を開拓することができます。また、ライセンス契約を結べば、日本企業が知的財産権を保有できる上、日本企業がEU域内に直接商品を輸出する場合の輸入制限等を避けることができます。
しかしながら、いずれ売上がある程度まで延びた段階で、自社の事業拠点を開設する必要性が生じてきます。
駐在員事務所「Representative Office」
駐在員事務所では、情報収集、連絡、購買活動および広告などの「非事業(Non-Trading)」活動しか行えません。
駐在員事務所の設置は、事前の手続きが不要であり、会社法上、事業の本拠地を登録することも要求されません。(これは、近い将来英国に支店や現地法人を設置する準備のための拠点としての位置付けの場合などが該当します。)
ただし、「事業を行う場所:Place of business」とみなされた場合は、「691書式(http://www.companieshouse.gov.uk/forms/foreignForms/691.pdf)」による会社登記所(カンパニーズ・ハウス:Companies
House)への登録が必要となります。
なお、長期間の設置が予定されている場合には、支店登記と同じ登録手続き(「BR1書式(http://www.companieshouse.gov.uk/forms/foreignForms/br1.pdf)」による)をしておいたほうが無難です。
☆ 税務上の論点
営業活動(Trading)を行わなければ、税務上のPE(Permanent Establishment:恒久的施設)とはみなされないでしょうから、英国法人税の課税対象とはなりません。
ただし、駐在員事務所の代表者が販売の契約交渉等につき決定権限を持つ場合等には、PEとされる可能性が大きくなります。
本来税金の課税対象であるのに、申告をしていなかった場合には、後日、大きな罰金や追徴金を負いかねません。
PEの問題については、税務専門家を通じて、開設後すぐに当局と事前確認しておくことをお勧めします。
支店「Branch」
日本の会社の英国支店として、事業活動(Trading)を行う拠点を開設する場合には、支店(Branch)となります。
支店開設後1か月以内に会社登記所に登記をします。
支店と現地法人との長短の比較は図表2にまとめましたので、そちらをご参照下さい。
現地子会社「Subsidiary」
一般的に、日本から100%出資の子会社を設立します。
上場企業など大企業の場合、事業部ごとに現地子会社を設立するケースもあります。また、欧州統括会社の子会社(日本の本社からみると孫会社)とする場合もあります。
支店と100%子会社の比較は図表2をご覧下さい。
100%子会社以外の形態で現地法人を設立する場合には、税務上およびその他の影響について、事前に専門家と十分に相談して決める必要があります。
こんな形態もある!
合弁会社「Joint Venture」
英国企業との合弁で会社を設立する選択もあります。
JVの場合は、合弁相手先企業の既存の販売ルートや製造施設を使えるなどのメリットがあります。
また、英国内の企業や消費者により受け入れられやすい、EU内貿易保護政策の適用を避けることができる、などの優位性もあります。
合弁相手先候補に関する情報は、SEEDA(http://www.seeda.co.uk/)などの英国開発公社に相談することもできます。
ここで注意しなければならないことは、持ち株割合です。上記のEU企業としての優位性を優先させるのか、それとも、万一関係が悪化した場合の予防策として50%超の持ち株を堅持するのかは、最重要な検討課題といえます。
合併・買収「Merger & Acquisition」
既存の英国企業を買収・合併する方法は、その会社が成功した段階までの成長の時間を買うという意味で、迅速かつ有効なビジネス手法の一つです。
買収先の選定については、投資銀行、日本でのメインバンク、投資コンサルタント等が案件を抱えていて、その仲介として協力してもらうことになります。また、大手会計事務所や法律事務所でもそうしたM&A部門を抱えていて、買収先の紹介、仲介を行っています。
買収候補先が決まったら、買収監査(Due Diligence)を行わなければなりません。
法律面での調査と評価には弁護士事務所、税務・会計面での監査と評価には会計事務所、と2つの観点からのDue Diligenceが必要となります。
買収側および売却側双方がそれぞれDue Diligenceを行い、価格交渉が行われます。
図表1【英国進出の3つの会社形態】
日本の法人が英国で事業を行う際の「支店」形態と「子会社」形態につきそれぞれの主な違いは次の通りです。
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支店 |
現地法人 |
| 1. 資本金 |
なし |
必要 |
| 2.配当/利益の送金 |
課税なし |
源泉課税なし(通常、他国では源泉徴収後、租税条約による軽減)
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3. 借入金
1)本社から借入
2)親会社等からの借入 |
1) 支払利息を損金算入できない。
2) 右に同じ |
1) 該当なし
2) 支払利息を損金算入できる。(ただし、過少資本税制の制限あり) |
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4.年次手続
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年次手続きは必要なし。ただし、本店における支店登録(済:Form10記載)事項に変更があった際には登記が必要となる。
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年次報告書(Annual return)を毎年登記所に提出しなければならない。 |
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5. 法定(会計)監査
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不要
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毎年会計士監査が必要
(中小会社の免除規定あり)
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6. 税務申告書の提出
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英国支店が申告書を提出する。
★ただし、全世界基準での日本本社の決算書も添付しなければならない。
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子会社自らが行う。
(親会社には義務なし。)
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7. 会社のイメージ、従業員の雇用
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現地子会社よりも弱い。 |
支店よりも現地子会社のほうが有利。 |
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8. 立上時の欠損金
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本社で支店の欠損を相殺できる |
親会社側で相殺できない。 |
| 9.裁判等 |
日本の取締役が法廷に出頭しなければならない。 |
現地の取締役が対応。 |
| 10.製造物責任等 |
日本の本社が訴訟対象となる。 |
日本の本社に影響は及ばない。 |
実際にどちらが適切かの判断は、各社のビジネスの実態によって変わってきます。事前に専門家にご相談されることをお勧めいたします。
会社の種類本稿では日本企業が最もよく利用している「Private Limited Liability Company:有限責任非公開会社」の設立手続について解説します。
設立方法〜会社設立には2つの方法がある!
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新規会社設立
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既存会社(シェルフ・カンパニー)の購入
歴史的背景
以前、英国での会社設立といえば、“シェルフ・カンパニー”の購入が一般的でした。
これは、エージェントの事務所の棚(シェルフ:shelf)に保管してあるまっさらな作り立ての会社を購入し、会社名・住所・役員等を変更して自分の会社とする方法です。
この方法は、会社設立のために要する期間(通常1週間程度)を短縮し、すぐ(1〜2日で変更完了)に自社名で銀行口座を開設し、またはビジネスができるというメリットがあり活用されていました。
しかしながら、2001年会社登記所(カンパニーズ・ハウス)が電子登記(electronic filing)制度を採用したため、設立期間が短縮され、“シェルフ・カンパニー”の購入のメリットが薄れてきました。そのため、新規登録を活用する設立方法が増えてきています。
ただし、買収等のために今すぐ会社が欲しい(会社証明書が必要)場合等には依然有効です。
新規会社設立
必要な届出書および登記料
新規に会社を設立する場合には、下記の様式の提出と登記料が必要となります。
- 基本定款(A MEMORANDUM OF ASSOCIATION)
−会社名、資本金、登記の場所、会社の所在地(EnglandかWalesかScotlandか)および目的を定めたもの
- 付属定款(ARTICLES OF ASSOCIATION)(注2)
−会社内部の運営についての規定
- 様式10(Form10)
−会社役員、登記予定事務所の所在地等に関する概要
- 様式12(Form12)
−法令に準拠している旨の法定宣誓書
- 登記料
−20ポンドあるいは80ポンド(即日登記)
(注1)各書式は下記アドレスのWEBからご覧いただけます。
http://www.companieshouse.co.uk/forms/formsOnline.shtml
(注2)Table Aと呼ばれる標準定款(Model Article)をそのまま使う場合には不要です。
ただし、Table Aでの取締役は2名以上と規定されていますので、取締役を1名としたい場合にはこの付属定款(Table Aを修正したもの)が必要となります。
登記事項−様式10(Form10)
1)最初の取締役(Director)および秘書役(Secretary)の
- 名前
- 住所
- 生年月日
- 職業
- 他の会社での取締役の有無(過去5年間)
2)会社の登記住所
- イングランドもしくはウエールズ内のどこかで、郵便物がきちんと届く住所(登記所は郵便番号で住所を確認します。郵便番号を間違えないこと)
- スコットランドの場合はスコットランドの登記所への登記となります。
(注1)取締役と秘書役は最低1名以上必要です。取締役が1名の場合には秘書役を兼務することができません。
(注2)取締役と秘書役の責任と役目は法律で広範に規定されています。詳しくはガイドブック'Directors
and Secretaries Guide'.をご覧下さい。
会社設立後の変更登記
- 様式288a(Form288a)
−役員の就任
- 様式288b(Form288b)
−役員の退任
- 様式288c(Form288c)
−役員の名前や住所など最初に様式10(Form10)で登記した事項に変更があった場合
様式12(Form12)での法定宣誓
この法定宣誓は、代理人である事務弁護士もしくは様式10(Form10)に記載された取締役又は秘書役のうちのいずれかが、公証人等の面前で宣誓し署名します。
シェルフ・カンパニーの購入による会社設立
既存の会社を購入しての会社設立では、会社名・役員・登録住所等の事項を所定の様式(288a、288b、288cなど)で変更して、それを登記することで自分の会社とします。
既存の会社であれば、会社登録番号(company registration number)がありますので、緊急の買収や契約書の締結など、すぐにビジネスができるため、こうした際に重宝されることになります。
法定会社基本資料録
会社の設立に際しては、いずれの方法を使う場合でも、弁護士などのエージェントに依頼することになるものと思います。
会社独自の定款を作成する企業もありますが、通常はどんな事業でも行えるように規定されているTable A(もしくはその修正版)を使います。こうした定款を使う方が費用が安く済みます。
会社設立後、下記のような書類一式がパッケージとしてバインダーやボックスに入れて渡されます。
- Certificate of Incorporation
−会社設立証明書
- Copies of Memorandum & Articles of Association
−基本定款および標準定款のコピー
- Copies of opening Statutory Registers
−法定登記申請書のコピー
- Minutes of the first meeting of directors
−第1回取締役会議事録]
- Minutes of the second meeting of directors −第2回取締役会議事録
- Elective Resolutions and accompanying minutes
− 会社設立決議議事録
- Stock Transfer forms fully completed, duty paid and Inland Revenue stamped
where appropriate
−株式移転に際しての印紙税納済み書類
- Share allotments completed and filed
−株式割当に関する書類
- Printed Share Certificates
− 株券(作成した場合)
- All required forms 288a, 288b, 287, G88(2), 225 completed and filed
at Companies House where appropriate
−登記事項変更書類
- Any level of Authorised Capital as required
−資本金の増資に関する書類
- Full copy of Table A Regulations
− Table A規定のコピー
- Company seal (通常は別手当てとなります)
−エンボスの会社印を押すパンチはさみ など
こうしたキットをもらうと、「あぁ、会社ができたんだなぁ・・・」という感慨深い気持ちになります。
PLC−Public Limited Companyについて
PLCとは何か
定款および会社名にPublic Limited Companyという名称を明記していることが必要です。また定款でPublic Limited
Companyである旨の条項があり、会社名がPublic Limited Company(もしくはPlc)で終わっていなければなりません。
(ウエールズの会社にあっては、ウエールズ語で'Cwmni Cyfyngedig Cyhoeddus'(または 'CCC')で終わること。)
定款はTable Fが基本となります。
最低資本金は£5万(価値が同じであれば他通貨でも可:複数通貨も可)です。 事業を始める前に、最低£5万の資本金を株主に割り当て、その4分の1以上(£12,500)以上は払込資本があることが必要です。
PLCは最低払込資本金が払い込まれた旨の証明書が発行されるまで、事業を開始や借入をすることができません。様式117(Form117)を提出すれば会社登記所からその証明書をもらうことができます。
一度証明書が発行されれば事業を行ったり借入をしたりできる証明となります。
通常証明書の発行は郵送でなされますが、登録時に要請があればFax送付できる登記所もあります。
PLCの制限事項
PLCにはいくつかの制限があります。
最低2名以上の株主と取締役が必要です。なお、 秘書役は一定の資格と条件を満たした人であることが求められます。
PLCは通常事業年度終了後7か月以内に登記所に決算書を登記すればよいことになっています。
PLCは非公開会社に適用される(例えば小規模会社の法定監査の免除など)特典を受けることはできません。
PLCとなることのメリット
株式市場証券取引所で株式を売ることができます。非公開会社はできません。
LtdとPlc−どちらのタイプの会社がよいか
主な違いは下記の通りですが、Plc設立に際しては、会計事務所とよく相談をした上でお決めいただいたくことをお勧めします。
図表3【LtdとPlcの比較】
登記の期限
英国支店を設置した場合には、開設後1か月以内に登記をしなければなりません。
必要書類
BR1書式の登記項目
- 本社(会社名、設立根拠法、資本金、会計期間、住所、定款など)
- 取締役(氏名、住所、生年月日、職階、他社での兼務の有無など)
- 英国での情報(代表者住所氏名、事務所の住所など) など
事業を行う場所(Place of Business)の登記
登記の期限
事業を行う場所(Place of Business)を設けた場合には、開設後1か月以内に登記をしなければなりません。
必要書類
691書式の登記項目
- 本社(会社名、設立根拠法、住所、定款等)
- 取締役(氏名、住所、生年月日、職階、兼務の有無等)
- 英国での情報(代表者住所氏名、事務所の住所等) など
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