税理士 横浜 税理士 消費税還付のTKC会計山條隆史税理士事務所です。

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         ←解はこの本の中にあります。

「賃貸用マンション建物の消費税は還付されない」と信じてしまっていいんですか?

条件次第!

相続税対策などで賃貸マンションを建てる場合で、用件が合致すれば(例えば下記のような事例)、建築にかかる消費税が還付されることもあります。

  • 個人事業を行っていた人がこれから新たに賃貸事業を始める場合
  • 相続対策の駐車場業に加え初めて賃貸マンションを建てる場合
  • 事務所や店舗の賃貸を行っていた人が新たに居住用アパート賃貸もする場合

などにその可能性があります。 「消費税還付」説明

「消費税還付」理屈の説明

まずはじめに消費税の還付はなぜ出来るのでしょうか?

そうです。納めるべき税金(売り上げにかかる消費税:課税売上の消費税)よりも控除すべき消費税(仕入れにかかる消費税:課税仕入れの消費税)が多い場合に還付されます。

消費税を納めるという選択(=課税業者の選択)をして、「たまたま控除のほうが多かった」場合に消費税還付となるのです。

還付される場合= 課税売上の消費税 < 課税仕入の消費税

すなわち 消費税還付金額=課税仕入の消費税−課税売上の消費税 です。  

消費税還付の設例を見てみましょう

(数字はわかりやすいように単純にしています)          

【登場人物】

(比較のためたくさん出てきますが、あなたに近いタイプの人だけクリックしてご覧下さい)

  職業 所得税の申告 消費税の申告 前年以前賃貸 本年新規賃貸 本年課税事業者の選択
Aさん サラリーマン なし(年末調整) なし なし 1F店舗・2−5F住宅
Bさん サラリーマン なし(年末調整) なし なし アパート・マンション
Cさん 兼業農家 有り なし(免税) なし アパート・マンション ×
Dさん 農業 有り あり(選択) 貸家・駐車場 アパート・マンション (以前から)
Eさん 不動産賃貸 有り なし(免税) アパート・マンション アパート・マンション
Fさん 不動産賃貸 有り あり 店舗・事務所 アパート・マンション (以前から)
【以前の状況】
Aさん:給与収入だけだったとき 「消費税還付」その後
  内訳 金額(税別) 消費税額   
収入 給与 700万円  
Bさん:給与収入だけだったとき 「消費税還付」その後
  内訳 金額(税別) 消費税額  
収入 給与 700万円  
 
Cさん:給与+農業収入だけだったとき 「消費税還付」その後
     内訳   金額(税込)     消費税額  
収入 給与 700万円  
    農業収入 400万円 (消費税 免税) 免税業者のため
経費 経費 168万円 (消費税 8万円)  
差引     932万円 (消費税 8万円) ←経費負担が増えていた

(注)売上が1千万円以下のため消費税免税である。ゆえに、申告も必要がない。

Dさん:農業収入+貸家・駐車場 「消費税還付」その後
     内訳   金額(税別)     消費税額  
収入 農業収入 800万円 (消費税  40万円) 課税業者を選択      
  貸家収入 480万円 (消費税  ゼロ) 10万×12月×4戸
住宅用は非課税です
駐車場収入 60万円 (消費税  3万円) 1万×12月×5台
経費 農業経費 400万円 (消費税  20万円)  
  貸家減価償却費 40万円  
差引     900万円 (消費税 23万円) ←納めなければならない

(注)税理士の勧めで平成16年から課税業者を選択。

Eさん:すでにアパートを貸している 「消費税還付」その後
     内訳   金額(税込)     消費税額  
収入 アパート収入 1,200万円 (消費税 なし) 非課税のため       
経費 経費(管理料他) 105万円 (消費税  5万円)  
  減価償却費 150万円  
  経費(銀行利子)   200万円 (消費税  ゼロ) 利子に消費税はかかりません
差引     745万円 (消費税 5万円) ←経費が増えていた
F さん:貸店舗・貸事務所業 「消費税還付」その後
  内訳 金額(税別) 消費税額  
収入 店舗収入 1,200万円 (消費税 60万円) 課税事業です      
経費 経費(管理料他) 100万円 (消費税  5万円)  
  減価償却費 150万円  
  経費(銀行利子)   200万円 (消費税  ゼロ) 利子に消費税はかかりません
差引     750万円 (消費税 55万円) ←納めなければならない
【消費税還付その後】
Aさん:相続税対策(全額借入金)でアパートを建築
  内訳 金額(税別) 消費税額  
収入 給与 700万円  
  1F店舗家賃 300万円 (消費税  15万円) 店舗・事務所は課税です
  2−5Fマンション 700万円 (消費税 なし) 住宅用は非課税です
経費 建物の建築費 (消費税500万円) 建物1億円の場合
  不動産管理費 100万円 (消費税 5万円)  
  減価償却費 300万円  
  借入金利子 300万円 (消費税 なし) 利子は消費税非課税
差引   1,000万円 (消費税▲490万円) ←還付となるハズ!しかし

課税売上にかかる消費税から控除する課税仕入の消費税の額は、消費税法の規定(第30条)により、「個別対応方式」もしくは「一括比例配分方式」で計算されます。

「個別対応方式」の場合、建物建築の消費税は店舗部分に対応するものだけですので、控除は5分の1となります。

(計算を簡単にするため、店舗と住宅部分は別構造であり登記も別であると仮定します)

  • 1F店舗…控除可能
  • 2−5F住宅…控除できない

よって控除額は(500+5)÷5=101万円となり15-101=▲86万円←還付金額となります。

ではここで、「一括比例配分方式」を使えばどうなるでしょうか。  

「一括比例配分方式」で計算される控除額(ハ)は「課税仕入等にかかる消費税額(イ) × 課税売上割合(ロ)」です。

  • (イ) 5+500=505万円
  • (ロ) 300/(300+700)=30%
  • (ハ) 505万円×30%=151.5万円
  • (ニ) 控除額=15-151.5=▲136.5万円 ←還付金額です。

↑還付金額はゼロではなく戻ってきます。(“常識”と違いますね)

そして、▲86万円 < ▲136.5万円 で「一括比例配分方式」が有利となります。(約1.6倍の差です!)

そうです、消費税第30条の「一括比例配分方式」を選択すればよいのです。

節税とは税法で「有利であれば選択できる」と規定している有利な方を使うことなのです。

Aさんの場合、消費税に店舗家賃という課税売上があるので一括比例配分方式を使うことでアパート建築の消費税の一部が戻ってくる可能性が出てくるのです。

では、ほかの人の場合はどうでしょうか?

Bさん:相続税対策(借入金なし)でアパートを建築
  内訳 金額(税込) 消費税額  
収入 給与 700万円  
  アパート収入 400万円 (消費税 なし) 住宅用は非課税です
経費 建物の建築費 (消費税200万円) 建物4千万円の場合
減価償却費 80万円  
  不動産管理費 20万円 (消費税 1万円)  
差引   1,000万円 (消費税▲201万円) ←還付となるハズ!しかし

 さぁ、「一括比例配分方式」を使って・・・と思っても、課税売上がないので課税売上割合ゼロですので、掛けてもゼロ。

 残念ながら、還付はゼロです。(また“常識”に戻ってしまった!)

Cさん:相続税対策(借入金なし)でアパートを建築
  内訳 金額(税込) 消費税額  
収入 給与 700万円    
  農業収入 400万円 (消費税 免税)  
  アパート収入 800万円 (消費税  なし) 住宅用は非課税です
経費 農業経費 168万円 (消費税  8万円)  
  アパート管理費 42万円 (消費税  2万円)  
  減価償却費 250万円  
  建物の建築費 (消費税400万円) 建物8千万円の場合
差引   1,440万円 (消費税▲410万円) ←還付となるハズ!しかし

 免税業者として消費税の申告をしていなかったから還付もされない!申告していなければ還付はされないのです!

 ただし、この消費税分は建物の減価償却費に含まれて償却年数に渡って経費となります。(やはり、“常識”通りです)

 

Dさん:相続税対策(借入金なし)でアパートを建築
       内訳   金額(税別)     消費税額    
収入 農業収入 800万円 (消費税  40万円) 課税業者を選択      
  貸家収入 480万円 (消費税  ゼロ) 10万×12月×4戸
住宅用は非課税です
  駐車場収入 60万円 (消費税  3万円) 1万×12月×5台
  アパート収入 380万円 (消費税  ゼロ) 住宅用は非課税です
経費 農業経費 400万円 (消費税 20万円)   
  減価償却費 100万円  
  建物の建築費 (消費税400万円) 建物8千万円の場合
  アパート管理費 40万円 (消費税 2万円)  
差引       1,180万円 (消費税▲379万円) ←還付となるハズ!しかし

課税売上にかかる消費税から控除する課税仕入の消費税の額は、  消費税法の規定(第30条)により、「個別対応方式」もしくは  「一括比例配分方式」で計算されます。

「個別対応方式」の場合、建物建築の消費税は  課税売上にかかるものではないので、控除は出来ません。

相変わらず23万円の納付となります。

ではここで、「一括比例配分方式」を使えばどうなるでしょうか。

「一括比例配分方式」で計算される控除額(ハ)は「課税仕入等にかかる消費税額(イ) × 課税売上割合(ロ)」です。

  • (イ) 20+400+2=422万円
  • (ロ) 800+60/(800+480+60+380)=50%
  • (ハ) 422万円×50%=211万円  
  • (ニ) 控除額=(40+3)-211=▲149万円 ←還付金額です。

↑還付金額はゼロではなくちゃんと戻ってきます。(“常識”と違いますね)

そうです、消費税第30条の「一括比例配分方式」を選択すればよいのです。

節税とは税法で「有利であれば選択できる」と規定している有利な方を使うことなのです。

Dさんも、農業と駐車場という課税売上があるので一括比例配分方式を使うことで  アパート建築の消費税の一部が戻ってくる可能性が出てくるのです。

Eさん:追加相続税対策(一部借入金)でアパートを建築
  内訳 金額(税込) 消費税額  
収入 アパート収入 1,200万円 (消費税 なし) 非課税のため 
  同上(新規分) 100万円 同上 同上
経費 経費(管理料他) 126万円 (消費税  6万円)  
  減価償却費    200万円  
  経費(銀行利子) 250万円 (消費税  ゼロ) 利子に消費税はかかりません
  建物建築費合 (消費税200万円) 建物4千万円の場
差引   724万円 (消費税▲194万円) ←還付となるハズ!しかし
 

あれ、やっぱりここでも課税売上がないので課税売上割合ゼロですので、掛けてもゼロ。

残念ながら、還付はゼロです。(やはり“常識”が正義なのか?)  

Fさん:事業拡大でマンションを建築
         内訳    金額(税別)      消費税額  
収入 店舗収入     1,200万円  (消費税 60万円) 事業です  課税
  マンション収入 800万円 (消費税 なし) 非課税
経費 経費(管理料他) 200万円 (消費税  10万円)    
  減価償却費     300万円  
  経費(銀行利子) 350万円 (消費税  ゼロ) 利子に消費税はかかりません
  建物建築費 (消費税400万円) 建物8千万円の場合
差引       1,150万円 (消費税▲350万円) ←還付となるハズ!しかし  

Fさんは貸事務所の課税売上があるので、もしかしたらいけるかもしれません!

「個別対応方式」の場合、建物建築の消費税は  課税売上にかかるものではないので、控除は出来ません。やはり無理なのでしょうか?では「一括比例配分方式」を使えばどうなるでしょうか。

「一括比例配分方式」で計算される控除額(ハ)は「課税仕入等にかかる消費税額(イ) × 課税売上割合(ロ)」です。  

  • (イ) 10+400=410万円
  • (ロ) 1,200/(1,200+800)=60%
  • (ハ) 410万円×60%=246万円
  • (ニ) 控除額=60-246=▲186万円

↑戻ってきます。(このケースも“常識”と違いました)

そうです、消費税第30条の「一括比例配分方式」を選択すればよいのです。

節税とは税法で「有利であれば選択できる」と規定している有利な方を使うことなのです。

Fさんの場合も、消費税に課税売上があるので一括比例配分方式を使うことでアパート建築の消費税の一部が戻ってくる可能性が出てくるのです。

さて、あなたは誰のケースに近かったでしょうか? 還付の可能性はありそうですか?

(最終改定日平成17年12月22日)