山靴通信 2007年11月1日号(毎月1日発行)

もう秋だね

もう秋だね





1902年秋、ロンドン留学中の夏目漱石は、下宿の婆さんから自転車に乗りたまえと言われて訓練を始めた。「さあ今だ早く乗りたまえ」と言われて坂の上から下り始めた。すると左の屋敷の内から拍手が起こるが、五十人ほどの女学生がむこうからやってきた。気取ることもできずに女学生の傍らを通り過ぎると、前方には巡査が控えている。とうとう車道から歩道へ乗り上げ、板塀へぶつかって巡査の前でとまった。「だいぶ御骨折りですね」と笑いながら言う巡査に、漱石は「イエス」と苦笑。


このところ自転車ばかりの私の目にとまった、これは百年ほど前の自転車のお話。





#246 『坊っちゃん』



東京両国にある江戸東京博物館の夏目漱石展に行った。日曜日の館内はたいへんに混雑していた。

記念に丸善で『直筆で読む「坊っちゃん」』(集英社新書ヴィジュアル版)を購入。自筆原稿は変体仮名に難儀するが、すぐに慣れて読み進むことができる。以前に読んで筋書きは知っているつもりでいたが、すっかり忘れていた。

テレビもラジオもない時代であり、今のような娯楽も少ない時代ではあるが、それでもそこには人の営みがあり、それなりの楽しみがあった。「坊っちゃん」の時代と比べて、今の便利な世の中が一番幸せであると信じる人はもはやいないであろう。ワープロではない人間味のある手書きの小説を読んで、世の中の進歩とは何かを考えさせられた。

「坊っちゃん」直筆原稿

「坊っちゃん」直筆原稿




また2007年12月1日にお会いしましょう。Have a nice day

暮篤(ぼとく)



ご感想があればぜひこちらへ

山靴通信バックナンバーもあります