山靴通信 2006年4月1日号(毎月1日発行)






足の怪我は癒えたのですが、まだ山歩きはできません。


そこで今月は、数年前に書きとめておいた春の自作俳句を紹介します。少しでも春を感じてもらえれば幸せです。




#210 『春俳句』



芽柳の堀を渡りし着物かな


家々に動かざりける雛かざる


卒業歌通りすがりに聞こえけり


都庁から見る街並みと霞かな


出張の東京で吹かれるおぼろかな


閑として花種子を播く人ありぬ


大いなるくさめひとつの春大地


春宵や電波の音の色気なし


隕石は春いくたびぞ迎えける


幾人の落第ありぬ体育館


切り通しすぎて目に入る春の峰


春不況友は勤労意欲なし


卒業式容貌すでに忘れけり


背を向けて目薬つけし女かな


水温む一歩一歩の土手の上


水温み川魚釣りける子の思索


鶏は春を感じて動きけり


ひたむきな土手の自転車鶏鳴きぬ


山越えの小流れに咲く芹の花


田の畦に佇む男や芹の花


陽炎に佇む老女の見るものは


春一番空を茶色に染めにけり


春の蛇記憶定かに辿りけり


連翹や荷台で花札の工事人


街灯のうえに上れる春の月


蒲公英の耐えて在りける強さかな


牧場の牛が咎める蕨採り


                    暮篤



また2006年5月1日にお会いしましょう。Have a nice day

暮篤(ぼとく)



ご感想があればぜひこちらへ

山靴通信バックナンバーもあります