山靴通信

2005年2月1日号(毎月1日発行)

一月にフルマラソンを走りました。
長距離を走る人を見ると、
「そんなにまでして健康になって長生きしたいのか」
と言う人もいるようで、
作家の村上春樹はこれに対して次のように反論しています。
「我々は決して長生きをするために走っているわけではない。
たとえ短くしか生きられないとしても
(人の人生なんて多少の誤差はあれ所詮短いものではないか)、
その短い生を何とか十全に集中して生きるために走っているのだと思う。」
(村上春樹著『やがて哀しき外国語』より)
この意見は山登りにも当てはまると思うのですが、どうでしょう。
村上春樹の文章にある「走っている」という言葉を「山に登る」に換えてみてください。

#177
『小木津山自然公園』


 飽きずにまたまたGPS宝探しに行きました。緯度と経度がそれぞれ回文(「たけやぶやけた」のように数字が前から読んでも後から読んでも同じになること、たとえば「123454321」)になるのではなく、今回は緯度と経度を続けると全体が回文数字となる地点を探すこと。その一つがN36°38.304′E140°38.363′です。このような回文になる地点は実はたくさんありますが、近くでしかも山歩きができるという観点からこの緯度経度の地点を選びました。日立の小木津山自然公園から羽黒山を経て神峯山に至るハイキングコースの途中にあります。地形図の破線道からは少しそれますが、これまでの経験から簡単に探せるだろうと考えました。もう一つの目的は、マウンテンバイクで走った石尊山から延びる小木津山林道が途中で行き止まりになっていて(『山靴通信』#171)、目的の沢平まで行けなかったのが気になっていたのでこれを確認することです。地形図では林道は破線の道として沢平まで続いているのに不思議だなあと思っていたからです。どうでもいいことばかりですが、この世の中非生産的なことも大切です。山登りをはじめスポーツはそもそも非生産的ですね。
 小木津山自然公園は久しぶりです。公園入口がわからず不動の滝に行く林道に入り込んでしまったりして迷いましたが、何とか公園駐車場に着きました。そうそう、この不動の滝も気になっていたのです。古い地形図と最近の地形図ではこの滝の位置が違うのです。もちろん新しい地図の位置のほうが正しいのですが、今回はこの滝の見物もできました。公園内の遊歩道を行くと、早朝ウォーキングの人やジョギングの人が少し寒いけれど清々しい空気をすって運動していました。冬の低山ハイキングコースものんびり歩けば捨てたものではないですね。途中の陽だまりで休憩すると穏やかな太平洋が望めました。気分よく歩いていたら突然というように林道に出てしまいました。私の持っている地形図が古いものなので、この林道は載っていなかったので意外でした。地形図では破線の道はこの林道を横断して尾根を行くことになっていますが、道端に立つ羽黒山へのハイキング道標はこの林道を行けと言っているので素直に従うことにしました。日陰の林道には年末と正月に降った雪がまだ残っていて、つるっと滑りそうで慎重に歩くことになりました。くねくねと何度か曲がると、道標は林道を離れてハイキングの細道を行けと指示しています。これも素直に従いました。ところがこのコースを行くと、目的の回文地点は迂回することになってしまうのです。そこで再び破線道に出会った地点から戻るような形で破線の尾根道を進むことにしました。冬枯れのため、踏み跡ははっきりしていて歩きにくいということはない尾根道です。ずっと下って林道出会い地点まで戻ってみたら、さきほどは気がつかなかったのですが、林道を横断したところに尾根に取り付く踏み跡が明瞭に付いていました。破線の尾根道を確認できて満足したところで(興味のない人にとっては、こんなことで満足することが理解できないだろうなあ)、また尾根を登り返してハンディGPSで回文地点を探すことにしました。藪っぽい森の中をうろうろしました。森の中は人工衛星からの信号を捉えにくいので位置同定がむずかしいのですが、どうにか回文地点にたどり着くことができました。面白味のない地点ですが、こだわった場所なので満足です。その写真を下に示します。

N36°38.304′E140°38.363′

N36°38.304′E140°38.363′地点!

 回文地点を後にし、鞍掛山からの神峯山ハイキングコースに出会う地点まで歩いて、羽黒山と神峯山には失礼して戻ることにしました。山頂を踏まない山歩きもたまには良いでしょう。日立電線山岳部が立てた道標に従って沢平に向かいました。こんなところ歩いている人はだあれもいません。下って田圃に出たら、ここにも雪がたくさん残っていました。ザクザクと雪を踏みしめ地形図にある破線の道を行く。陽だまりの道で、何だか気分が休まります。小木津山林道はこの破線道と平行して作られていて、途中何箇所か林道に出られる道がありました。この前自転車で林道を走った時には気づかなかったのです。林道に出て、林道終点まで行って、本当に行き止まりかどうかを確認したら、藪をこげば破線道に下れるが自転車では難儀することがわかりました。今日の課題のもう一つが解決して安心したので、ぶらーりと歩いて沢平の集落まで行ってみました。家々はひっそりと静まりかえっていました。こんな山奥にも人は住んでいるんですね。のんびりと生活するには良い所ですが、若者には耐えられないだろうなあ、と勝手なことを思いながら同じ道を戻りました。
 途中の道標に従って小木津山自然公園に戻る谷の道を進んで行くと、すぐに林道でました。これは朝に間違えて車で入り込んだ不動の滝を通る道であり、右手に進めば公園からのハイキングコースに出会う林道でもあります。右に進んでハイキングコースに戻るか、この林道を下るか迷いましたが、同じ道を戻るのもつまらないので左手に進むことにしました。ところがこの林道歩きは地形図を見ての予想に反して面白くありません。ひたすら薄暗い中を下るだけです。途中で不動の滝を見物できたのは拾い物でしたが。不動の滝はなかなか立派なものでしたよ。滝のそばの不動尊には地元の人が供えた花がありました。滝の所から沢平を経由する羽黒山に至るハイキング道標があり、気になります。また滝入口からは別の林道があり、この道も沢平に至ると標識にあります。自転車で走ってこれらの道のたどり着く先を確認してみたいなという興味がわき、またまた宿題ができてしまいました。物騒な猪狩りの鉄砲撃ちの集団をやりすごし、不動の滝から流れてきている沢を越えて地形図にない道を登って、小木津山自然公園にもどりました。公園では夕方の犬の散歩をしている人がいましたが、変なところから公園遊歩道に飛び出した私を見て散歩人は驚いたようですが、犬はすでにご承知さというばかりに私には無関心に地面のにおいをかいでいました。

(2005.1.9)

小木津山自然公園から沢平へ(カシミール3Dによる)

小木津山自然公園から沢平へ(カシミール3Dによる)
 

#178
『筑波への道(総集編)』


 このところ週末になると低気圧が発生して雨や雪になり、山歩きも出来ないので八溝山から筑波山まで歩いたという「筑波への道」の総集編をつくりました。これまでの山靴通信をまとめたものですが、前半の報告にはなかったカシミール3Dによるコース図を付け加えました。お暇な方はどうぞ筑波への道・総集編をご覧ください。

赤城山から望む霞む筑波山

赤城山から望む霞む筑波山
 

#179
『雪に埋もれた厩岳山神社』


春に会津厩岳山に登った際に(『山靴通信』#158)、冬になって雪が積もったら源橋からのなだらかな斜面をクロスカントリー・スキーで歩いてみたくなった。今年は暖冬で雪が少ないと言われていたが、暮と正月に入ってからの降雪で会津にも大量の雪が積もっていると聞いて、気になっていた厩岳山に行ってみた。

源橋の登山口に駐車する予定だったが、行ってみると登山口への道は大量の雪に埋まっていて自動車が入れる状態ではない。駐車できそうな場所が見つからず、どんどん坂道を登っていったらスキー場(アルツ磐梯)に着いてしまったので、スキー場のリフトを利用して厩岳山の山頂近くまで行くという反則技を使うことにした。スキーリフトで山頂直下まで行けることは春に確認していたが、ところがリフト終点の先は雪が深くて夏道ははっきりせず、それに予想以上の急登のラッセルで体力を使い果たして山頂を目前にして登頂を断念した。雪に埋もれた厩岳山神社に戻り、パンとチーズ、それに白ワインという洋風ランチの時を過ごした。晴れていた天気も午後になると崩れてきたので、心残りではあるがスノーボーダーや子供スキーヤーで賑わうゲレンデを下っていった。

(2005.1.23)

厩岳山神社の桟

厩岳山神社の桟
 

また2005年3月1日にお会いしましょう。Have a nice day

暮篤(ぼとく)

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