山靴通信

2004年11月1日号(毎月1日発行)

「ねえ、誰かが言ったよ。ゆっくり歩け、そしてたっぷり水を飲めってね。」
村上春樹『1973年のピンボール』より

#171
『MTBで石尊山林道を走る』


日立かみね公園にある鞍掛山登山口を右手に見て、清掃センターを過ぎると駐車場があるので、ここに駐車した。自転車を組み立てて、住宅街の坂を下って川尻方面に向かう。常磐自動車道の日立北インターチェンジ入口を過ぎ、左折してゴルフ場に向かって進んでいくとハイキングの集団が歩いていた。すみませんと通してもらうと高速道路の側道は急坂で、最初の試練となるのであった。

沢平への分岐道標
     沢平への分岐道標

側道を離れて上石の民家の前を行くと、熟していない柿の実がいくつか落ちて潰れていた。ここから急な登り道となる。今回のMTB山行では一番体力を要するところ。自転車のギア比を最低にして喘ぎながら登っていくものの、途中で二度ほど休んで息を整えることになった。日立電線の工場が見えていて、その先には日立の海が広がる。暑くなってきたのでTシャツになって登り切り、テレビ中継のパラボラアンテナを見るとすぐに石尊山(386.3m)だ。山頂ではブルドーザーが動いて何やら作業をしている。山頂には休憩舎があるが、工事の音がうるさいのでゲートの脇を通って石尊山林道に入ることにした。未舗装の林道である。自転車で走るには、林道は舗装されてないほうがよい。紅葉にはまだ早いが、秋が深まればさらによいだろう。ここはそのような雰囲気の林道だ。

1.5kmほど進むと小木津山林道分岐に出会うので、この左折して林道に入る。実はこの林道を自転車で走るのは二度目であり、前回の経験からわかっているのだが、この道をそのまま進んでしまうと行き止まりになるので注意せよ。左折してすぐに右手に分岐点があるのだが、ここの送電線保守のためのように見える道を登っていくのが神峯山に至るハイキングコースである。この林道は尾根道であるが、すぐ下には小木津山林道が平行して通っているが、途中から離れていく。気分のよい林道であり、ほぼ送電線に沿って道ができている。448mピークに至り、さらに道なりに進むと沢平から離れてしまうので注意せよ。ここのピークには西に進むようにハイキングコースであることを示すテープがぶら下がっている。しかしここに入り込むと杉の伐採木があって自転車を担ぐことになったり、藪道で野バラの棘に悩まされたりした。このような踏み跡程度の道をたどって下っていくと舗装された車道に出る。これは十王ダムから沢平に至る道だ。

沢平の小さな集落で、通りかかった婦人に神峯山への道を尋ねると、小屋の下を通ってから沢に沿って進んでいくと、鞍掛山から神峯山へのハイキングコースに出ると教えてくれた。20年前に神峯山から石尊山へ歩いたことがあるのだが、すっかり忘れている。古い水道管に沿った道は自転車を押し上げるだけで乗ることはできない。沢を登り切ると、神峯山ハイキングコースの沢平分岐点に着く。ここまで来ると、もう道に迷うこともないので一安心だ。疲れたので神峯山まで往復するのはやめて、鞍掛山方面に進むことにした。途中休んでいたら、婦人が二人神峯山から下ってきた。ご高齢とお見受けしたが、お元気である。

羽黒山(490.8m)を越えて小木津山自然公園への分岐点を過ぎると、大蛇退治伝説のある蛇塚に出る。工場からの煙害防止のために植えられたというオハグロとサカキがトンネルを形成する道になる。今までの自転車を高みに押し上げた苦労が報われるように下り道となり、自転車にとって天国である。快適に下っていくと、あっけなく出発点の鞍掛山下の駐車場に戻った。全長19.3kmの周回コースを4時間25分かけて自転車で走ったことになる。この日、大リーグのイチローは年間最多安打の新記録を達成した。

(2004.10.2)

 

ルート図(カシミール3Dによる)
林道ルート図(カシミール3Dによる)
#172
『十国峠』


林道をMTBで走っていて思いがけない所にたどり着いた。そこは十国峠。その名前からは歴史ある峠のようだが、由来を説明する案内板もない。峠は東屋のある公園になっている。

誰もいない広場に置かれた三つのベンチが秋の陽を受けていた。遠くで大きな地震があったことなど、夢の中の出来事のような穏やかな一日であった。

(2004.10.24)

 

また2004年12月1日にお会いしましょう。Have a nice day

暮篤(ぼとく)

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