2004年2月1日号(毎月1日発行)
1月は地元の低山へ。
寝坊してしまい、昼近くに登山口に着いた。
山を一巡りして下りてきたが、
日没にはまだ間がある。
葉を落とした木々に陽があたり、
しかし吹き始めた風はつめたい。
靴音を響かせて田圃脇の道を歩いていると、
自転車に乗った男の子とすれ違った。
「どうも、こんにちは」、
「やあ、こんにちは」。
#143 『筑波山直登』
ハンディGPSを手に入れて何か面白い山登りに使えないものかと考えていたら、筑波山を直登することを思いついた。大鳥居のかたわらにある無料の第1駐車場から出発することにして、地図上で東経140度06分00秒(Tokyo系)の経線上をひたすら真北に向かって筑波山を登る計画を作った。夏場は藪がうるさかろうと思い、なかなか実現しなかったのだが、年も改まった1月にやっと実行したのでその顛末を話そう。
天気予報では雪になると言っていたが、曇り空で寒い日であった。駐車場から梅林に向かうとすぐに東経140度06分00秒(経度A)の地点になるので、道を外れて山林の中に分け入った。予想よりも藪は少ないが、倒木が多い。出来るだけ経度Aの線を外れないようにして登るのが今回の目的なので、大きく迂回することは出来ない。そのため倒木を越えるたびに体力を消耗するのであった。
筑波山直登ルート図。赤い線がGPS軌跡(byカシミール3D)。
空から落ちてくるものがある。それは細かな雪であった。ひたすら登るだけだから汗が出るほどで、雪が降ってきても寒いことはない。途中で何度かはっきりした登山道を横切る。筑波山には人気の一般登山道以外にも様々な小道があって、これらは昔の行者修行の道のようである。この道を行けば楽に登れるのであるが、今日の目的は直登なので、行者道は全く無視して横切る。北緯36度13分03秒を過ぎる頃には、なんだか簡単に登り切れそうに思えてきたが、それが間違いであることはすぐに分かった。標高600mを過ぎると大岩が出現して行く手を阻み、ルート選択が要求される。急崖の箇所もあり、滑落しないように注意してコース取りする。雪は止んだが、樅の葉は真っ白になっていた。
白い樅の葉
大岩の急登難所を二箇所過ぎて笹原に出た。雪をかぶった笹をかき分けて進むと、ズボンが白くなっていた。笹原を越えて、本日のゴール地点である岩頭に作られた展望台に到着。誰もいない。眼下に真壁の町並みと田園風景が霞んで見える。
帰路は不動岩からケーブルカー沿いの一般登山道を下ることにした。ランニング登山の高校生たちとすれ違い、乗客が二人だけのケーブルカーを見送り、祈願客もまばらな筑波神社を通り、こうして車の少なくなった駐車場に戻った。見上げると、筑波山は堂々としていて、今回の直登コースは結構な高度感があり、直登達成に満足していた。
#144 『竪破山で回文宝探し』
『山靴通信』#135で、緯度経度の数字が回文になるというGPS回文多宝探しを紹介しましたが、その後も何度か自宅近くを探してみました。そのほとんどはゴルフ場の中だったり、民家の敷地内であったり、田圃の中だったりしてなかなか正しい回文地点に立つことはできませんでした。今回は平地ではなく、山の中に宝を探してみました。それは竪破山(658m)の西側の北緯36度42.463分、東経140度33.041分の地点です。
登山口まで車で入るつもりが道路工事で通行止めになっていたので、鬼越で車を空き地に停めて歩き出しました。天気が良くて、のどかな田園の正月風景が広がっています。駐車場のある登山口から竪破山山頂までは良く整備された登山道です。途中で二人の登山客に出会いましたが、この日の竪破山はとても静かでした。山頂にはらせん状階段がある展望台が出来ていました。ずいぶん前に来たときには、このような展望台は無かったように記憶しているのですが、思えばいろんな山に登っているので勘違いかもしれません。
北緯36°42.463'、東経140°33.041'地点への道(byカシミール3D)
山頂から尾根伝いにハンディGPSの教える方角に向かってひたすら歩いていきました。途中で登山道を離れて藪に突入して杉植林の急斜面を下ったら、登山口から延びてきている林道に出てしまいました。GPSはこの林道を越えた向かい側の尾根を指し示しています。再び藪との格闘が開始したのでした。
地形図にある崖マーク地点はトラバースし、それからしばらくして小さな尾根に出ました。ここを少し登り返すと目的の回文宝地点でした。大きな岩が露出していました。宝の発見に喜びながら熱い一杯の茶を飲んだのでありました。
回文宝地点。象のお尻のような大岩です。
沢沿いに下っていくと、今では藪の中に隠れた、樹木伐採のための作業道に出会い、この道を行くと鬼越の集落に出ました。
#145 『鍬柄山と棟峰と羽黒山(筑波への道、その12)』
12回目になる「筑波への道」、今回は先ず鍬柄山(250 m)に登り、いったん山を下りて再び尾根に取り付き、棟峰(ぐしみね、263.7 m)から羽黒山(250 m)に登るという計画だ。JR水戸線の福原駅にシモンさんの車を置き、私の車で出発点の大郷戸に向かった。
午前8時前に出発した。内川集落を行き、ルートを探ったがはっきりしないので適当な尾根に取り付いた。冬枯れで立ち木は葉を落としているので藪は比較的薄い。尾根筋に出ると明瞭な踏み跡のある道が現れた。しばらく行くと鍬柄山に到着、電波中継所の建物があり、その先に前回登った仏頂山が見えている。鍬柄山の山頂は建物の裏手から登ったところである。三角点は見当たらない。山頂の片側は砕石のために断崖絶壁となっていて、覗き込んでいると怖いくらいだ。
山頂をあとにして、尾根を進んでいく。時折藪道となる。突然尾根が切れ落ちている場所に出た。砕石のために切り崩され、段々畑状に盛り土してある。ここを下ってから作業道を歩いて、砕石現場を通り抜けた。作業道の途中の、これから登ろうという264.5 m三角点ピークと棟峰から羽黒山方面の山脈が望める場所で、シモンさんとどの尾根を登ろうかと相談した。採石場の中を通るのはいやだから、左手に見える笹の生えたような尾根を登ろうということになった。
ここはやはり篠笹の生えた尾根で、熊のようにがさがさと音を立てながら登っていった。ここにも尾根筋には踏み跡があり、採石場を大きく迂回するような形で尾根の上を歩いていった。ところどころに藪あり、ところどころに落葉樹間の陽だまりあり。反射板が設置された場所(264.5 m三角点地点)で小休止すると、ここからは特徴ある笠間の佐白山が望める。ここを急下降して林道に出会い、再び反対側の尾根に登り返した。見晴らしの良い場所を見つけて昼食にした。ここも眼下は採石場だ。
笠間の富士山(183 m)から見た今回のコース。カシミール3Dによる。
今回コースを間違えたのは柳沢集落の東南東にある分岐した尾根のあたり。尾根筋を辿るべきなのに斜面を下って狭い谷筋に作られた田圃に出てしまった。尾根を一本、間違えた。すぐに正しい尾根ルートに戻った。相変わらず藪はあるものの、本日のコースも終盤を迎えた。わずかに風が吹きはじめたが、汗顔には心地よい。
舗装された峠越えの林道を横断して、またまた尾根に取り付いた。ほどなく棟峰の三角点に至った。えっ、ここが山頂?というほどの地味なところ。めずらしく山名標識がない。山の形が棟状なので棟峰と名付けられたそうだが、この山頂に立っていてもここが城趾であることなど想像すらできない。ここから羽黒山は近い。シモンさんが以前に通ったときに難儀したという太い篠笹の生えた藪は、迂回路が出来ていた。
棟峰の三角点とシモンさんの靴
羽黒山は神社が祀られ、城趾でもあるが、社務所のごとき建物は崩れ落ちていて屋根が残っているのみだ。ここは暗くて薄ら寒いので、少しすすんだ陽だまりで最後の休憩を取った。今回のコースもこれでお仕舞いと思ったのだが、このあと本日最悪の藪漕ぎと急崖トラバースが待っているとは想像もしなかったのだった。
羽黒山山頂をあとにして、三角点207 mピークに向かった。次第に藪が深くなり、山火事跡の藪道では先を行くシモンさんがリュックに括り付けていたはずのフリースの上着を拾う。括り付けたものが藪の細枝でもぎ取られるほどの藪だ。行き着いた三角点の小ピークは三方が断崖となっていて立ち往生。戻って崩れ落ちた崖際をトラバースして、谷の道を行くと平の集落に出た。次回予定している富士山と吾国山を眺めたり写真に撮ったりして車道を歩いていくと福原駅であった。藪との格闘を物語る襟首に入り込んでいた枯葉や細枝を払いだすのが、駅の駐車場でのシモンさんと私の最後の薮払いであった。
村境の
春や錆びたる
捨て車輪
ふるさとまとめて
花いちもんめ
寺山修司

また2004年3月1日にお会いしましょう。Have a nice day
暮篤(ぼとく)
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