山靴通信

2004年8月1日号(毎月1日発行)

このところマウンテン(MT)バイクによる山登りを楽しんでいます。これを山岳サイクリング、略して山サイと呼ぶそうです。なんで好き好んで山の上まで自転車で行くんだい、と訊かれそうです。苦労して山に漕ぎ上がり、一気に自転車で下る醍醐味は、私は山スキーに匹敵すると感じているのです。

高鈴山

高鈴山
#163 『高鈴山MTバイク山行』

久慈川の河口でマウンテンバイクを組み立てた。前後の車輪を取り付けて、ブレーキを調整し、ハンディGPSをハンドルに取り付けるだけなので簡単。久慈川のサイクリング道路を行く。清々しい朝の空気の中に田圃の稲の緑が太陽に照らされている。途中で自転車道を外れ、廃止の決まった日立電鉄の日立岡田駅に向かう。駅の踏み切りを越え、田の中の道を行く。林道に入り、犬を連れたハイカーを追い越すといよいよきつい登りになってきた。小さな沢には水音をたてて綺麗な水が流れていた。ここまで1時間半、久しぶりに自転車を漕いで少し疲れたので休憩をとる。さきほど追い越したハイカーはやって来ない。別のコースに向かったようだ。(左図はカシミール3Dによるコース図、赤い線が今回走ったルート)

自転車のギアを最低速にして、再び林道を登り始めた。林道を登りきり、高鈴ゴルフ場に出た。ゴルフ場従業員にことわって水筒に水を補充した。ゴルフ場入口からのハイキングコースには入らず、少し下って立ち入り禁止の鎖が張られた林道に入る。車輌の通行がないためであろう、雑草が生い茂っている。この林道を登り切ると、道は下り坂になった。高鈴山の山頂を目指しているのだから、ここで下った分は再び登り返さなければならないので癪な気分である。

鎖の張られた、もう一方の入り口に至った。右手に折れると道は再び登りだした。しかしすぐに切り倒した数多い杉の木が林道を覆っているではないか。歩いては越えられそうだが自転車では体力を要する。断念して引き返した。

次に地形図にある破線の道を行くことにしたのだが、途中から怪しげな道となる。所々自転車に乗れるが、笹藪ではとても無理。とうとう自転車を押し上げながらの藪漕ぎとなる。勘弁しておくれい。しばらくすると、真弓山と高鈴山の方向を示す標識のある、見覚えのあるハイキングコースに出た。この時には心から嬉しかった。

高鈴山山頂への最後の難関は山頂へのショートカット急登である。別ルートもあるが、今では藪に覆われているし、途中崖崩れで自転車では通れない。自転車をデポして山頂に行くことも考えたが、それではMTバイク山行の価値が半減することになるだろう、という変なこだわりを持って、自転車を押し上げた。「参った、参った」と言いながらもなんとか傾斜が緩やかなところに出て、ここから山頂はすぐである。

高鈴山の山頂には御岩山で岩登りのトレーニングをしてきたらしい三人組と、三十年ぶりに登ってみて景色が変わった、海が見えないと言っていた単独登山者、女性二人組が集まっていた。トイレが新しく作られ、展望台も新しい。ここには何度も来ているので景色には感動しないが、自転車で登頂できたことに感動してささやかな幸せを感じていた。(左写真:高鈴山山頂)

下りは快適。ハイキングコースを行く。高鈴ゴルフ場から真弓神社に向かい、その途中で林道終点に抜けた。この時、藪を漕いで林道に出たのだが、半ズボンをはいた足が痒いので良く見ると小さな赤いダニが食いついていた。十日過ぎた今でもダニに食われたところが赤く腫れている。今後は長ズボンにしようと思っている。水筒の水が無くなった。林道を下った集落に蕎麦屋あるので、喉が渇いても我慢することにする。蕎麦屋には冷たい生ビールがあることを知っているからだ。

蕎麦が茹で上がる間、二杯のビールを空にした。これほどうまいビールはない。

(2004.7.4)

 

鍋足山サイクリング

鍋足山サイクリング
#164
『鍋足山から東金砂神社へ(林道サイクリング)』


茨城の山にはどこにでも林道がある。植林した杉の切り出しのための道であるが、中には立派な舗装道路が造られていたりする。そのような山越えの道は時折車が通るだけである。鍋足山はこの『山靴通信』に何度か登場しているが、この山にも林道が通っている。地形図を見ると鍋足山から南に延びる尾根に沿って林道が走っているのがわかる。ここをMTバイクで走破するのが今回の目的である。(左写真、林道にあった登山口)

村役場から出発した。最初から上り坂であり、息が上がる。それでもハイキングコースに入ると気分的に楽になった。あらかじめ地図で印をつけていた地点に来た。ここはハイキングコースから林道に抜ける最適ポイントのはずである。自転車をデポして鍋足山の山頂を踏んでくることにした。山の上には誰もいなかった。松に括り付けられた木製の山名標識が地面に落ちていた。風の仕業であろう。

自転車をデポした地点に戻り、杉林の中の小さな沢に沿って下ると林道に出た。この林道の終点は鍋足山直下のはずなので、確認のため北に向かった。林道終点は今でも変わりなく、開発が進んでなく静まっていた。車もほとんど通らないらしく、草深い林道となっていた。さて、南に向かって進む。ほとんど展望はないが、所々武生山あたりの山並みが見渡せる。樹林の中を自転車で下るのは爽快である。

峠越えの自動車道に出た。西側は舗装されている。走ってきた林道の入口には鎖が張られていて、一般車輌の立ち入りを禁じている。このため草深い林道となっていたのであった。自動道道を横切ると、再び林道が南に向かって延びている。ここにも鎖のゲートがある。自転車を持ち上げてゲートを越えさせてもらう。その先もこれまでと同じような林道であり、自転車で走っているため道端の草木の姿は目に入らない。このあたりは山岳サイクリングの欠点である。

再び峠越えの折橋から水府村に抜ける自動車道に出て、またまた鎖ゲートを越えて林道を進むのであった。朝早く出発したのだが、陽が高くなって暑さが厳しくなってきた。飲み水はたくさん積んできたので、熱中症にならないように時折水分補給をするようにした。森久保への分岐を過ぎると、すぐに東金砂神社であった。静かな神社に、遠くで草を刈るチェーンソーの音が聞こえていた。裏手から神社に入ったために初めて訪れたような印象を受けたが、休憩後正面入口に回ると昔の記憶が甦ってきた。

最後の林道でも鎖ゲートが通せんぼをしていた。ごみの不法投棄防止のために通行止めにしているのかなと思ったりしたのだが。この林道が一番草深くなっていた。自転車とともに草の海に泳ぎ入るようである。古びたカーブミラーがあるので、昔は盛んに車も通ったのだろうが、今では落石も多く、ハンドルを取られないように注意が必要だ。348.3m三角点地点を過ぎるとジグザグに下る荒れた道となり、ブレーキを握る手が痛くなってきた頃に、一般道が通る塩ノ沢に下りきった。この後は暑さに耐えながら、強い日差しの中ひたすらペダルを漕いで出発点の村役場に戻ったのであった。全走行距離は27.6kmであった。(左図、カシミール3Dによる)

(2004.7.19)

 

また2004年9月1日にお会いしましょう。Have a nice day

暮篤(ぼとく)

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