山靴通信

2003年6月1日号(毎月1日発行)

山吹の花がたくさん咲いていました。
このあたりの春山に行けば何処にでも咲いていますが、
これだけ花を着けているのはめずらしい。

山吹


#124 『トゲフネ山』

竜神峡の亀ヶ淵に標高340mの気になる山があり、地形図を見ると崖記号が四方を囲んでいて、楽には登れそうにない山である。この『山靴通信』にたびたび登場していただいているシモンさんは、「登れるよ」と簡単に言う。それではと、五月晴れの一日、登ってみることにした。

いくら鋭峰であっても、この山だけでは物足りないので、地図をよく見てみると山の北東斜面には崖記号が無いのがわかる。南東から登り、この北東の尾根状の急斜面を破線道の鞍部に下り、さらに北に延びる尾根に沿って554.9mの無名峰まで歩いてみることにした。パソコン通信で知り合った山仲間はこの554.9mの山をシモン山と呼んでいる。桜の花が咲く頃にシモン山あたりを散策すると、可憐なイワウチワの花に出会えますよ。

トゲフネ山からシモン山へ
トゲフネ山からシモン山へ(カシミール3Dで作成)

亀ヶ淵の340m峰は山頂まで踏み跡があるので、急登ではあるが楽に登れてしまった。山頂からは明山と、これから歩くシモン山に至る尾根が見えて、ウグイスが鳴いている。

北東斜面は急崖であり、尾根通しで下ることは出来ず、結局竜神川支流の河原に出てしまった。その後の尾根歩きは、道らしき道は無いものの薮も少なく、これぞ低山歩きの楽しさぞ、というものだった。

トゲフネ山の山頂からシモン山を望む
トゲフネ山の山頂からシモン山を望む

あとで地元の人と話をしていて、この亀ヶ淵の鋭峰は「トゲフネヤマ」と呼ばれていることを知った。漢字では「棘舟山」あるいは「棘船山」と書くのだろうか。「トゲ」には「刺」という字もある。すこし気になるので次回は「トゲフネ山」の漢字表記を教えてもらおう。


#125 『吾妻山で5月のザラメ雪で葡萄酒を冷やしたこと』

五月に残る吾妻の雪はザラメ雪だ
そんなザラメ雪に隠した赤葡萄酒が冷えるまで
波打つ雪の斜面をひと滑り
まだ葡萄酒は冷えていないだろう
登り返してもうひと滑り
ジェット機が東吾妻山の方から飛んで来て
飛行機雲が頭の上まで真っすぐに延びてきて
ジェット機が飛び去る頃には
東吾妻山の上に出来た飛行機雲は風に流れていた

鎌沼と前大巓
鎌沼と前大巓

さて、葡萄酒は冷えた頃だろう
前大巓を背にして鎌沼を前にして
コルク栓をポンと抜いた
通りがかった私と同じ髭面のスキーヤーにはこの音が聞こえたろうか
そんな冷えた赤葡萄酒は
原料が葡萄であるという当然のことを
当然のように教えてくれたが
すぐに当然の意味はどうでもよくなってしまった


#126 『花香月山、鶏足山(筑波への道、その10)』

茨城と栃木の県境にある山、花香月山。標高378mの低山であるが、「花」の「香り」の「月」という、ロマンチックな名前の山で、「はなかりやま」あるいは「はなかづきさん」、「はなかげつさん」、「はなこうげつやま」とも読むらしい。どれが本当の読み方なのか。地元ではどのように呼ばれているのか、機会があったら訊ねてみよう。5月にシモンさんとKさんとともに、「筑波への道」の続きとしてこの花香月山と、これも県境にある鶏足山を歩いた。次がその歩いたコースである。

天気:晴れ
メンバー: シモンさん、Kさん、ぼとく
コース: 大開 [8:42] - 一番目の送電線鉄塔 - 二番目の送電線鉄塔 - 三番目の送電線鉄塔 - 四番目の送電線鉄塔(214.8mピーク、昼食) [11:35-12:08] - 花香月山 [13:14-32] - 石仏のある峠 [14:41-52] - 電波中継所 [15:38-59]- 鶏足山(430.5m) [16:32-50] - 焼森山 - 中ノ沢林道 -上赤沢 [17:54]
1/25,000地形図: 中飯

6年ぶりの花香月山と鶏足山の山頂に立つと、忘れていた山の記憶が断片的に蘇ってくる。山名標識が新しくなっていることや、鶏足山にベンチが作られたことを除いて、山は変わっていなかった。変わったのは私のほうかもしれない。

峠の石仏
峠の石仏

焼森山に立ち寄ったあと、上赤沢から下小貫に越える峠(南の方角)に向けて県境尾根を下ったつもりが、その下り始めに方角を間違えてしまい(南東の尾根を下って)、茶畑の広がる中ノ沢林道に出てしまった。茶畑の若葉は、いかにもうまい新茶となりそうな色合いをしていて、葉を一枚失敬して噛んでみたい誘惑にかられたのだが。

鶏足山から花香月山を望む
鶏足山から花香月山(左端奥)を望む


山は一度で登ってしまうよりも、
何度か登りそこねたあげく、
その頂上に立った方が、
はるかに心持ちが深い。

深田久弥『わが愛する山々』より

baloon

また7月1日にお会いしましょう。Have a nice day

暮篤(ぼとく)

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