山靴通信

2003年12月1日号(毎月1日発行)

山は自分自身の季節を持っている、
どんな山でもそれぞれ個性がある、と田淵行男は言う。
田淵行男は1905年に鳥取県に生まれ、
安曇野で高山蝶の生態研究に取り組んだ人である。
写真家であり、常念乗越から槍ヶ岳を撮ったモノクロームの写真は、
自然を思う田淵氏の心が如実に表れている。

落ち葉


#139 『焼酎のおいしい飲み方指南』

1. ほどほどにおいしい焼酎2本(25度)と天然水を近くの酒屋で買ってくる。
2. 買ってきた焼酎のうちの1本を、オンザロックでもよし、チューハイでもよし、とにかく楽しく飲んで空にする。この時の焼酎の味をよく憶えておくように。
3. ここで飲み終えた空瓶を捨ててはいけない。
4. もう1本の焼酎の瓶の栓を開けて、その中身の半分を空にした瓶に移す。
5. 半分の焼酎が入った2本の瓶に、天然水を静かに注ぎ入れる。焼酎と天然水を混合する割合は1対1にするが、心持ち天然水を少なめにする。
6. こうして、すでに1本飲んでしまったのに2本の焼酎ができあがる。すこし嬉しい。
7. ここで喜んですぐに飲んでしまってはいけない。2本の瓶を暗冷所に少なくとも一晩以上置いておく。
8. さてさて、長い長い数日間が過ぎた。1本の焼酎をできるだけ静かに黒ぢょかと呼ばれる偏平な急須状の酒器に注ぎ入れる。

くろぢょか
くろぢょかは百貨店に行けば入手できるでしょう

9. おっと、ここで大切なことを忘れていた。黒ぢょかをよく洗ったあと、中に水(水道水でよい)を入れ、ガスコンロで沸騰寸前まで加熱する。沸騰すると熱湯が吹き出すので注意せよ。そして熱くなった水は捨てる。こうして熱々になった黒じょかに焼酎を入れるのであった。
10. 余熱で焼酎は暖まる。夏場はこのまま飲むとよい。
11. 少々寒くなった今の季節では、炭火の遠火でゆっくり人肌に燗をするのが最良である。しかしそこまでやると面倒だ。ガスコンロの上に黒じょかを載せ、弱火で1分間加熱する。1分以上加熱してはいけない(厳禁)。
12. 小さな杯にぬる燗の焼酎を注ぎ、左手で(右手でもよい)くいっと飲んでごらん。あら不思議、あの焼酎が極上の酒になっているではないか。
13. お暇な方はどうぞお試しあれ。

[追記] 焼酎に事前に割り水をしておくと焼酎と水がまろやかに混ざりあい、遠火の炭火で燗付けすると焼酎の熟成をできるだけ壊さないので、香り、味わいが大いに楽しめるというわけです。


#140 『ぞろ目緯度経度』

GPSを使った宝探し(ジオキャッシング)については山靴通信#135で紹介しましたが、今回は緯度と経度の下5桁がそれぞれぞろ目になる地点に行ったというお話です。北緯36°33.333'、東経140°33.333'(WGS84世界測地系)がその地点ですが、3の数字が連続して並んでいます。キノコ狩りのついでに行ってみました。

木製の鳥居をくぐり、急な坂道を登ると、村の鎮守様という風情の社殿がありました。神社の裏手にある杉林の中が目的の地点でした。すぐ近くにはゴルフ場があり、ゴルファーの話し声やボールを打つ音が聞こえてきますが、林の中は薄暗くて少々陰気でした。

ぞろ目宝
北緯36°33.333'、東経140°33.333'の地点

人間が地球上に縦と横の線を引いて、その交点に特別の意味を持たせることにより、楽しみを生み出すことがジオキャッシングなのです。行く前にその交点の場所の様子をあれこれと想像したり、その地点にたどり着くまでの道中にいろんなものに出会うのが楽しいのです。

次の"ぞろ目宝"探しとして、北緯36°11.111'ならびに東経140°11.111'地点を狙っていますが、ここは筑波山近くの雪入あたりですが、はたしてどんなところでしょうか。


#141 『インドの歌』

作者没後50年を経過すると著作権は消滅し、その後は誰もが自由に使える世界の共有財産になるそうです。そこで、最近聴いた歌曲を、ここに紹介いたしましょう。それはリムスキー・コルサコフの「インドの歌」(歌劇「サドコ」より)です。

インドの歌

曲/リムスキー・コルサコフ
詩/伊庭孝

遠き南の海
水底(みなぞこ)深く秘めし
数知れぬ宝
瑠璃(るり)の巌(いわお)
珊瑚(さんご)の島に
人の面(おもて)の霊鳥(れいちょう)住み
あけくれ歌う 妙(たえ)なる節に
合せて舞う翼うつくし
声をきけば 命を延ぶ(のぶ)
遠き南の海
水底(みなぞこ)深く秘めし
数知れぬ宝

いかがでした?山靴通信#139で紹介したおいいしい焼酎を飲みながら聴くと、また格別ですよ。不覚にも涙が出てしまっても私のせいにしないでくださいね。

[清水哲男氏のHP『増殖する俳句歳時記』に紹介されていて、たまたま聴いて感動したのがこの歌との出会いでした。音楽の教科書に掲載されている歌曲だそうですが、私は学校の音楽の時間に聴いた記憶はありません(寝ていたのかな)。歌曲を引用させていただいた本家のHPは『童謡・唱歌の世界〜日本の愛唱歌・世界の愛唱歌』です。]


私は山の季節の豊かな恵みをきめ細かに受けとめ、
貴い心の糧として大切にしたいと思う。

田淵行男

trees

また2004年1月1日にお会いしましょう。Have a happy new year

暮篤(ぼとく)

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