2002年6月1日号(毎月1日発行)
「君微笑めば・・・」
"When you are smiling,
the whole world smiles with you."
B. Holiday
#89 『百村山』
[百村山の山頂]
男鹿山塊最高峰の大佐飛山に連なる百村山(もむらやま)に登った。
山頂の標識の裏には次のようなことが書いてある。
百名山が名山にあらず。
カタクリの百村山ここにあり。
たかが1085.2mとあなどれば
急坂につづく急坂に
敢なくアゴを出してしまうところから
岳人は敬愛をこめてアゴ出し山、
顎出山(アゴデサン)と呼んでいる。
平成10年5月吉日建之
カタクリはすでに実を付けていた。山ツツジはまだ蕾であった。
地図には登山ルートがないとある大佐飛山まで行ってみたいと思っている。
#90 『南月山』
[南月山から]
百村山のついでに、那須の南月山に登る。
沼原湿原から白笹山を経て、
南月山に立った。
上の写真のように、
牛ヶ首を越えて茶臼岳、隠居倉、その先に三本槍岳が見える。
朝日岳は茶臼岳の陰になって見えない。
しかし目を西に向けると、かわりに雪の残る会津朝日岳が私に挨拶してくれた。
#91 『梅雨近し』
五月は雨の日が多かったような印象がありました。
今年の梅雨は早く来るのではないか、と思わせるような天気でした。
外は雨で出かける気にもならない日曜日に、
スキー板を本箱の脇に仕舞おうとしたら、岩波文庫がほこりをかぶっていました。
引っ張りだしてみたら、寺田寅彦の随筆集でした。
背表紙に黒い星が三つあるので、値段は150円だったでしょうか。
夏目漱石の『吾輩は猫である』に登場する、
椎茸を食って前歯が欠けた寒月君は寺田寅彦がモデルです。
一日じめじめと、
人の心を腐らせた霧雨もやんだようで、
静かな宵闇の重く湿った空に、
どこかの汽笛が長い波線を引く。
『寺田寅彦随筆集』(岩波文庫)より
この随筆集で、寺田寅彦がスイスのモンブラン氷河を見に行った時の文章に、
次のような箇所があるのを見つけました。
氷河の向こう側はモーヴェ・パーという険路で、
高山植物が山の間に花をつづり、
ところどころに滝があります。
ここから谷へおりる途中に、
小さなタヴァンといったような家の前を通ったら、
後ろから一人追っかけて来て、
お前は日本人ではないかとききますから、
そうだと答えたら、私は英人でウェストンというものだが、
日本には八年間もいてあらゆる高山へ登り、
富士へは六回登ったことがあると話しました。
日本アルプスに登ったウェストンと寺田寅彦が出会っていたことに、
ちょっとした驚きを感じたのでした。
若葉して
手のひらほどの
山の寺
(漱石)
また7月1日にお会いしましょう。Have a nice day
暮篤(ぼとく)
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