山靴通信

2002年7月1日号(毎月1日発行)

熱心なサッカーファンではないが、W杯の試合は面白かった。
サッカーのTV放送を観てしまうと、
プロ野球の中継はなんとものんびりしたものに思えてしまう。
それでも私は野球ファンであることを止めない。
2回裏、選手が守備に走り、
ピッチャーが肩慣らしで投げた白球をキャッチャーがミットで受ける乾いた音を聞く。
紙コップのビールを片手に、高いところから夜風のフィールドを眺めている。

Sunshine


#92 『西ボッチに登る』

西ボッチを望む
[沼原湿原から西ボッチを望む]
西ボッチ地形図
[西ボッチ地形図]

那須の沼原湿原から見える西ボッチという山に登ってみたいと思っていた。
雪に覆われた西ボッチは、妙に気になる存在であった。
反対側の白笹山に比べたら、それは小さな出っ張りというような山なのだが、
あの頂きに行けば素晴らしいものが待っているような気がしていた。

6月初旬に、山仲間と西ボッチ山頂を目指した。
沼原湿原の北端から西ボッチの方向に道があるが、
道はすぐに大薮になる。
熊が出そうな雰囲気であるが、仲間の話し声で熊も逃げ出すだろう。
物好きな人はいるもので、赤テープが木の枝に付いているので、
これを頼りにひたすら這い登る。

とうとう尾根に出た。しかし、そこには立派な登山道があったのだった。

山頂は樹木に遮られていて、南側が望めるだけであるが、
誰もがこの登頂に満足している。
この満足感は山頂を極めただけではない、別の理由もあったのだが、
ここでは述べないことにする。


#93 『三斗小屋宿跡』


西ボッチに登った翌日は上天気で、
これも前から気になっていた三斗小屋宿跡を訪れた。
石灯籠が当時の繁栄を想像させてくれる。
この日は明るい風景であったが、雨降りや風が吹くようなうら寒い時、
あるいは雪がしんしんと降る時の情景は、いかばかりであろう。
冬の雪のある頃に、ひそかに訪れてみたいと私は思っている。

三斗小屋宿跡
[三斗小屋宿跡]

「三斗小屋宿は、会津藩が会津中街道を開削し、
各地に馬つぎ場を設ける際、初めて宿場を形成したが、
大部分は、会津方面からの移住者により集落を形成し宿場の形態を整えたと思われる。
板室から三斗小屋宿までは、標高六百メートル以上の高原地帯で夏期は涼しく好適であるが、
冬期間は長く、降雪のため交通の途絶がたびたびあり、また風が強く通行は困難をきわめた。
当時の馬子唄に『寒いよ寒いよ 会津の風は 野際峠を 越すからに』
などとあるように、交通が困難になると駒止めといって駄馬による物資の運送を停止した。」
(三斗小屋宿にある黒磯市教育委員会の立て看板より)


#94 『夏の藪山』


夏がやって来る。
「厳冬のアルプスへ向うと同じく、夏は蒸されるような、
汗で目がくらみ、頭の芯がぼやけるような、
猛烈な薮山へ登ることこそ、正統登山道である、
んではないかと実は考えたのである。」(川崎精雄)
というような、夏がやって来た。

水筒を担いで、さあ、あの薮山に登ろう。
たっぷりと汗を流して、甘き水を飲む。
この先も薮は続くようなので、これは楽しみだ、
と思うことにしようか。


イワカガミの名は葉につやがあって光るので、
これを鏡にたとえたものである。
(冨成忠夫)

cat

また8月1日にお会いしましょう。Have a nice day

暮篤(ぼとく)

ご感想があればぜひこちらへ

山靴通信バックナンバーに戻る